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物療法を用いることが推奨される. c. 受動喫煙 受動喫煙によりCADリスクが高まるとする報告は多い523, 524).36~61歳の非喫煙女性32,046人を10年間追跡した米国の研究によると,タバコ煙に曝露されない女性を基準とした非致死的および致死的CAD発症の相対リスクは,間欠的曝露群で1.58,家庭や職場での常時曝露群で1.91であった525).中国を含む東アジア人でのメタ解析でも,受動喫煙への曝露はCADリスクを有意に増加させることが報告されている(リスク比 1.23) 526). d. 法整備による受動喫煙防止対策の効果 受動喫煙防止法施行前後のCADによる入院をアウトカムとしたメタ解析によると,防止法施行後に入院リスクの有意な減少を認め(リスク比 0.85),その低下度は法律の包括度(禁煙を科す場所)が増すほど大きかった527). また禁煙法制化後,スコットランドの9病院における急性冠症候群(ACS)の入院患者数は全体で17%減少し,喫煙状況別では喫煙者14%,元喫煙者19%,非喫煙者21%と,非喫煙者でより大きな低減を認めた.さらに法制化後は,非喫煙者の副流煙にさらされる時間(週あたり)およびニコチン曝露を示す血清バイオマーカーも有意に減少したとの報告がある528). 以上から,受動喫煙法による社会環境の改善が集団全体のCADリスク減少に寄与することが示唆される. e. 新型タバコ 新型タバコは,表18 のように分類される39).加熱式タバコはタバコ葉を加熱し発生したエアロゾルを吸引するものであり,エアロゾル中に含まれるニコチン量や,吸引後の血中ニコチン動態が紙巻きタバコに近いため529),ニコチ 7.1 環境要因とCAD 7.1.1 喫煙とCAD(表17) 表17 冠動脈疾患一次予防における喫煙に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 喫煙に関しては常に外来や入院等の機会にスクリーニングを行い,喫煙者に対する禁煙,また非喫煙者に対する防煙(喫煙開始の予防)に向けての啓発や指導を行う. I A新型タバコに関しても従来のタバコと同様にスクリーニングの実施と,禁煙および防煙に向けての啓発や指導を行う. I Cなお,「禁煙治療のための標準手順書 第8.1版」(日本循環器学会,日本肺癌学会,日本癌学会,日本呼吸器学会.2021年9月)516)も参照. a. 能動喫煙 喫煙はCADの主要な危険因子である.わが国でも喫煙によるCAD発症リスクの上昇が報告されており517),1日の喫煙本数が多いほどCADリスクが高まるという量反応関係もわが国の観察研究で示されている518).さらにメタ解析では,非喫煙者のリスクを1とした場合,タバコ1本/日であってもCADリスクが1.65倍に増加することが示されている519). b. 禁煙と体重 完全な禁煙を継続できた場合は,喫煙を継続した場合に比べ最初の5年ほどでCADや循環器疾患のリスクが4~5割ほど低下することが国内外から報告されている518, 520).一方で,禁煙後の体重増加はCADリスクを上昇させ,禁煙の効果を相殺するのではないかとの懸念もあった.この問題については,45~74歳の日本人男女69,910人を対象とした前向きコホート研究が,5年間の追跡中に禁煙した者のCAD発症リスクは,喫煙継続者を1とした場合,体重増加幅が0.1~5.0 kgの群で0.58,体重増加がない群では0.51に低下することを報告している521).韓国の研究では,禁煙後体重が4 kg以上増加した群でも心筋梗塞発症ハザード比の有意な低下を認めており522),禁煙後の体重増加は禁煙による心血管保護効果を打ち消すものではないと考えられる. なお近年,保険診療による禁煙治療は1年齢や生涯喫煙量(ブリンクマン指数)による保険診療制限の撤廃,2オンライン治療の解禁,3加熱式タバコ使用者も適応可能,など対象が拡充されており,禁煙支援として行動療法や薬表18 新型タバコの分類 加熱式タバコ(Heated tobacco products [HTPs])タバコの葉(その加工品)を直接加熱して発生した物質を吸引,またはグリセリンなどを加熱して発生した物質をタバコ葉カプセル中を通過させて吸引する製品電子タバコ(Electronic cigarette [e-cigarette])吸入器(本体)にニコチンやプロピレングリコール,グリセリンなどが含まれる味や香りのする溶液が入ったカートリッジを装着し,バッテリー等で加熱して発生させたエアロゾルを吸引して使用する製品• ニコチンの入ったもの本邦では販売は禁止されている.ただし,インターネットなどで個人輸入は可能• ニコチンの入っていないもの規制がないため,ネット・店舗等にて未成年者にも販売されて いる(日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版39)より抜粋)