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p.8 抽出テキスト

改訂にあたって

1 ガイドライン作成の背景

不整脈の診断の目的は,症状および生活の質(QOL)を改善し,心臓突然死を防ぐことで予後改善を目指すことである.心臓突然死は致死的心室性不整脈に起因する.その病因として,心筋梗塞などの器質的心疾患が大半を占めるものの,ブルガダ症候群などの遺伝性疾患も関与する.種々の検査法を駆使してリスク評価を行うことで,心臓突然死の予防がある程度可能になる.失神は心臓突然死の前駆症状であり,不整脈性失神の診断は心臓突然死の予防につながる.さらに,致死性不整脈は活動時・運動時に頻度が高い.スポーツの分野においても重要である.この他にも,非致死性不整脈,心原性脳梗塞が疑われる患者の心房細動の検出など,詳細な不整脈診断が必要とされる病態は多様である.

今回,不整脈診療ガイドラインは診断と治療(薬物療法,非薬物療法)の大きく3 つにまとめられる方針となった.循環器各分野では,これまで多数の診療ガイドラインが公表されていたものの,多くは重複記述が多い.各分野でガイドラインをコンパクトに,かつ複数のガイドラインをまとめて改訂することがガイドラインの活用に有効と考えられる.不整脈分野についても同様であり,近年,不整脈治療ガイドラインの改訂版が先行して公開されている.薬物治療では2020 年に「2020 年改訂版不整脈薬物治療ガイドライン」1 が,非薬物治療においては「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)」2,補完版の「2021 年JCS/ JHRS ガイドラインフォーカスアップデート版不整脈非薬物治療」3 が公開された.

本ガイドラインは,上記の不整脈診療の主要3 項目の「診断」を担うものと位置づけられる.これには,「心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010 年改訂版)」4 の改訂を中心として,「失神の診断・治療ガイドライン(2012年改訂版)」5,「臨床心臓電気生理検査に関するガイドライン(2011 年改訂版)」6,「心疾患患者の学校,職域,スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン(2008 年改

訂版)」7 の統合が試みられている.また,「遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017 年改訂版)」8 の診断に関して一部アップデートし,現在の遺伝学的検査の保険適用の状況と考え方などについて記載した.これにより,不整脈診断を適切に行うための総合的な手引きとなり,心臓突然死などの不整脈リスクの評価の指針となるように試みられている.

2 ガイドライン作成の考え方

作成にあたり,1実地医家診療・若手医師教育に有用な最新知見を盛り込む,2欧州・米国から出されている他国のガイドラインとの整合性を図る,3既存の複数あった関連するガイドラインを横断的・総括的に執筆する,4わが国でのエビデンスや臨床研究の結果を積極的に盛り込むことを目指した.

3 ガイドラインの適応と分類

本ガイドラインは,前半に不整脈検査法の詳細について説明し,後半ではそれぞれの不整脈疾患においてどのような検査を行えばよいか,短時間で概要がわかるように構成されている.その中で,アルゴリズム図表を多く用いることで,検査から診断に至るプロセスを明確にし,国内外のエビデンスや動向に基づいた不整脈診断を実際に日常診療に役立てられるようにした.また,不整脈専門医以外の臨床医,一般診療,健康診断に携わる医師にも広く使用できるように配慮されている.

エビデンスレベルの決定においては,先行する不整脈治療ガイドラインとの整合性を保つように留意した.さらに,欧米におけるエビデンスに基づいた資料を調査し,加えてわが国における臨床上の適用性(医師の能力,地域性,医