p.15 抽出テキスト
ける体格指数(BMI)25 kg/m 2以上の肥満者の割合は, 1980年の調査で男性17.8%,女性20.7%,2019年の調査で男性33.0%,女性22.3%で,この39年間に男性では肥満者が明らかに増加したが,女性では大きな変化がなかった. 40歳以上の久山町住民における肥満者の割合(年齢調整)は,男性では1961年(7.0%)から2002年(29.2%)まで一貫して増加し,女性では1961年(12.9%)から1993年(26.2%)にかけて増加した後,2002年(23.8%)にかけては変化はみられなくなっている(表3) 7). つまり,1960年代から1980年代にかけて男女ともに肥満が増加したが,その後女性では増加が鈍化傾向にあり,男性と比べて女性では体格変化に対する意識が高いことを反映している可能性がある. 2.5 喫煙に関する疫学報告 国民健康・栄養調査13)によると,20歳以上の国民における習慣的に喫煙している者の割合は,2003年の男性46.8%,女性11.3%から2019年の男性27.1%,女性7.6%まで低下傾向にある. 日本たばこ産業株式会社(旧・日本専売公社)が実施している全国喫煙者率調査17)でも,20歳以上の男性の喫煙率は1965年の82.3%から2018年の27.8%まで一貫して低下した.女性の喫煙率もこの期間に15.7%から8.7%まで低下した. このように,時代とともに日本人の喫煙率は低下しているものの,とくに男性の喫煙率は女性と比べて高い水準にあり,さらなる禁煙の推進が必要である. 第2章 危険因子の評価と治療 1 包括的リスク管理とリスク予測 モデル 1.1 包括的リスク管理 包括的リスク管理とは,高血圧,糖尿病,脂質異常症や喫煙,さらには肥満や慢性腎臓病(CKD)といった介入可能な危険因子のすべてを漏れなく管理することを意味する.本章では「包括的リスク管理」を特に次のような意味で用いる:“冠動脈疾患(CAD)発症や死亡の確率(リスク)を統計モデル(リスク予測モデル)から推定し,その情報をもとに患者と医療者とが治療方針について意思決定を共有し,個別化された治療目標を設定し,取り残しのない治療介入を行い,定期的に見直しを入れながら治療介入を継続していくこと”. 危険因子を包括的に管理することの重要性は複数のエビデンスにより示されており18–20),そのため欧米の予防に関 するガイドラインではリスク予測モデルの活用が推奨されている21, 22).本ガイドラインでも包括的リスク管理を推奨する(表4). 1.2 リスク予測モデル あるイベントが発生する確率(リスク)を推算する統計モデルをリスク予測モデルと呼ぶ.循環器疾患一次予防の領域では,循環器疾患既往のない成人を対象として,その時点での危険因子保有状況をもとに,個人の将来の循環器疾患の発症・死亡の確率(=絶対リスク)を予測するモデ 表4冠動脈疾患一次予防における包括的リスク管理の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 心血管疾患の一次予防に対して包括的リスク管理を行う. I C