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p.29 抽出テキスト

TG低下薬でも有意な相対リスクの低下を達成した.TG低下薬の使用はnon-HDL-C高値に対する治療と考えるとより合理的であり,動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では,LDL-Cの管理目標値が達成されている状況で高non-HDL-Cが残存し高TG血症がみられる場合に,これらTG低下薬がさらなるリスク低減に有効であるとしている39).

高TG血症治療薬の一次予防効果は,治療前の脂質状況により異なる.フェノフィブラートは高TG血症を対象として用いても効果は限定的であるが162–164),スタチン内服下では高TG血症・低HDL-C血症が併存すると有効性が示される163, 165, 166).EPAでは,日本人を対象としたJELISで一次予防効果は認められなかった167)が,高TG血症と低HDL-C血症が併発する集団では有効性が示された168). LDL-Cが管理された高non-HDL-C血症患者169),糖尿病・高血糖群患者170)でも予防効果が認められている(ただし二次予防症例を約20%含んでいる).海外データではEPAと同類のイコサペント酸エチル(1日4 g)で,糖尿病合併スタチン内服下(LDL-C<100 mg/dL)高TG血症(150~499 mg/dL)患者の一次予防効果が示され171),EPAとDHA両者を含むn-3系多価不飽和脂肪酸では無効であった172).以上のことから,一次予防を目的として高TG血症治療を検討する場合,前述の高non-HDL-C血症の存在や低HDL-C血症の併発が重要となる.HDL-C値を上昇させる治療薬であるニコチン酸は,一次予防におけるCAD予防の有効性が示されていない173).なお,プロブコールはアキレス腱肥厚や動脈硬化プラークを退縮させる効果があり,二次予防では家族性高コレステロール血症などへの有効性が示されているが,一次予防の効果はまだ示されていない174, 175).

4 糖尿病・肥満(表12)

4.1 冠危険因子としての糖尿病,耐糖能異常

糖尿病患者では非糖尿患者と比較してCADの頻度が2 ~4倍高く176–178),糖尿病は血圧,コレステロール,喫煙等のよく知られた危険因子2個分に相当する179).また,欧米の研究では糖尿病患者の心筋梗塞初発発症頻度(一次予防)は非糖尿病者の心筋梗塞再発頻度(二次予防)に相当することも明らかにされた180).わが国でもそれを支持するJ-ACCESS 181)があるが,この点は糖尿病患者の罹病期間や血糖コントロール状態,治療手段,合併症の状態など

HDL-Cが高値のままである場合,動脈硬化惹起作用をもつレムナントリポ蛋白やVLDL粒子が多く残存している状態が考えられ,いわゆる「動脈硬化性疾患残余リスク」の存在が示唆される.この場合,TGを多く含むリポ蛋白の残存から高TG血症が併発していることが多い.以前からわが国でもこの高TG血症におけるLDL-C値管理後のnon-HDL-C管理の重要性が指摘されており39, 150),近年その合理性が海外データで示されている159, 160).なお,2021 ESCガイドラインではSCORE2 systemでのリスク評価にはnon-HDL-Cを用いるが,治療目標としてはLDL-C値が用いられている21).このような場合にはスタチンの増量,スタチンへのエゼチミブ・フィブラート系薬・選択的PPARαモジュレーター・エイコサペンタエン酸(EPA)あるいはn-3系多価不飽和脂肪酸などの併用が行われていることが多いが,いまだエビデンスが十分ではなく,今後の蓄積が待たれる.

3.2.6 高TG血症,低HDL-C血症に対する治療介入

高TG血症,低HDL-C血症は肥満,特に内臓脂肪増加に伴うメタボリックシンドローム,炭水化物や脂肪の過剰摂取,身体活動量の低下などに関連する.さらに,インスリン抵抗性や糖尿病などの存在はリポ蛋白代謝を障害し,レムナントリポ蛋白の増加,HDL粒子の不安定化を介して高TG血症,低HDL-C血症を引き起こす.このことから,高TG血症,低HDL-C血症が確認された場合は,まずは生活習慣の是正を通じて上記管理目標値の達成に努める39).これと同時にLDL-Cおよびnon-HDL-Cに対する治療介入が十分なされるべきである.2021 ESCガイドラインでは,高リスク群かつTG値150 mg/dL以上の患者が生活習慣の改善によっても200 mg/dLを下回れない場合に薬物療法(スタチン,フィブラート,PCSK9阻害薬,n-3系多価不飽和脂肪酸)を検討する,と記載されている21).動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版でも,3~6ヵ月の生活改善の努力によっても空腹時TG値150 mg/dL未満,随時TG値175 mg/dL未満,HDL-C値40 mg/dL以上を達成しない場合に,これらを目標として治療薬で管理することが奨められている39).

フィブラート系薬,エイコサペンタエン酸あるいはn-3系多価不飽和脂肪酸,選択的PPARαモジュレーターなどがTG値の低下,HDL-C値の上昇に有効である(表11) 90)が,これらの投薬が心血管イベントを低減させたエビデンスは少ない.治療薬での脂質値低下による心血管イベント相対リスクを検討したRCTの大規模なメタ解析161)では, TGの低下に有意差はみられなかったが,non-HDL-C低下で評価すると全投薬,スタチン系薬および非スタチンの