p.61 抽出テキスト
リスク因子に対する治療,について対応していくことが求められる. 4.4.1 CKD進行・CVD発症のリスク因子に対する治療 CKD患者であっても非CKD患者の場合と同様に, CAD一次予防のために,高血圧,糖尿病,脂質異常症,喫煙など冠危険因子の是正が重要であることに変わりはない.CKD患者における高血圧,糖尿病,脂質異常症,高尿酸血症,MBD(骨ミネラル代謝異常),腎性貧血などに対する治療のなかで特に適切な高血圧治療がCAD一次予防のために推奨される. a. 血圧管理(図9) CKD患者における降圧目標に関連して,厳格降圧と標準降圧を比較したRCTとして,中国の60~80歳の大部分が正常腎機能と考えられる高血圧患者8,511人(平均年齢66.2歳)を対象としたSTEP試験があり,厳格降圧群(収縮期血圧110~130 mmHg,平均年齢66.2歳,70~80歳24.1%,腎機能障害2.4%)と標準降圧群(130~150 mmHg,平均年齢66.3歳,70~80歳24.2%,腎機能障害2.3%)の比較検討が行われた81).このSTEP試験では,観察期間中央値3.34年で,主要複合アウトカム(脳卒中,急性冠動脈症候群,急性非代償性心不全,冠血行再建,心房細動,心血管死)は厳格降圧群で有意に少なかった(ハザード比[HR] 0.74 [95%CI 0.60-0.92]) 81).低血圧は厳格降圧群で多かっ たが,その他の副作用や副次腎複合アウトカム(腎機能低 回に限り算定できる」とされている.そのため,国内では,糖尿病または糖尿病性早期腎症患者であって微量アルブミン尿(30~299 mg/gCr)を疑う場合に尿アルブミン定量(UACR)を行うことが推奨される692).そして,CKD診療ガイドライン2018 では,腎障害の程度評価については,「特に0.15 g/gCr以上の蛋白尿(30 mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要」として,非糖尿病患者の場合には尿蛋白定量(UPCR [尿蛋白/Cr比],g/gCr)により評価することとしている692).また,試験紙法による尿蛋白の検査は,濃縮尿や希釈尿の場合には尿蛋白の評価が困難であり,推奨されていない692). 4.4 CKDの重症度分類に応じた治療 CKD患者におけるESKDとCVDのリスクは,CKD- CGA重症度分類での重症度にしたがって増加するが,原疾患によっても増加の程度が異なることが報告されている.たとえば,国内で行われた宮城艮陵CKDコホート研究によると,CKD患者のうち糖尿病(糖尿病性腎症),高血圧(腎硬化症)を原疾患とする場合のCVD発症リスク(狭心症,心筋梗塞,うっ血性心不全,脳卒中,死亡のリスク)は,慢性腎炎を原疾患とするCKD患者と比較してそれぞれ約5.9倍,約3.3倍も増加する706).したがって, CKDにおけるCVDのリスク低減のためには,1)CKD進行抑制のための直接的治療,2)CKD進行・CVD発症の 図9慢性腎臓病に対する降圧の考え方 腎機能の機能的異常評価(GFR) と 糸球体構造異常評価(随時尿によるアルブミン定量[UACR:尿アルブミン/Cr 比]あるいは 尿蛋白定量[UPCR:尿蛋白/Cr 比])を並行して実施 CKD 患者の降圧薬剤:第一選択はACE 阻害薬/ARB第二選択はCVD ハイリスク症例ではCa 拮抗薬 を用いることが多い 体液貯留症例では長時間作用型利尿薬を推奨 積極的降圧(ターゲット 130/80 mmHg 未満) 低血圧や眩暈に注意する・糖尿病合併症例・CKD A2/3 区分症例通常降圧(ターゲット 140/90 mmHg 未満) ・糖尿病非合併のCKD A1 区分症例 第一選択薬ACE 阻害薬/ARBあるいは Ca 拮抗薬・長時間作用型利尿薬 ・CKD A1 区分症例 第一選択薬ACE 阻害薬/ARB ・CKD A2/3 区分症例