p.39 抽出テキスト
CAD死亡リスクはそれぞれ15%,23%,18%,24%低下していたと報告された417).またナッツ類の摂取はTC, LDL-Cを低下,あるいはnon-HDL-Cを低下させることが報告されている418–423).このようにナッツ類の摂取は動脈硬化性疾患発症予防に有用な可能性があるが,わが国におけるエビデンスは十分ではない. 5.9 ビタミン ビタミンD 424–438),ビタミンE 439–442),ビタミンC 442–445)いずれのビタミンも通常の食品から適正に摂取し,ビタミンDでは血中25(OH)D濃度を適正に維持することが心血管疾患死亡または発症リスクの低減,適正な血圧の維持に望ましい.サプリメントによるビタミン摂取の効果は一定していない445–463).むしろ,ビタミンDにカルシウムを併用した場合の脳卒中のリスクの上昇464),ビタミンE単独介入による心不全465)や,ビタミンC単独介入による糖尿病を有する閉経後患者の心血管疾患死亡率の有意な上昇466),またはビタミンEとビタミンCの併用介入によるCADを有する閉経後患者の総死亡率のリスク上昇467),ビタミンE介入によって出血性脳卒中リスクが有意に上昇することが報告されている468, 469).よってサプリメント等の積極的な利用は有効性および安全性も考慮すると推奨されない.上記以外に,たとえばビタミンAやβカロテンの過剰摂取でも健康障害を引き起こすために,一般的には奨められていないことから470),他のサプリメントも適正に摂取するよう注意すべきである. 5.10 アルコール アルコールの多量摂取(純アルコール換算およそ46~ 60 g/日以上)は,CADや脳卒中の危険因子である.一方で,これまで軽量から中等量にかけての飲酒はむしろ心血管疾患のリスクを低下させる(Jカーブを呈する)と報告されてきた471–482).ただし対象者が有する合併症が多い場合は,この予防的効果が消失していたとする報告もある482).また,不定期に多量飲酒する場合は,CADのリスクを高めることがコホート研究あるいは症例対照研究のメタ解析で示されている483).最近の質の高いコホート研究に限ったメタ解析では,少量飲酒による総死亡リスクの予防的効果は消失し484),55歳以下の若年者ではCAD死亡の低下効果は認められていない485).261,991人のヨーロッパ系集団を対象としたメンデルランダム化による検討では,飲酒量が少ないほどCADリスクが低く,Jカーブに否定的な結果であった486).中国と南アジア領域におけるメンデルランダ 5.6 果糖を含む加工食品 果糖を含む加工食品(砂糖を含む)の大量摂取は,エネルギー摂取の過剰,肥満,TGの上昇,インスリン抵抗性増悪, 2 型糖尿病の発症を介して,CADのリスクを高めることが懸念されている.欧米を中心としたコホート研究とそのメタ解析から,砂糖飲料の摂取量が多いほど総死亡,心血管疾患,CAD,脳卒中,体重増加,高血圧あるいは2型糖尿病のリスクが高いことが報告されているが,研究によって結果は必ずしも一致していない387–394).コントロール食に果糖を追加する(総エネルギー摂取量が増える)介入試験ではTGを上昇させた395).追加摂取では食後TGの上昇も認められている396).また,RCTおよび非RCTを含めて用量を解析した結果,果糖摂取100 g/日以上では空腹時TGが,50 g/日以上では食後TGが有意に上昇したとの報告がある397).よって果糖を含む加工食品の摂取量を減らすことでTGの低下が期待できる.以上のことから,CADに及ぼす影響の可能性を考慮し,その摂取を減らすことを推奨する. 5.7 大豆および大豆製品 日本食の中で大豆および大豆製品は習慣的に摂取されている.日本および海外でのコホート研究のメタ解析では,大豆製品の摂取と動脈硬化性疾患との関連について一貫した結果は得られていない398–400).一方,日本のコホート研究では,大豆・大豆製品の摂取量が多いと,脳卒中リスクが低いことが報告されている401, 402).食品としての大豆・大豆製品や大豆タンパク,またはイソフラボンの動脈硬化性疾患危険因子に関するRCTのメタ解析やシステマティックレビューには,TCあるいはLDL-C低下が認められた403–405)とするものと,認められない406, 407)とするものがあり,大豆・大豆製品の摂取はCADおよび脳卒中の低減に関与する可能性がある. 5.8 ナッツ類 ナッツ類は地中海食,DASH食や菜食を構成する重要な食材の一つとして知られ,アーモンド,ヘーゼルナッツ,ウォールナッツ,ピスタチオ,カシューナッツ,マカデミアナッツ,ピーナッツなどを含む.多くの観察研究で,ナッツ類摂取と心血管疾患リスクとの間に負の関連が報告されている408–416).ナッツ類と心血管疾患,CADとの関連を観察したコホート研究のメタ解析では,ナッツ類を摂取する者で,心血管疾患発症,心血管疾患死亡,CAD発症,