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な障壁があることも認識する必要がある45).患者側要因として,リスク理解のリテラシー(認知要因),感情要因,教育レベル,精神状態,社会経済要因などが影響していることを意識する.また,薬物療法アドヒアランスを悪化させる要因として,ポリファーマシー,服薬方法の複雑さ,医師患者関係,病識欠如,副作用についての誤った理解,うつを含む精神疾患,経済的困窮,社会状況(独居)などがあることを意識する46).また,動機づけ面接47)や医療チームによる多面的介入(治療目標の共有意思決定支援,多職種連携,患者動機づけ,家族との協働など)が有用であることは多くの研究で示されている48, 49). 一般地域住民において介入可能な危険因子の包括的管理が循環器疾患リスクの低減につながることが複数の観察研究から報告されている18–20).2型糖尿病患者でも同様に,介入可能な循環器疾患危険因子の厳密な管理により循環器疾患アウトカムが改善することが複数のランダム化比較試験(RCT)で示されている50, 51).上記研究結果や複数の危険因子に介入する合理性を考慮すると,危険因子の包括的管理自体は一次予防上きわめて重要であると言える. ここでは「心血管疾患の一次予防としてリスク予測モデルを使用した包括的リスク管理の実践は,死亡率減少に有用か」というClinical Question(CQ)についてシステマティックレビューを行った.1990年から2021年9月までをMEDLINE(Ovid)を用いて,システマティックレビューおよびメタ解析研究を対象として検索し,2名のレビュアーが独立して文献を抽出,評価した.プライマリケアの現場で心血管疾患既往のない成人を対象として,リスク予測モデルを用いた研究のみを検討した. 841件の研究が抽出され,うち6件の関連するシステマティックレビュー52–57)を同定した.心血管疾患による死亡率をアウトカムとして用いた研究は3件のみであった.これらのシステマティックレビューで採用された計9件のRCT 58–66)のうち,死亡率減少を示した研究は1件のみであった58).いずれの研究も質が低く,heterogeneityも高いことからメタ解析はされておらず,リスク予測モデルを用いた包括的リスク管理による心血管疾患死亡率減少への有効性は不確かである. 一方で,リスク予測モデルによる絶対リスク推算値を CQ心血管疾患の一次予防としてリスク予測モデルを使用した包括的リスク管理の実践は,死亡率減少に有用か?使用したアプローチは,介入可能なリスク因子すべてを 管理するという意味での危険因子の包括的管理の一方法でしかなく,「絶対リスク」に対する患者,医療者側双方にとっての感覚的なわかりにくさ,絶対リスクのカットオフ値の妥当性,などの問題をはらんでいる.また,今回対象となった研究の一部では危険因子管理率の向上を認めており,今後のさらなるリスク管理方法の検討,有効性の分析が期待される. 2 高血圧(表6) 表6冠動脈疾患一次予防における高血圧の評価・治療の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 高血圧の診断診察室血圧140/90 mmHg 以上,家庭血圧135/85 mmHg 以上,24 時間自由行動下血圧130/80 mmHg 以上を高血圧と診断する. I A診察室血圧と家庭血圧の間に差がある場合,家庭血圧による診断を優先する. I B降圧目標* 75 歳未満は原則的に130/80 mmHg 未満に降圧する.75 歳以上は140/90 mmHg未満に降圧する.75 歳以上で130/80 mmHg 未満に降圧できた場合,忍容性があれば継続する. I A降圧療法血圧を正常血圧レベル(120/80 mmHg未満)に保ち,血圧上昇のみならず脳心血管疾患をきたしにくい生活習慣を維持するよう指導する.正常高値血圧レベル(120/80 mmHg 以上)のものには,生活習慣の修正を行う. I C Ca 拮抗薬,ARB,ACE 阻害薬,少量のサイアザイド系利尿薬,β遮断薬の5種類の主要降圧薬から,積極的適応に応じて降圧薬を選択する.積極的適応のない場合,Ca 拮抗薬,ARB またはACE 阻害薬,サイアザイド系利尿薬のいずれかを第一選択薬とする. I A降圧目標が達成されない場合には早めに2剤併用を試みる.さらに降圧不十分であれば,3剤,必要により4剤を併用する. I A *降圧目標の詳細については表7参照