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p.56 抽出テキスト

3.3.2 鑑別すべき他の原発性・続発性脂質異常症

FHのほかに腱黄色腫を呈し,CADリスクが高い原発性脂質異常症としてシトステロール血症680)と脳腱黄色腫症681)が挙げられる.また,CADリスクが高い高LDL-C血症にライソゾーム病の一種であるコレステリルエステル蓄積病(ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症)

682)も挙げられる.それ

ぞれ常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患であるため,両親にFHがいない場合に疑う.

続発性脂質異常症をきたす疾患として,糖尿病,甲状腺機能低下症,ネフローゼ症候群,胆汁うっ滞性肝障害,肥満,薬剤性(ステロイド等)の鑑別も必要である.

3.4 FHヘテロ接合体(成人:15歳以上)の 治療(図7)

39)

3.4.1 LDL-C管理目標値

FHはCADリスクがきわめて高いため,一次予防における発症リスクは非FHの二次予防に相当すると考えられる.したがって,一次予防のFHヘテロ接合体患者のLDL-C管理目標値は100 mg/dL未満が望ましい671).二次予防のFHヘテロ接合体患者はさらに高リスクと考えられるため, LDL-C管理目標値は70 mg/dL未満を目標とする671).なお,

からの変更点として,アキレス腱肥厚の基準変更に注意が必要である.従来のX線撮影でのカットオフ値である9 mm(男女とも)は特異度が高い一方,感度が低いことが懸念されていた.2021年に日本で遺伝学的に診断されたFH 485人を含む986人の解析から新たなカットオフ値(男性

7.6 mm,女性7.0 mm)が報告された676)ため,感度を上げ

ながら特異度を保つために男性8.0 mm,女性7.5 mmに変更された.また2017年に超音波法でのカットオフ値(男性

6.0 mm,女性5.5 mm)が報告され677),その後,測定方法

の標準化が進んだ678)ために,2022年版から超音波法のカットオフ値も採用された.また皮膚・腱黄色腫と家族歴の両方を満たす患者はLDL-C 160 mg/dL以上で「FH疑い」と診断する.

小児(15歳未満)のFH診断基準(小児家族性高コレステロール診療ガイドライン2022) 679)については,第3章5.2脂質異常症,表33を参照 .FHヘテロ接合体の小児期には黄色腫などの身体所見に乏しいのでLDL-C値と家族歴の2項目で診断する.小児家族性高コレステロール血症診療ガイド2017との違いは「FH疑い」が新たに設けられたことである.FHの家族歴か,高LDL-C血症または早発性CADの家族歴かによって「FH」か「FH疑い」に分けられる.LDL-C 140 mg/dLというカットオフ値は小児のおよそ95パーセンタイルに相当する.なお,小児は思春期にLDL-C値が変動するため複数回の測定が必要である.

図7成人(15 歳以上)家族性高コレステロール血症(FH)ヘテロ接合体治療のフローチャート(日本動脈硬化学会.動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版. 2022 39)より)

FH ヘテロ接合体の診断

生活習慣改善・適正体重の指導と同時に脂質低下療法を開始する(LDL-C管理目標値 一次予防:100 mg/dL 未満,二次予防:70 mg/dL 未満)

スタチン不耐

効果不十分

別のスタチンの処方や投与間隔を考慮

効果不十分

スタチン最大耐用量 and/or エゼチミブ投与

効果不十分

効果不十分

あるいはエゼチミブ使用不可

レジン・プロブコール・PCSK9阻害薬追加(スタチン最大耐用量投与時のみ) *多剤併用可能,また,スタチン不耐の場合はPCSK9阻害薬単独での投与可

LDLアフェレシス