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p.69 抽出テキスト

目撃者の情報が参考になる.

失神と非失神(特にてんかん)との鑑別をするうえで,てんかんに関するある程度の基本的知識も求められる.たとえば,失神やてんかんでは,発作時に開眼していることが多いのに対し,心因性発作では閉眼していることが多い.発作の持続時間に関しては,失神は1 分以内と短いのに対し,非失神ではやや長い.意識消失後に意識朦朧状態が続く場合には,失神以外の原因疾患も考慮する.動悸症状に引き続いて短時間の意識消失をきたし,顔面蒼白を認める場合には失神を疑う.

失神とは,「一過性意識消失をきたし体位の維持ができなくなるもの」と定義されるが,失神は症状であり疾患名ではない.病態生理学的には一過性の全般性脳虚血で発生し,その原因から反射性失神,起立性低血圧,心原性失神の3 つに分けられる(図32).初期評価の結果,失神であると判断した場合には,心原性を見落とさないことが重要である.失神の原因となる疾患の特徴的な前駆症状,随伴症状はあらかじめ認識しておく.たとえば,長時間の立位時に前駆症状を伴う場合は血管迷走神経性失神を疑う.立位直後に失神を繰り返し起立性低血圧が疑われる場合には,降圧薬などの服用の有無も必要な情報となる(表36A).運動時や動悸あるいは胸部症状が先行する場合,臥位での失神や突然死の家族歴,器質的心疾患や心機能低下,あるいは心電図で二束ブロック所見などがあれば心原性失神を疑う(表36B).

徐脈性不整脈の中では,徐脈頻脈症候群や発作性房室ブロックは,失神の原因となることが多い.ここでは,不整脈による意識消失(不整脈性失神)と不整脈以外の非不整脈性失神(おもに血圧低下による)に分け,その一般的な症状の特徴を表37 に示す2, 699.不整脈性失神には,二次的に発生した不整脈によって引き起こされる失神も含めた. 5.2 リスク評価

失神が強く疑われるものの,原因疾患の確定診断に至らない場合には,リスク評価を行う(表38)

5.高リスク所見

があれば心原性失神の可能性を疑い,基礎心疾患や心機能などを精査し運動負荷心電図,ホルター心電図,長時間の心電図モニタを考慮する.また,必要に応じて心臓電気生理学的検査(EPS),心臓カテーテル検査などで原因を確定していく.発作頻度にもよるが,週に1 回以上の頻度で症状があれば,まずホルター心電図が有用である.月1 回以上の頻度であれば,体外式長時間ループ式心電計が有用である.発作頻度が非常に少ないか,あるいは不定期に発生している場合には,植込み型ループレコーダ(ILR)を考慮する.

一方,高リスク所見がなく,初回発作あるいは発作頻度がきわめて少ない場合には,経過観察のみでよい.しかし,高リスク所見がなくても失神発作を頻回に繰り返す場合には,体外式長時間ループ式心電計の有用性が高い.反射性失神や起立性低血圧などの非心原性失神を除外したうえで不整脈との関与を見極めるためにILR も有用である.ILRの適応基準については,第1 章6 および不整脈非薬物治療ガイドライン(2018 年改訂版)を参照されたい

2. 5.3

二束ブロックを有する患者の原因不明の失神

心電図で二束ブロック(完全左脚ブロック,あるいは完全右脚ブロックに左脚前枝ないし後枝ブロックを伴う場合でQRS 幅 >120 ms)を有する原因不明の失神患者では,しばしば発作性房室ブロックをきたし,高い死亡率(特に突然死)との関連が知られており,ペースメーカ治療の必要性が検討されてきた700, 701.EPS でHV 時間70 ms 以上あるいはペーシングや薬剤負荷(I 群抗不整脈薬)で2 ~3

図32  失神の原因疾患心原性失神

不整脈・徐脈▶ SSS ▶ 房室ブロック・頻脈▶ 上室性▶ 心室性構造的心肺疾患

・大動脈弁狭窄・HCM・肺高血圧・大動脈解離

反射性失神起立性低血圧

・血管迷走神経性失神・頸動脈洞失神・状況失神・てんかん性失神・薬物起因性

・自律神経不全▶ 原発性▶ 二次性