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p.23 抽出テキスト

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では,計測された脂質値※やその他の危険因子をもとに対象者の動脈硬化性疾患発症リスクを包括的に評価することが示されている39).脂質値のみをみて漫然と脂質異常症治療薬を投与することは控え,脂質異常の背景にある病態や包括的なリスク評価を捉えた上で治療介入を行うことが重要である.注意事項として,脂質異常は遺伝的素因(および生活習慣)による原発性脂質異常症とは別に,他の疾患を原因とする続発性脂質異常症も高率に存在し,生化学検査・ホルモン検査や薬歴聴取などによる根本的な素因の確認と適切な治療介入が重要であり,その機会を失ってはならない(表9) 90).

※脂質測定に関する注意事項

脂質測定は空腹時(原則,前夜から10時間以上の絶食.水やお茶などカロリーのない水分摂取は可)を基本とし,静脈採血を行う39).LDLコレステロール(LDL-C)値,トリグリセライド(TG)値,HDLコレステロール(HDL-C)値,場合により総コレステロール(TC)値を測定する.空腹時かつTG<400 mg/dLであれば,Friedewald式によるLDL-C推定値(= TC - HDL-C - 1/5×TG)も信頼しうるが,それ以

表9続発性高脂血症の分類と成因

高コレステロール血症•  甲状腺機能低下症•  ネフローゼ症候群•  原発性胆汁性肝硬変•  閉塞性黄疸•  糖尿病•  クッシング症候群•  褐色細胞腫•  薬物(利尿薬,β遮断薬,コルチコステロイド,経口避妊薬,サイクロスポリンなど)高トリグリセライド血症•  飲酒•  肥満•  糖尿病•  ネフローゼ症候群•  慢性腎臓病(CKD) •  クッシング症候群•  褐色細胞腫•  尿毒症•  全身性エリテマトーデス•  血清蛋白異常症•  薬物(利尿薬,非選択性β遮断薬,コルチコステロイド,エストロゲン・レチノイド・免疫抑制薬・抗HIV薬など) (日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版,2018 90)より)

75歳以上の高齢者で降圧治療を開始する場合には,常用量の半量から開始し,脳虚血症状や腎機能低下という副作用に注意しながら,徐々に降圧目標を目指して増量,併用を奨める.降圧薬の第一選択薬およびその後の併用法は非高齢者と同様である74).

アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(サクビトリルバルサルタン)や特異性の高い非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(エサキサレノン)といった新規降圧薬は,CAD一次予防における有用性が示唆されるが,現時点では十分なエビデンスはない.今後の検討が待たれる.

3 脂質異常(表8)

表8冠動脈疾患一次予防における脂質異常症治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

高LDL コレステロール血症などの脂質異常が認められた際には,包括的リスク評価の結果推奨された管理目標達成を優先し,生活習慣改善に加えスタチン等の脂質異常症治療薬を用いて十分に改善させる. I A高LDL コレステロール血症が管理目標値まで改善されたのち,non-HDL コレステロールの目標値達成を考慮する. IIa C LDL コレステロールが適切に改善されており,高TG 血症あるいは高TG 血症および低HDL コレステロール血症が併存する場合には,十分に生活習慣を改善させたのち脂質異常症治療薬を用いた介入を考慮する. IIa C

3.1 冠動脈疾患危険因子としての脂質異常の リスク状態とスクリーニング

3.1.1 冠動脈疾患の危険因子としての脂質異常の推移と 測定

本章は脂質異常に対する評価や治療目標に関して,日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版39)および動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド2018年版90)の考え方に基づいている.脂質異常症に対する治療におけるガイドラインとしての推奨を表8に示す.