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としてとらえる必要がある. 2.2.4 血圧 2019年の国民健康・栄養調査報告によれば,収縮期血圧の平均値は男性132.0 mmHgに対し女性126.5 mmHg,また収縮期血圧が140 mmHg以上の者の割合は男性29.9%に対し女性24.9%と,いずれも女性が低い327a).合併症を有さない健常者では,血圧とCADリスクとの関連は男女を問わず少なくとも収縮期/拡張期血圧が115/75 mmHgまでは血圧が低いほどリスクも低い,いわゆる“the lower the better”の関係であることが大規模統合コホート研究(対象者約95万8千人,うち10%が日本または中国)で確認されている67).これに一致する所見は,わが国でもEPOCH-JAPAN や吹田研究などから報告されている.血圧高値に対する具体的治療・管理方法については第2章2.高血圧を参照. 2.3 冠動脈疾患の一次予防 CAD予防の基本は生活習慣の改善である.30~55歳の米国人女性コホートを対象としたNHSでは,健康的な食生活・非喫煙・中等度以上の運動習慣・適正体重維持・アルコール制限などの予防因子を多く有するほど,CAD発症や心突然死のリスク比が低かった653, 654).女性でも,若年時からの健康的な生活習慣維持は動脈硬化性疾患予防戦略の要である. 糖尿病は特に女性においてCADの重要な危険因子である.2型糖尿病患者に対する標準的な血糖コントロールと厳格な血糖コントロールを比較した臨床試験14件計28,614人を対象としたメタ解析によれば,心筋梗塞のリスク比は0.85(95%CI 0.76-0.95)と厳格コントロール群で有意に小さかった655).一方で,血糖の厳格なコントロールによるハザード比の低下は心筋梗塞よりもむしろ細小血管障害において大きい182).低血糖のリスクも高まるので,患者の病態に配慮した治療強化が必要である656). 上述のように,喫煙は特に女性において重要なCADの危険因子である.日本人男女を対象としたコホート研究で,禁煙女性のCAD死亡リスク比は非喫煙女性と差がないことが示されている657).妊娠中の喫煙は胎児先天異常の原因となることなどもふまえ658),若年期から喫煙の有害性について啓発を行うことが重要である. 2.4 ホルモン補充療法(HRT) 閉経移行期および閉経後の女性に対して更年期障害や その程度は男性と有意な差がなかった150).これらのことを考慮すると,日本人女性でスタチンの心血管疾患一次予防効果が統計学的に有意でなかったことは,絶対リスクの低さによるものであり,男性同様に有効であると考えるのが妥当である. さらに家族性高コレステロール血症患者など,ハイリスクと考えられる症例ではより積極的に薬物治療を考慮する(詳細は第3章3. 家族性高コレステロール血症を参照).妊娠初期のスタチン投与により先天異常が生じたとする症例報告641, 642)がある一方で,スタチン使用の有無により先天異常発症率に差がなかったとするコホート研究がある643).しかし,乳汁移行に関する検討が不十分なこともあり,妊婦・授乳婦へのスタチン投与は禁忌とされている.その他の脂質異常の具体的管理方針については,第2章3. 脂質異常を参照されたい. 2.2.2 糖尿病 2019年の国民健康・栄養調査報告によれば,糖尿病が強く疑われる者の割合は,男性の19.7%に対し女性が10.8%と低い327a).日本人を対象としたコホート研究では,糖尿病が女性のCAD発症644, 645)やCAD死亡646)のハザード比を有意に高めることが示されている.心筋梗塞に関する多施設共同症例対照研究JACSSでは,心筋梗塞発症に対する糖尿病のオッズ比が,男性の2.90に対し,女性では6.12と高かった647).上記の研究を含むコホート研究64件計858,507人を対象としたメタ解析でも,糖尿病有病者のCAD発症リスク比は男性の1.85に対し女性では2.63と高いことが示されている648). 以上より,糖尿病は特に女性においてCADの重要な危険因子であると考えられる. 2.2.3 喫煙 2019年の国民健康・栄養調査報告によれば,習慣的喫煙率は,男性の27.1%に対し,女性は7.6%と少ない327a).しかし,JPHC Study Cohort Iや吹田研究によって,現在喫煙している日本人女性の心筋梗塞発症相対リスクが3~ 8であることが示されている518, 649).また,3種および10種の日本人コホートを統合した2つの研究において,CAD死亡ハザード比が,過去現在を問わず喫煙女性において高かった650, 651).さらに,上記の研究を含むメタ解析によって,喫煙のCAD発症率に及ぼす相対リスクは男性よりも女性で大きいことが示されている652)(JACSSでも同様に,心筋梗塞発症に対する喫煙のオッズ比は男性が4.00に対し,女性では8.22と高かった647)). 以上より,喫煙は特に女性では重要なCADの危険因子