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p.47 抽出テキスト

大規模RCTはなく,CAD発症予防を目的とした尿酸降下剤使用を積極的に推奨する根拠に乏しい.

薬剤使用によるCAD発症の一次予防についてはエビデンスが乏しいものの,高尿酸血症は前述のようにさまざまな動脈硬化危険因子と関連しており,高尿酸血症患者では,これらの危険因子合併の有無についてスクリーニングや治療介入を行う必要がある.また,過食や果糖摂取過多,飲酒,高脂肪・高蛋白食,運動不足などの生活習慣は,高尿酸血症を引き起こすだけでなく,肥満,高血圧,糖尿病,メタボリックシンドロームなどの他の危険因子とも関連する.高尿酸血症患者のCAD一次予防では,合併する他の危険因子の関与も大きく,生活習慣指導も重要である586).

独立した危険因子か否かで見解は一致していない579–582).

7.3.2 尿酸降下剤とCAD一次予防

心筋梗塞患者とコントロールを比較した古典的な症例対照試験では,アロプリノール投与が心筋梗塞発症リスクを下げる可能性が示唆された583).さらに,中年一般集団や高齢高血圧患者においてアロプリノール投与群と非投与群で傾向スコアマッチング法を用いて比較した後ろ向き観察研究でも,アロプリノール投与群では全死亡や心イベント発症率が有意に低下していた584, 585).これらの観察研究の結果より,尿酸降下剤のCAD発症予防効果が示唆されたが,現時点では,一般集団でその予防効果を直接検討した

第3章 特定の注意を要する対象・病態

はないことを示している.

冠動脈疾患(CAD)では,加齢は独立した危険因子である587).わが国の高齢者を取り巻く現況を考慮すると, CADの一次予防でも,高齢者を65歳以上と一括りに定義することはなじまず,わが国の生活習慣病に関する多くのエビデンスからも,少なくとも前期高齢者では,一般論として個別に判断することが推奨される.高齢者を個別に判断するために必要な評価項目としては,フレイル(定義は

1 高齢者(表23)

1.1 冠動脈疾患の一次予防における高齢者の 考え方

わが国を含む多くの国が65歳以上を高齢者と定義している.この定義には医学的・生物学的に明確な根拠はなく,わが国における老化に関する縦断的研究から,近年の高齢者の身体的,および精神心理的機能は過去の高齢者とは明らかに異なり,歩行速度や握力,血清アルブミン値,認知機能など,いずれの測定値も顕著に高くなっていることが明らかとなっている.また,高齢者の心身の健康に関する種々のデータを検討した結果,特に65~74歳の前期高齢者では,心身の健康が保たれ,活発な社会活動が可能な人が大多数を占めていることが明らかとなっており,少なくとも前期高齢者に関しては,若・中年者と同様に扱うべき集団が多く含まれ,一律に高齢者として扱うべき集団で表23 冠動脈疾患一次予防における高齢者に関する推奨

とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

非薬物療法は積極的に行うべきであるが, QOL に配慮して個別に治療を行う. I C自力で外来通院可能な高齢者は,原則として薬物治療を積極的に行うべきであるが,QOL に配慮して個別に治療を行う. I A高齢者を個別に判断するために,フレイル,認知機能,ADL,栄養状態,服薬アドヒアランスの評価を行う. I Cエンドオブライフにある高齢者では薬物治療の中止を考慮する. IIa C