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p.71 抽出テキスト

試験で失神が誘発されるかあるいは臨床症状と同じ症状が誘発されれば確定診断となるが,誘発されなくても否定することはできない.そのため詳細な問診により臨床診断することも可能である(表36A).一方,チルト試験はペーシング治療を考慮する場合において,治療の有効性の予測に有用である710.血管迷走神経性失神は,長時間の立位あるいは座位の状態で,不眠,疲労,恐怖などの精神的・肉体的ストレス,人混みや閉鎖空間などの環境要因が誘因となり発症し,嘔気,冷汗,頭痛,眼前暗黒感,腹痛などの前駆症状を伴い,基礎疾患のない若年者に発症する傾向がある.高齢者の反射性失神では,失神前駆症状が乏しく,基礎疾患も有することが多いため,心原性失神との鑑別が重要となる(表36).

5.6 てんかん性失神

てんかん発作は脳の電気的異常興奮により筋肉の硬直やけいれんを伴うことが多いが,部分てんかんにおける複雑部分発作では,上腹部不快感や吐き気などの前兆を伴い,発作中にけいれんや筋硬直を伴わず,自動症や意識減損,発作後の記憶の混乱や朦朧状態などが認められる.てんかん発作時には交感神経機能亢進によるictal tachycardia(おもに洞性頻脈)を呈することが一般的である.側頭葉てんかんによる複雑部分発作では,てんかん刺激による迷走神経過緊張あるいはカテコラミン放出による交感神経過緊張による迷走神経反射を誘発することで徐脈や心停止(ictal

bradycardia/asystole)が生じ,二次的に失神を合併することから反射性失神に分類される.これを「てんかん性失神」とよんでいる.てんかん発作で引き起こされた心停止により脳血流が停止することで,てんかん発作自体も停止することから,一種の生体防御反応とも考えられている

711 てんかん性失神の心電図所見は,血管迷走神経性失神の

表38 心原性失神のリスク所見

1.重度の器質的心疾患あるいは冠動脈疾患心不全,LVEF 低下,心筋梗塞既往2.臨床上あるいは心電図の特徴から不整脈性失神が示唆されるもの

1 労作中あるいは仰臥時の失神2 失神時の動悸3 心臓突然死の家族歴4 非持続性心室頻拍5 二束ブロック(左脚ブロック,右脚ブロック+左脚前枝または左脚後枝ブロック),QRS ≧120 ms のその他の心室内伝導異常6 陰性変時性作用薬や身体トレーニングのない不適切な洞徐脈(<50/ 分),洞房ブロック7 早期興奮症候群8 QT 延長または短縮9 ブルガダ心電図パターン10 ARVC/ACM を示唆する右前胸部誘導の陰性T 波,ε波,

心室LP 3.その他重度の貧血,電解質異常など

表37 一過性意識消失の原因となる不整脈性失神と非不整脈性失神の症状による鑑別

不整脈性失神(おもに,徐脈や頻脈で発生するもの)非不整脈性失神(おもに,血圧低下で発生するもの)

原因疾患の種類徐脈性・頻脈性不整脈による心原性失神,反射性失神[おもに心抑制型,てんかん性失神(ictal bradycardia/

asystole)を含む]など起立性低血圧,反射性失神(おもに血圧低下型)など

前兆(前駆症状)の特徴動悸の自覚は心原性に比較的特徴的(上室・心室頻拍,徐脈頻脈症候群など).反射性では,頭重感,嘔気,嘔吐,腹痛,心窩部不快感,眼前暗黒感など反射性では,頭重感,嘔気,嘔吐,腹痛,心窩部不快感,眼前暗黒感など誘因(感情,体位など)心原性では労作との関連性もある.反射性失神は立位や座位での非体動時や環境要因・ストレスが影響する.起立性低血圧は,立位時に発生する.反射性失神は立位や座位での非体動時や環境要因・ストレスが影響する.顔面蒼白ありあり意識消失時間心原性失神や反射性失神では短く1 分以内が多い1 分以内が多い痙攣の有無しばしば認める(数秒~15 秒程度)少ない開眼の有無開眼開眼自動症の有無てんかんによる不整脈性失神ではしばしばまれ朦朧状態・失見当識てんかんによる不整脈性失神ではしばしばなし咬舌まれだが,失神では舌前面まれだが,てんかん発作では舌側面転倒・外傷部位頭部・顔面頭部・顔面