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p.58 抽出テキスト

り74, 618-622,VF 発症に迷走神経活動の亢進が関与していると考えられる. iii. TWA

TWA は再分極異常を反映する指標であるが,ブルガダ症候群患者では肉眼的に識別可能なTWA が生じやすいことがわが国から多く報告されている247, 594, 623, 624.また,24時間ホルター心電図において時間領域で解析されたTWAの有用性が複数報告されている625-627. e.  心臓電気生理学的検査

心臓電気生理学的検査(EPS)は,自然発生のタイプ1心電図で原因不明の失神がある場合,あるいは自然発生のタイプ1 心電図で臨床歴,家族歴,その他の心電図異常所見,遺伝子変異などの突然死リスクを考慮すべき事項がある場合に適応を検討する(表28).心室期外刺激のプロトコールについては,各研究で異なっており,これまで確立された方法はない.

一般的には,閾値の2 倍の出力で,右室心尖部と右室流出路から,基本周期は600 ms と400 ms(あるいは500 ms)で行う.右室心尖部と右室流出路の2 ヵ所から2 ないしは3 連刺激まで行い,最短刺激間隔は200 ms が一般的である.しかし,わが国のAsada らは無症候性ブルガダ症候群に対して刺激間隔180 ms までの期外刺激がVF 発生予測に有用であったと報告している

602 誘発の陽性基準は,一般に30 秒以上持続あるいは血行

動態が破綻し電気的除細動を必要とするVT およびVF とされている.FINGER レジストリー178 やPRELUDE レジストリー258 ではVT/VF 誘発性は心イベントの予測因子にはならなかったが,Brugada らは一貫してEPS での誘発性確認の重要性を報告している175, 176.EPS によるVT/VFの誘発性が心イベントの予測因子となりうるかについては,いまだ一定の見解は得られていない.しかし,その後の欧州を中心としたメタ解析では,単発または2 連刺激で誘発される場合には,予測因子として有用であると報告されている628, 629.

わが国の遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017 年改訂版)では,タイプ1 のブルガダ心電図で原因不明の失神をきたしている場合,EPS による2 連刺激以下での誘発性を評価することでリスク層別化の参考にすることを推奨している8.一方,無症候性ブルガダ症候群患者におけるEPS によるリスク層別化は明確な推奨が定まっていないが,自然発生のタイプ1 ブルガダ心電図で家族歴, SCN5A 変異,QRS 棘波,J 波などの付加的異常を呈する場合には,考慮してもよい8(表28). f.  遺伝学的検査

SCN5A 変異陽性例,とくに孔(pore)領域に変異を認める場合はそうでない例に比較して心イベント発生が多いことがわが国から報告された318.また,イタリアからもSCN5A 変異が予後予測に有用であることが報告されている630.有症候性ブルガダ症候群と考えられる症例,および発端者に遺伝子変異を認めた場合の血縁者に対しては,遺伝学的検査を検討すべきである(第1 章8 参照).一方,ブルガダ症候群患者の家族歴がない非タイプ1(タイプ2およびタイプ3)心電図症例に対する遺伝学的検査は,有用性のエビデンスがないことから安易に行うべきではない

317. 4.4

早期再分極症候群 (ERS) ,J 波症候群

心電図における早期再分極(ER)所見は,病的な意義はないと考えられていたが,近年VF の発生に関与していることが明らかになった.1953 年にOsborn らがアシドーシスになった低体温のイヌにおいて,QRS 波直後に認めるこぶ状の波形(オズボーン波)がVF 発生に関係していることを報告した631.わが国からはAizawa らが1993 年にERを認めVF を発症した症例を報告している632.2008 年にHaïssaguerre らがVF を伴う早期再分極症例をまとめて報告し633,「早期再分極症候群(ERS)」という疾患概念が提唱された.ER の有所見率は,健常人で3 ~24% 62, 633-640,器質的心異常を伴わないVF 例では23 ~44% であり633, 641-647,健常人に比べてVF 例において高い.また,若年男性,アスリート,アフリカ系米国人およびわが国を含む東南アジア人で多いとされている640, 648.ブルガダ症候群とは疫学,臨床症状,心電図所見において共通点が多いが,相違点も存在する

44 4.4.1 診断

ERS の診断は,112 誘導心電図におけるER 所見と2臨床所見の両者を満たすことで行われる(表29) 8, 43.

表28 ブルガダ症候群の診断とリスク評価に関するEPS

の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

自然発生のタイプ1 心電図で原因不明の失神がある症例に対して,EPS を考慮する. IIa C自然発生のタイプ1 心電図で無症候性であっても,考慮すべき他の臨床所見(年齢,性別,家族歴など),その他の心電図異常所見(QRS 棘波,J 波など), SCN5A 遺伝子変異を有する症例に対して,EPS を考慮してもよい. IIb C