p.54 抽出テキスト
方,13 歳未満のLQT1 とLQT2 の心イベント率は,女性に比較して男性で有意に高いと報告されている544, 546.また,Priori ら68 はLQT3 のうち男性のみをQTc ≧500 で高リスクとしていたが,現在は否定的で性差はないとする意見が多い542. 4.2 QT 短縮症候群(SQTS) SQTS は,QT 短縮を背景にVF による失神や心臓突然死を発症するまれな疾患である.2000 年にはじめて報告された比較的新しい疾患概念であり578,いまだ十分な臨床的,遺伝学的検討がなされていない.典型的なSQTS の心電図波形を図22 に示す.診断は,QT 間隔短縮に加え,臨床症状,家族歴,遺伝子変異などを総合して行われており,2011 年にGollob らがLQTS と同様にリスクスコア化を試みている579.症候性SQTS の検出に有用であるという報告580 もあるが,やや煩雑で一般には使用されていない581, 582.2013 年のHRS/EHRA/APHRS の合同ステートメントでは,臨床所見を考慮せずにQTc が330 ms 以下の症例をSQTS と診断することが推奨されている43.一方, 2015 年のESC ガイドラインでは,無治療では40% の患者が40 歳までに突然死する致死率の高い疾患であることを考慮し583,無症候性患者の検出感度を高めるため,QTc 340 ms 以下で診断することを推奨している188.無症候性SQTS のQTc カットオフ値を330 ms とするか340 ms とするかは議論があるが,本ガイドラインでは,これまでの臨床研究を踏まえ,HRS/EHRA/APHRS の合同ステートメントによる診断基準と治療方針に準じて推奨表を作成した(表24,25). SQTS は常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式をとり,現在までにK+ チャネル,L 型Ca2+ チャネル,Cl-/HCO3-エクスチェンジャーなどをコードする8 つの原因遺伝子が報告されている43, 584(表26).なお,2022 年1 月現在,わ 図22 SQTS の心電図の実例 I II III aVR aVL aVF V1 V2 V3 V4 V5 V6 QTc 330 ms,QT 280 ms,RR 740 ms 表23 先天性LQTS の心臓突然死リスク評価に関する推奨 とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 年齢,性別,遺伝子型に無関係に,QTc 500 ms 以上は高リスクである. I C QTc に無関係に,心イベント(失神,心停止)既往例は高リスクである. I C β遮断薬による治療にもかかわらず失神を繰り返す患者は,高リスクであると考慮する. IIa C LQT1 で膜貫通領域の変異,LQT2 で膜貫通ポア領域のミスセンス変異は,高リスクであると考慮する. IIa C QTc 500 ms 未満かつ13 歳未満 *の男性LQT1 は,中リスクであると考慮する. IIa C QTc 500 ms 未満かつ13 歳以上の男性LQT1 は,低リスクであると考慮する. IIa C QTc 500 ms 未満かつ13 歳以上の女性LQT2 は,中リスクであると考慮する. IIa C *: 心拍数の早い小児でのQT 間隔補正には,Fridericia の補正式が 推奨されている.