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p.48 抽出テキスト

1.2.2を参照),認知機能,ADL,栄養状態,服薬アドヒアランスなどが報告されている.高齢者に対しては,これらを評価した上で,管理目標や生活習慣の修正を行う.

1.1.1 フレイルの評価

フレイルの評価方法は種々あるが,Friedらの表現型モデル588)と,Rockwoodらの欠損累積モデル589)に大別される.前者の代表的な評価法としてはCHS基準があり,簡便であるため臨床現場での評価に適しており,改訂日本版CHS(J-CHS)基準も公表されている(表24)

590).後者の

体表的な評価法としてはFrailty Indexがあり,重症度を評価でき経時的変化を追跡するのに適しているため,主に臨床研究で使用される一方,煩雑であるため臨床現場での評価には適さない.

) 1.1.2認知機能とADLの評価ADLは,基本的ADL,および手段的ADLを評価する.基本的ADLとは,移動,階段昇降,入浴,トイレの使用,食事,着衣ならびに排泄等,屋内での基本的な日常生活動作を指す591).手段的ADLは,買い物,食事の準備,服薬管理,金銭管理ならびに交通機関を使った外出など,基本的ADLより高次の生活動作を指す592).これらはフレイルのスクリーニングツールでもあり,また,糖尿病の場合,高齢者糖尿病の血糖コントロール目標におけるカテゴリー分類のために使用できる.認知機能の評価には,MMSEや改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)等を用いる.

1.1.3 栄養状態の評価

栄養状態の評価は,J-CHSの評価項目の一つである「6ヵ月間で2 kg以上の(意図しない)体重減少」や基本チェックリストの該当項目である「BMI 18.5 kg/m 2未満」,後期高齢者の質問票で「1日3食きちんと食べていない」と回答

した集団では,低栄養状態の存在を疑い,MST 593), MUST 594),MNA-SF 595)などがスクリーニングツールとして使用される.

1.1.4 服薬アドヒアランスの評価

臨床医と患者はともに実際の服薬アドヒアランスを過大評価する傾向があるが,長期にわたる生活習慣病治療薬の平均的な服薬遵守率は,治療継続中の患者において50%程度である596, 597).アドヒアランスの不良はCADの一次予防に対する有害なアウトカムと関連するため,その評価は重要である.服薬アドヒアランスを正確に評価するための方法は複数提案されており,1患者の自己申告,2患者家族の報告,3質問票や構造化面接などの医療者の評価, 4残薬のカウント,5体液中の薬物濃度測定,などの手法で評価されるが,現在のところ,これらの優劣を判断するための優れた単一の基準は存在しない.現段階では,多職種で協働して複数の異なる手段を用いることで,評価精度を高めることができ.また,高齢者はさまざまな理由で服薬アドヒアランスが低下しやすいため,多職種でその原因を精査し,それに応じた個別の対応を行うことが推奨されている598).

1.1.5 高血圧599)

高齢者では,血圧の動揺性が増し,収縮期高血圧,白衣高血圧ならびに夜間血圧の上昇,起立性低血圧や食後血圧低下の頻度が増加する.そのため,家庭血圧等も用いて血圧を評価し,血圧の変動に注意する.食事や水分摂取量の低下によって血圧が低下しやすいため,注意が必要である.降圧薬の第一選択は,Ca拮抗薬,ACE阻害薬, ARBならびにサイアザイド系利尿薬であり,各薬剤の利益と不利益な点を考慮して使用する.降圧薬開始初期には,

表24 改訂日本版J-CHS 基準

評価項目評価基準1.体重減少6ヵ月間で,2 kg以上の(意図しない)体重減少2.筋力低下握力:男<28 kg未満,女性<18 kg未満3.疲労感(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする4.歩行速度通常歩行速度<1.0 m/秒5.身体活動1軽い運動・体操をしていますか? 2定期的な運動・スポーツをしていますか?上記2つのいずれにも「週に1回もしていない」と回答3項目以上当てはまる場合フレイル,1または2項目当てはまる場合プレフレイル,1項目も当てはまらない場合,健常と判定(Satake S, et al. 2020 590)より改変) Satake S, Arai H. Geriatr Gerontol Int 2020;20(10):992-993. John Wiley and Sons. (c) 2020 Japan Geriatrics Society