p.62 抽出テキスト
患者36 人とその家族45 人に対し,アドレナリン負荷による心室不整脈の出現の有無を調べた結果,その特異度は98% であったが,感度は28% と低かった672. d. ホルター心電図 ホルター心電図は656,とくに運動負荷試験が施行できない症例(蘇生後症例や幼児など)や感情ストレスに伴って症状が出現するような不整脈の検出に有用であるが,不整脈検出の感度は運動負荷試験に比べると低い 65 e. 心臓電気生理学的検査 CPVT に認められる二方向性VT や多形性VT,PVC はプルキンエ起源であるとの報告があり,薬剤抵抗性や植込み型除細動器(ICD)頻回作動例に対してはアブレーション治療も選択肢の1 つとして考えられている.しかし,EPSによるCPVT の診断価値は低く,ESC ガイドラインでは突然死のリスク評価としてEPS によるVT/VF 誘発は禁忌とされている 188 f. 遺伝学的検査 CPVT 患者の60 ~70% に遺伝子異常が見つかり,現在までに数種類の原因遺伝子が報告されているが,ほとんどがリアノジン受容体の遺伝子RYR2 である(表32) 8 ESC ガイドライン 188 では,RYR2 とCASQ2 のみをCPVT の原因遺伝子としている. これまで150 以上のCPVT の原因と考えられるRYR2の病的変異が報告されているが,その多くが特定の領域に集中している673.また常染色体顕性遺伝を呈するが,家族内発症は少なく孤発例が多いといわれる.CASQ2 674 やTRDN 675 は常染色体潜性遺伝を呈し,RYR2 異常の患者よりも重篤と考えられる.CASQ2 のhomozygous あるいはcompound heterozygous の異常を有するCPVT 患者 (発端者)36 人と一方の遺伝子異常のみ有する家族76 人を調べた結果では,発端者の突然死リスクはきわめて高く(76 ~97%),heterozygous 異常の家族においても33% がCPVT と臨床診断された 676 したがって,患者の病歴,家族歴,心電図所見などから 臨床的にCPVT と診断あるいは疑われた患者に対して,診断確定のため遺伝学的検査が推奨される(ただし保険適用外).また家族に対しては,当該患者においてみつかった遺伝子異常の有無を検査することが推奨される317(第1 章8 参照). 4.5.2 診断基準 CPVT は器質的心疾患を認めず,心電図が正常な40 歳未満の例で,運動もしくはカテコラミン投与により,他に原因が考えられない二方向性VT,多形性VT,多形性PVC が誘発される場合,またはCPVT に関連する遺伝子変異を認める場合に診断される.発端者の家族で心疾患を認めないにも関わらず,運動による多形性PVC や二方向性VT もしくは多形性VT が誘発される場合もCPVT と診断される 43. 4.6 不整脈原性右室心筋症(ARVC)/不整脈原性心筋症(ACM),不整脈原性左室心筋症(ALVC) ARVC は,右心室を中心に脂肪変性・線維化が進行するfibro-fatty change を特徴とする.右室起源の心室不整 表32 CPVT の亜型 CPVT1 CPVT2 CPVT3 CPVT4 CPVT5 CPVT 関連疾患 ATS LQT4 割合(%) 50 ~60 1 ≪1 ≪1 ≪1 ≪1 ≪1遺伝形式AD AR AR AD弧発例AD AD初発症状発現(歳) 10 7 22, 18, 4 4 2, 26 14, 9, 17 ? 性差(M:F) 1:1 1:1 1:1 1:1 M=3 F >M? ?染色体遺伝子座1q43 1p13.1 4p13.1 14q32.11 6q22.31 17q24.3 4q25-26 原因遺伝子RYR2 CASQ2 TECRL CALM1 TRDN KCNJ2 ANK2 蛋白リアノジン受容体カルセクエストリンTECRLカルモジュリントリアジンKir2.1αアンキリンB突然死発生率(%) ≈10 ≈42 ≈57 ≈18 ≈25 ? ? AD:常染色体顕性遺伝,AR:常染色体潜性遺伝RYR2:リアノジン2,CASQ2:カルセクエストリン2,TECRL:trans-2,3-enoyl-CoA reductase like protein,CALM1:カルモジュリン1, TRDN:トリアジン,KCNJ2:K チャネル内向き整流サブファミリー J メンバー2,ANK2:アンキリン2 (日本循環器学会.2018 8 より)