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p.55 抽出テキスト

が国ではSQTS に対する遺伝学的検査の保険適用はない.

4.3 ブルガダ症候群

ブルガダ症候群は,12 誘導心電図の右側胸部誘導における特徴的なST 上昇(J 点増高)を呈し,主として若年~中年男性が夜間にVF を発症して突然死する可能性のある疾患である585.わが国を含む東アジアで比較的有病率が高く,後述する特徴的な心電図所見であるコブド型(タイプ1)ST 上昇は,欧米人では0.02 ~0.15% 程度とされるのに対し586-588,日本人では0.1 ~0.3% 589-591 と報告され

ている.

4.3.1 診断

ブルガダ症候群の診断は12 誘導心電図所見によってなされ,症状の有無を問わない.12 誘導心電図において, 2 mm(0.2 mV)以上を示すST 上昇に引き続いて陰性T波を示すものをタイプ1 心電図(コブド型ST 上昇)とよぶ.ST 上昇を認めるが陰性T 波を認めないものをサドルバック型ST 上昇とよび,ST の終末部(トラフ)が1 mm (0.1 mV)以上の場合はタイプ2 心電図,1 mm(0.1 mV)未満の場合はタイプ3 心電図とよぶ(図23)

592 高位肋間を含めた第2 ~4 肋間のV1 ~V2 誘導におけ

る1 誘導以上で,自然発生,発熱およびNa チャネル遮断薬負荷後にタイプ1 心電図を認めた場合にブルガダ症候群と診断する43.さらに,原因不明の心停止,VF または多形性VT,夜間の苦悶様呼吸,原因が明らかでない失神を認める場合を有症候性ブルガダ症候群,認めない場合を無症候性ブルガダ症候群とよぶ8.非タイプ1(タイプ2 およびタイプ3)心電図の場合はブルガダ症候群と診断されないが,時間経過とともにタイプ1 心電図が出現する可能性があるので,経過観察(特に失神出現時の受診)が必要である.

原因不明の心停止からの蘇生症例に対しては,ブルガダ症候群の有無を診断する目的で,高位肋間の前胸部誘導心電図検査のほか,Na チャネル遮断薬による薬物負荷試験を行うことを考慮する(表27)

593 4.3.2 リスク評価

ブルガダ症候群の心電図波形は日内変動や日差変動があり,食事594 や運動74 などでもブルガダ心電図へ変化することがわが国から報告されている.このため,複数の臨床的な指標や心電図指標を組み合わせてのリスク評価が試みられている177, 259, 595.図24 にブルガダ心電図を認めた場合の検査フローチャートを示す.

表24 SQTS の診断に関する推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

QTc 330 ms 以下をSQTS と臨床診断する. I C QTc 331 ~360 ms の症例のうち,以下の条件のうち1 つ以上を満たす症例ではSQTS の診断を考慮する.・SQTS の原因遺伝子異常が同定される・ SQTS の家族歴がある・ 40 歳未満での突然死の家族歴がある・ 器質的心疾患を伴わないVT またはVF

の既往があるIIa C

表25 SQTS の心臓突然死リスク評価に関する推奨とエビ

デンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

SQTS と診断された有症候性患者のうち,以下のいずれかまたは両者を認めたものは,高リスクである.・心肺停止の既往・自然発症の持続性VT(失神の有無は問

わない) I C SQTS と診断された無症候性患者のうち,心臓突然死の家族歴を持つものは,中リスクであると考慮する. IIa C

表26 SQTS の原因遺伝子

タイプ遺伝子座原因遺伝子イオン電流特徴SQT 1 SQT 2 SQT 3 SQT 4 SQT 5 SQT 6 SQT 7 SQT 8 7q35-q36 11p15.5 17q23.1-q24.2 12p13.3 10p12.33-p12.31 7q21.11 3p21 2q35 KCNH2 KCNQ1 KCNJ2 CACNA1C CACNB2B CACNA2D1 SCN5A SLC4A3 I Kr (α) I Ks (α) I K1 I Ca-L I Ca-L I Ca-L I Na (α) Cl-/HCO3-ブルガダ症候群とのオーバーラップブルガダ症候群とのオーバーラップブルガダ症候群とのオーバーラップブルガダ症候群とのオーバーラップ