p.34 抽出テキスト
冠動脈疾患予防のために,魚油の摂取を考慮する. IIa B冠動脈疾患予防のために,摂取する飽和脂肪酸をn-6 系多価不飽和脂肪酸,なかでもリノール酸に置換することを考慮する. IIa B冠動脈疾患予防のために,摂取する飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸に置換することを考慮してもよい. IIb C冠動脈疾患予防のために,果糖を含む加工食品の摂取を減らすことを考慮してもよい. IIb C冠動脈疾患予防のために,大豆・大豆製品の摂取を増やすことを考慮してもよい. IIb C冠動脈疾患予防のために,ナッツ類の摂取を増やすことを考慮してもよい. IIb C健康障害リスクの抑制のために,アルコール摂取はできるだけ減らす. III No benefit B冠動脈疾患予防のために,トランス脂肪酸は摂取すべきでない. III Harm B健康障害リスクの抑制のために,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンC いずれのビタミンも過剰摂取はすべきでない. III Harm B 食品選びのポイント 1) 一般的に,まず適正な総エネルギー摂取量と適正 な体重を維持することが前提であり,脂肪エネルギー比率20~25%,炭水化物50~60%に設定することが奨められる. 2) 食塩摂取量の目標については,6 g/日未満を目標 とする. 3) 脂身の少ない肉を摂取し,加工肉は控える.牛 乳・乳製品には,血清コレステロールを上昇させる飽和脂肪酸とコレステロールが含まれる.一方で,これらはカリウム,カルシウム,マグネシウム,乳たんぱく質の摂取のために有益である.したがって高血圧,脂質異常患者では低脂肪・無脂肪製品が奨められる.バター,ラード,ココナッツ油は飽和脂肪酸が多いため,これらとこれらを用いた食品の摂取過剰にならないように注意する.飽和脂肪酸は総エネルギー量の7%未満を目標とする. 4) 魚食はn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取のために奨 められる. 5) トランス脂肪酸はマーガリン,ショートニング, ファットスプレッドを用いた菓子や揚げ物などの加工食品に多く含まれるため,これらの摂取を控 た.しかしながら,体重減少を目標にした長期介入によりCADリスク因子の改善,投薬量の減少,運動障害の抑制などの効果が認められ,肥満を有する糖尿病患者での減量の有用性が示唆された.わが国の特定健診積極的支援参加者を非参加者と比較した3年間の観察研究でも,積極的支援参加者の体重や代謝因子の改善が報告されている235). このように生活習慣改善による体重減少によって,メタボリックシンドロームの構成要素(脂質異常,血圧高値,高血糖)の改善が期待できる.米国での耐糖能異常者に対するRCTであるDPPでは,体重7%減少を目標にした生活習慣介入により,5%の体重減少を達成し,その結果有意な糖尿病発症抑制効果とメタボリックシンドローム発症抑制効果が得られたことが報告されている236, 237).日本肥満学会の肥満症診療ガイドライン2016では,特定健診指導対象者への積極的支援により,1~3%の体重減少でトリグリセライド,LDL-C,HDL-C,HbA1c,肝機能の改善がみられ,3~5%の体重減少で収縮期・拡張期血圧,空腹時血糖,尿酸値の有意な改善が認められたとして238),メタボリックシンドロームの減量治療目標を「現体重から3 ~6ヵ月で3%以上の減少」としている.また,肥満を伴う2型糖尿病患者の減量に関しても最近のメタ解析では5%の体重減少により糖尿病に関連する臨床指標の有意な改善が認められており,米国糖尿病学会のコンセンサスリポートでは糖尿病患者の当面の体重管理目標として「現体重の5%減」としている239).肥満,メタボリックシンドロームへの治療介入がCADを直接的に減少させるというエビデンスはないものの,体重の減少や関連因子の改善に寄与することが示唆された. 5 栄養・食事療法(表14) 表14 冠動脈疾患一次予防における栄養・食事療法に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 冠動脈疾患予防のために,適正な総エネルギー摂取量と適正な体重を維持する. I C冠動脈疾患予防のために,食塩の摂取を減らす. I A冠動脈疾患予防のために,飽和脂肪酸とコレステロールの摂取を減らす. I A冠動脈疾患予防のために,食物繊維の摂取を増やす. I A