GL検索 v0.1.0
画像は 14 ページを描画したものです
page 14

p.14 抽出テキスト

HDLコレステロール40 mg/dL以上,non-HDLコレステロール 150 mg/dL未満)を達成している者の割合は65.5%であり,これら3つのすべての危険因子が適切に管理されている者の割合は20.8%にとどまっていた.

2.3 脂質異常症領域での疫学報告

循環器疾患基礎調査(1980年,1990年,2000年)と国民健康・栄養調査(2010年)に参加した30歳以上の男女の成績16)によると,血清総コレステロール(TC)値の平均値は男性では1980年(186 mg/dL)から1990年(199 mg/dL)にかけて大きく上昇し,その後は2000年の200 mg/dL, 2010年の201 mg/dLまでほとんど変化はみられなかった.女性でも同様に,それぞれ191 mg/dL,207 mg/dL,208 mg/dL,209 mg/dLと推移し,やはり1980年から1990年にかけて大きく上昇した.1990年以降のTC値の平均値は男女ともほとんど変化はないものの,この統計には脂質異常症の治療を受けている者が含まれるため,解釈には注意が必要である.スタチンが臨床現場で使用されるようになった1989年以降でも,自然状態(未治療者)のTC値は持続して上昇していた可能性がある.

国民健康・栄養調査の20歳以上の男女の成績13)によると,高トリグリセライド血症(血清トリグリセライド値150 mg/dL以上)の有病率は男女ともに2001年(男性38.8%,女性

24.6%)から2019年(男性42.4%,女性28.4%)にかけて大きな変化はなかったが,こちらも治療薬の普及の影響を考慮していない成績であるため,その解釈には注意が必要である.

40歳以上の福岡県久山町住民における高コレステロール血症(血清TC値220 mg/dL以上,治療薬は考慮しない)の年齢調整有病率は,男女ともに1961年(男性2.8%,女性6.6%)から1983年(男性23.0%,女性33.5%)にかけて大きく増加したが,その後は男女ともに変わらずに推移し, 2002年では男性22.2%,女性35.3%であった(表3) 7).

以上のことから,わが国では1980~1990年代ごろまでは社会生活環境の変化,たとえば食生活の欧米化や自家用車の普及に伴う歩数の減少(第2章6.2 身体的不活動の疫学 参照)など運動不足の影響により,脂質異常症の有病率が大きく増加した可能性がある.その後は,脂質異常症の治療薬の普及に伴い,TC値やトリグリセライド値の上昇傾向は抑制されているようであるが,治療を受けている者を含めた脂質異常症の有病率は持続して上昇している可能性がある.

2.4 肥満に関する疫学報告

国民健康・栄養調査13)によると,20歳以上の国民にお

図2耐糖能レベル別にみた糖代謝異常の有病率の時代的推移久山町研究,40~79歳男女,FPG: 空腹時血糖値,2hPG: 糖負荷後2時間血糖値(Mukai N, et al. Diabetology Int 2019; 10: 198-205 14)より抜粋) mmol/l単位に対応するmg/dL単位の値は以下のとおり:7.0 mmol/l(126 mg/dL),11.1 mmol/l(200 mg/dL),7.8 mmol/l(140 mg/dL),11.0 mmol/l(199 mg/dL),6.1 mmol/l(110 mg/dL),6.9 mmol/l(125 mg/dL)

(%)

1988年59.2 7.9 18.3 14.6

43.8 15.1 20.1 20.9

54.8 7.4 19.3 18.5

54.8 8.4 17.4 19.4

2002年

2007年

2012年

100 80 60 40 20 0 (%)

1988年68.4

4.6 17.9 9.1

63.6 6.3 18.7 11.3

71.9 3.7

14.7 9.7

69.0 3.6

18.3 9.1

2002年

2007年

2012年

100 80 60 40 20 0

男性女性

2型糖尿病:FPG≧7.0 mmol/l または 2hPG≧11.1 mmol/l または糖尿病治療薬使用耐糖能異常(IGT):FPG<7.0 mmol/l かつ 2hPG 7.8~11.0 mmol/l空腹時血糖異常(IFG):FPG 6.1~6.9 mmol/l かつ 2hPG<7.8 mmol/l正常耐糖能:FPG<6.1 mmol/l かつ 2hPG<7.8 mmol/l