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p.60 抽出テキスト

側胸部誘導で非タイプ1(タイプ2 およびタイプ3)のST上昇(高位肋間およびNa チャネル遮断薬負荷後も非タイプ1)を認めた12 人では,この所見を認めなかった19 人に比べて有意にVF 再発が多かったことを報告している

652 一方,ブルガダ症候群では下側壁誘導でのER を合併して

いる場合にVF の発症リスクが高まることが知られている170, 603.これらは,ブルガダ症候群およびERS ともに広範な誘導におけるER 所見を有することがVF 発症の高リスクであることを示唆している.

ERS 患者においては,VF 発症リスクの評価目的で高位肋間およびNa チャネル遮断薬負荷による前胸部誘導心電図波形の評価が有用である. c.  特殊心電図指標

わが国のAbe らは,VF の既往のある22 人をERS 患者7 人と非ERS 患者15 人に分け,24 時間心電図記録から脱分極異常の指標である心室LP を時間帯別に解析した. ERS 群では夜間に心室LP が高率に陽性となる日内変動を示したことから,心室LP の日内変動評価がリスク層別化に有用である可能性を指摘している644.一方,Soliman らはホルター心電図検査を施行した687 人において,心電図におけるER 所見と心室LP および心拍変動解析結果に関連性がなかったことを報告している

653 d.  心臓電気生理学的検査

Mahida らは,わが国を含む多施設からのVF による心停止既往のあるERS 患者81 人(平均年齢36 歳,男性60人)に対してEPS を施行した651.18/81 人(22%)にVFが誘発され,平均7 年間のフォローアップが行われた.VF誘発群の6/18 人(33%),VF 非誘発群の21/63 人(33%)にVF 再発が認められ,両群間に差がなかった.この報告はあくまでVF 既往例を対象としたもので,無症候例を対象とはしていないが,ERS 患者におけるリスク層別化としてのEPS の有用性は低いと考えられる

133. 4.5

カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)

CPVT は比較的まれな不整脈であり654-656,通常10 歳前後で運動,カテコラミン投与などによりVT やVF を発症し,若年者の失神発作や突然死の原因として重要である

657 CPVT 患者は心臓超音波,CT,MRI などの画像診断で構

造・機能異常を認めることはなく,安静時心電図も目立った異常所見はない.したがって,一般的な臨床検査において無症状のCPVT 患者をスクリーニングすることは難しい.診断に関する推奨とエビデンスレベルを表31 に示す. 4.5.1 臨床所見・検査

a.  症状(失神発作,VF)

CPVT の主要な初発症状は失神であり,通常,運動あるいは感情ストレスに伴って発生する654, 655.Sumitomo らの報告によれば,CPVT と診断された29 人中,失神で見出されたのが23 人(79%),心停止が2 人(7%)であった

655 最初の失神は20 歳まで(おもに7 ~12 歳)

658 に発生する

ことが多い.さらに初発症状が心停止の場合もあり,乳幼児突然死症候群659 や特発性VF の原因がCPVT である場合もある660.また若年の運動中あるいは緊張や感情ストレス時の意識消失や心室不整脈が主体となるため,先天性LQTS1 型(LQT1)との鑑別が重要である661.過去にLQT1 と診断されていた症例が実はCPVT であることが判明することは少なくない. b.  安静時心電図

CPVT の安静時心電図は一般的には正常範囲だが,約20% の症例で洞徐脈を認め662, 663 さらにU 波を認めることもある48.心房細動(AF)や洞不全症候群(SSS)などの上室不整脈が16 ~26% で認められる656, 664, 665. c.  運動負荷心電図・薬剤負荷心電図

運動負荷試験はCPVT を診断するうえでもっとも有力な検査法である656.CPVT に対する運動負荷試験は,再現性をもって心室不整脈を誘発することが可能である654, 655.運動により心拍数が120 ~130 拍/ 分を超えるとPVC は出現するが,運動継続により多形性VT,二方向性VT(1拍ごとにQRS の極性が180 度変わり,VT 波形間の連結期がほぼ一定の頻拍)が出現し,きわめて速いVT/VF が誘発されると失神や突然死を惹起する65, 655, 666(図27) 65.

表31 CPVT の診断に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

安静時心電図,経胸壁心エコー図検査(TTE),CT,MRI などの画像診断で器質的・機能的異常の除外を行う. I C CPVT で心停止蘇生例またはVF が臨床的に確認されている症例に対し,蘇生後で運動負荷ないし薬物負荷試験が困難な場合,遺伝学的検査を行う. I C多形性VT,二方向性VT の誘発を目的とした運動またはアドレナリン負荷試験を考慮する. IIa C多形性VT,二方向性VT の検出を目的としたホルター心電図検査を考慮する. IIa C VT/VF の誘発を目的としたEPS を行うべきではない. III Harm C