p.59 抽出テキスト
a. 12 誘導心電図における早期再分極所見 下壁誘導の2 誘導以上または側壁誘導の2 誘導以上,ないしはその両者に0.1 mV 以上のJ 点上昇を伴った場合をER パターンとよぶ.J 波は,その波形からノッチ型とスラー型に分類される(図25).脚ブロックとの鑑別は,ノッチまたはスラーを認めない誘導におけるQRS 幅が120 ms未満であると定義されている649.表30 のような疾患に伴うER 所見と鑑別する必要がある. b. 臨床所見 明らかな器質的心異常を伴わないVF もしくは多形性VT を認める.そのほか,原因不明の心肺蘇生症例ないしは心臓突然死症例も含む.ただし,冠攣縮に伴って誘発されたVF もしくは多形性VT 症例を除外する必要がある 650 4.4.2 リスク評価 図26 にER パターン心電図を認めた場合の検査フローチャートを示す. a. 臨床症状 VF の既往があるERS 患者では,失神の既往を有する症例が比較的多いと報告されている44.一方,VF の既往例および心停止からの蘇生例以外で,ER 所見を有する症例における突然死の予測はきわめて困難である.健診やスクリーニングでたとえER 所見を認めたとしても,将来的にVF を発症する危険性はきわめて低いといえる 62 b. 12 誘導心電図指標 12 誘導心電図において,1下側壁の広範な誘導におけるJ 点上昇,20.2 mV を超えるJ 点上昇,3ST 部分が水平型もしくは下降型,4日内変動や日差変動の大きなJ波所見は,心イベント発症の高リスクを示唆する651.Kamakura らは,VF の既往があるERS 患者31 人のうち,右表29 ER およびERS の診断基準 ER の診断12 誘導心電図において,下壁誘導の2 誘導以上または側壁誘導の2 誘導以上,ないしはその両者に0.1 mV 以上のJ 点上昇を伴う,スラー型またはノッチ型のER パターンを認める場合ERS の診断以下の症例にER パターンを認める場合・ 器質的心異常を伴わないVF 症例ないしは多形性VT 症例・ 原因が明らかではない心肺蘇生症例ないしは心臓突然死症例(日本循環器学会.2018 8 より) 表30 ERS と鑑別すべきおもな疾患 心疾患ブルガダ症候群,ARVC/ACM,虚血性心疾患,心筋炎,心外膜炎,心臓腫瘍心疾患以外低体温症,電解質異常(低Ca 血症,高K 血症) 図25 ER の波形 ノッチ型スラー型 図26 ER パターン心電図を認めた場合の検査フローチャート・ 経過観察・ 症状の定期的な確認・ 定期的に12 誘導心電図検査 を行って日内変動および日差変動の大きなJ 波の有無を確認 下側壁誘導におけるJ 点上昇 ICD 植込み治療検討 推奨クラスI不整脈以外の 原因精査 VF,多形性VT を 認めた場合原因不明の失神に対するILR 植込み 推奨クラスI (心原性が疑われる場合) 有症候性無症候性 失神,痙攣,夜間苦悶様呼吸・VF,多形性VT を認める・原因不明の心肺停止蘇生症例