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mg/dL,またnon-HDL-Cでは170 mg/dLを脂質異常スクリーニング基準としている.なお,脂質値とCAD発症のリスク増加は連続的であり,一定の閾値の存在は認めていない.さらに複数の危険因子が重複すると,CAD発症率・死亡率が上昇する115–117).non-HDL-C高値でも高TG血症が存在する場合には心筋梗塞のさらなるリスク上昇118)がみられ,non-HDL-C高値に慢性腎臓病(CKD)を合併するとCADのさらなるリスク上昇119)がみられる.これらのことをふまえ,動脈硬化性疾患のリスク評価ではカットオフとしての基準値だけに頼ることのない,包括的なリスク評価が必要である(3.2.1 治療目標値設定のための包括的リスク評価と管理目標の設定 参照). 3.1.3 一次予防における冠動脈疾患の発症に関連する HDL-C低値およびTG高値 HDL-C値は全死亡と有意に逆相関し120),40 mg/dL未満でCAD発症が増加する103, 121, 122).ただ,一部のコホート研究ではHDL-Cのみ低値の場合はリスクが上昇しないとされ123, 124),逆にHDL-C 80 mg/dL以上の高値群で冠動脈関連死亡が増加するという結果もある125).また女性は男性に比べてHDL-C値が高値に分布するが,性差とCADについてエビデンスが十分でない121). TG値に関しては,米国でのフラミンガム研究126)および多くの研究127, 128)と同様にわが国でも,空腹時TG値の上昇,特に空腹時150 mg/dLを超える増加はCADリスクと関連しており,HDL-C値を補正しても相関は残存するとする報告が多い129–133).さらに,非空腹時TG値も同様にCADの発症と相関があり,EAS/ESCでは非空腹時TG値175 mg/dL以上もリスク上昇がみられることから注目すべきとしている134).わが国の疫学調査でも同様に非空腹時165 mg/dL以上で心筋梗塞,労作性狭心症,突然死129),虚血性心血管疾患発症リスク132)が増加することが示され,非空腹時採血でもTG高値はCADの危険因子である. 以上のことから,動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では高TG血症は空腹時150 mg/dL以上,非空腹時175 mg/dL以上,低HDL-C血症は40 mg/dL未満をそれぞれスクリーニング基準としている39).ただ,現時点では一次予防における高TG血症や低HDL-C血症の薬物療法について有効性の根拠が十分強くはないため,これらの薬物療法に関しては個々の症例の状況に応じて考えるように記載されている. 3.1.4 その他の危険因子と冠動脈疾患 エビデンスに関してはまだ十分ではないが,動脈硬化性疾患やCADの発症に関連する脂質異常として,レムナン 外の条件では推定値の妥当性が低下するためLDL-C直接法測定が望ましい.非空腹時でもTC,HDL-C値,直接法LDL-C値は変動しないがTG値が変動するため,Friedewald法による推定値は用いず直接法LDL-C値かnon-HDLコレステロール(non-HDL-C)値(=TC -HDL-C)を用いる91).ただし,両脂質値ともTGが極端に高値をとる場合は正確性が担保できないので注意を要する(直接法LDL-C値:TG≧1,000 mg/dLの場合.non-HDL-C値:TG≧600 mg/dLの場合).また,循環血漿量が増加する臥位や血管拡張剤・大量輸液後,ショック状態や急性冠症候群の急性期,ヘパリン使用下では値が増減するため計測を避ける92, 93). 3.1.2 一次予防における冠動脈疾患の発症に関連する LDL-C値・non-HDL-C値の上昇 一次予防において,欧米での疫学調査結果と同様,日本人におけるコホート研究でもLDL-C値の上昇とともにCADによる発症や死亡が増加する94–99).TCの段階的な上昇にあわせてCAD発症率・死亡率の増加を認めることも以前から指摘されており,1990年以前100–103)・1990年以降104–106)のいずれを中心とした検討でも220 mg/dL前後から統計的に有意なリスク上昇が観察された.また,non- HDL-C値に関しても170 mg/dL前後からCAD,心筋梗塞の発症率・死亡率が上昇した107–110). non-HDL-C値に関するエビデンス non-HDL-C高値は,LDL-C高値と同等に心筋梗塞の発症を予測し104),脂質異常症患者でLDL-C値と+30 mg/dLの差が存在する109, 111).なお,non- HDL-Cを一般集団のスクリーニング検査に用いる場合には,non-HDL-CとLDL-Cの差は30 mg/dLより小さく,おおむね20 mg/dL前後となることにも留意すべきである112, 113).non-HDL-C値は動脈硬化に関連するリポ蛋白であるLDLやレムナントリポ蛋白の増加により上昇することから,日本人における今後のCADリスク評価において重要な項目とされる114).なお,特にリスクの高い原発性脂質異常症である家族性高コレステロール血症,家族性複合型脂質異常症や家族性III型脂質異常症の可能性がある場合は別の配慮が必要である90). これらの結果から,動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版39)ではTC 220 mg/dLに該当するLDL-C値140