p.75 抽出テキスト
いほど突然死リスクが高くなることが指摘されている. 1,293 人のHCM で造影MRI を用いた検討では,広範なLGE の存在は突然死の独立した予後予測因子であり, LGE の量が左室重量の15% を超えると,低リスクと考えられていたHCM でも突然死リスクが2 倍になることが報告された727.計2,993 人を検討したメタ解析では,LGEが存在すると突然死のリスクが増大し,そのオッズ比は3.41(P <0.001)であった.またLGE の広がりは心臓突然死の増加と有意に関連しており,LGE の範囲が10% ではハザード比1.56(P <0.0001)であった.ベースラインの基準値で調整してもLGE の広がりは心臓突然死のリスクと有意に関連していた(ハザード比1.36,P =0.005) 515 7.2.3 拡張型心筋症 LGE と心臓突然死の関係性が報告されており,Gulatiらは拡張型心筋症(DCM)患者472 人のうちLGE 陽性は132 人であり,心臓突然死が4.61 倍になると報告した728.またAssomull らはDCM 患者の35% に心筋中層のLGEを認め,そのような患者は心臓突然死あるいはVT の発生が5.2 倍になると報告している 729 7.2.4 不整脈原性右室心筋症/ 不整脈原性心筋症 ARVC/ACM は若年の突然死の原因としてHCM とともに多く,その診断,不整脈リスク評価は重要である730.近年Aquaro らは,ARVC/ACM 140 人に心臓MRI を用いた多施設前向き登録研究を行った.心臓MRI 異常(壁運動異常・心室拡大・脂肪浸潤・LGE のいずれか1 つ以上)は126 人(90%)に認められ,右室単独病変が58 人(41%),両室52 人(37%),左室単独16 人(12%)であった.平均5年のフォローアップで48 人(34%)が心イベント(突然死, ICD 作動,心停止)を発生したが,心臓MRI で異常のない患者では1 人も認めなかった.多変量解析の結果,MRI で認められた左室病変は心イベントの独立した危険因子であった(ハザード比4.2,P =0.0001) 731 7.2.5 心臓サルコイドーシス 心臓サルコイドーシスは房室ブロックや脚ブロックなどの伝導障害で発症することが多く,進行すると致死性不整脈から突然死をきたす.Greulich らは心病変が疑われるサルコイドーシス患者155 人に心臓MRI を施行し,前向きに観察した.LGE は39 人(25.5%)に認められ,平均2.6年のフォローアップで12 人(25.5%)が心イベント(死亡・ICD 作動・心停止)を発生した.多変量解析の結果,LGEは心イベントの独立したかつもっとも優れた予測因子であった(ハザード比31.6,P =0.0014) 732. 7.3 MIBG 心筋シンチグラフィ I-123 metaiodobenzylguanidine(MIBG)はノルアドレナリンと類似の動態を示す性質を持ち,心臓交感神経機能障害を評価可能な放射性医薬品である.MIBG 心筋シンチグラフィはこれまでの研究で心縦隔比(H/M 比)や洗い出し率(WR)などの定量的指標が心不全における予後評価に有用であると報告されている733-735. 近年では突然死の予測にも有用性が指摘されており, Tamaki らはLVEF 40% 未満の心不全症例でWR の亢進は突然死の独立した危険因子であったこと736,Akutsu らは,H/M 比の低下症例で(2.8 未満),突然死や致死性不整脈が多いことを報告した737.またKasama らは心不全入院症例を対象とし,多変量解析で退院時と加療半年後のWR の差であるΔWR が突然死の予測に有用であったと報告している738.