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には,これら後天的要因(表21)を除外したうえで診断する必要がある. a. 心電図診断 QT 間隔は心拍数(先行RR 間隔)によって変化するため, QT 間隔を先行RR 間隔の2 乗根で割るBazett の補正式(QT 間隔/RR 間隔1/2)で補正されたQTc を用いることが推奨される.ただし,小児など心拍数が高い症例(≧75 拍/分)ではQTc が過大評価されるため,日本小児循環器学会は,学校健診時のQT 間隔補正には3 乗根を用いたFridericia の補正式(QT 間隔/RR 間隔1/3)や,0.31 乗の補正式(exponential correction)を推奨している553.健常成人のQTc の正常値は440 ms 未満とされ,440 ms 以上をQT延長と定義する.QTc が440 ~460 ms は境界域であり, 480 ms 以上でLQTS の可能性が高いと判断する. QT 間隔延長とともに,T 波の形態と交互脈も重要な所見である.T 波の形態には遺伝子型ごとに違いがあり, LQT1 では,幅広い(broad-based)T 波,LQT2 はノッチを伴う平低(low-amplitude and notched)T 波,LQT3 はST 部分の長い(late-appearing)T 波が特徴的である(図21).T 波交互脈は,1 心拍ごとにT 波が変化する現象であり,LQTS の場合,視覚的にもわかるT 波の変化を認めることがある. 安静時にQT 延長が明らかでない患者は,LQT1 の36%,LQT2 の19% で認める68.そこで,家族歴や失神歴からLQTS が疑われる境界域の患者においては,さらに精査を検討する.ホルター心電図は,QT 間隔の日内変動を検出し,左側胸部誘導でT 波交互脈の検出率が高いことより554,CC5 やCM5 誘導を用いた記録が推奨される. b. 運動負荷心電図 運動負荷心電図は,運動負荷後で回復期4 分後のQT延長が診断に有効とされ,2011 年に改訂されたSchwartzの診断基準に追加されている552.先天性LQTS 患者では,運動負荷中の心拍数増加に対するQT 短縮が不十分で,負 荷終了後の回復過程でQTc 延長が認められる555-557.回復期のQT 時間は遺伝子型により異なり558, 559,LQT1 では回復期を通じてQTc 延長がみられるが560, 561,LQT2 およびLQT3 では回復早期のQTc 延長は乏しく,回復後期でQTc 延長が認められる559, 562. 先天性LQTS 14 人とその家族9 人,および対照者40 人を対象に運動負荷試験を施行すると,回復期1 分後のR 波からT 波の頂点までの間隔を用いた基準(ΔRT >25 ms)の診断感度は73%,特異度は92% であった563.LQTS 69人の親族(LQT1 28 人,LQT2 20 人,非キャリア21 人)を対象にした検討では,安静時QTc と4 分後QTc の組み合わせにより,LQTS キャリアを検出する感度は94%,特異度は90% であった559.先天性LQTS 30 家族のうち, KCNQ1/KCNH2 遺伝子が決定された115 人を対象にすると,運動負荷試験による診断感度は92%,特異度は93%であった564. また,運動負荷の困難な症例や遺伝子型の推定を要する症例などでアドレナリン負荷試験が有用である565. なお,運動負荷やアドレナリン負荷試験の施行には, TdP やVF の発症などリスクも伴うため,緊急カートと除細動器を用意するなど万全の態勢で臨む必要がある. c. 失神とTdP LQTS 患者における失神は,自然停止するTdP と考えられており,TdP が持続しVF へ移行すると心臓突然死を惹起する.先天性LQTS の心イベント(失神,心臓突然死)の誘因には,遺伝子型ごとに特徴がある566, 567.LQT1 は,交感神経刺激つまり運動(特に水泳中)が誘因となり, LQT2 は,情動ストレス(恐怖や驚愕)が関与し,睡眠中の目覚まし時計などの音刺激が誘因となる.20 歳以降の発症がまれなLQT1 に比べ,青年期にも発症し,出産前後の女性に心イベントが多いのもLQT2 の特徴である568, 569.一 表21 二次性LQTS のおもな原因 • 薬剤性*(抗不整脈薬,抗菌薬,抗真菌薬,抗アレルギー薬,抗精神病薬,高脂血症薬,抗がん剤) • 徐脈• 房室ブロック,SSS • 電解質異常• 低K 血症,低Ca 血症,低Mg 血症• 心疾患• 急性心筋梗塞,心筋症,心筋炎,たこつぼ心筋症• 脳血管障害• 脳出血,クモ膜下出血,脳梗塞,その他の脳神経系疾患• 内分泌代謝疾患• 甲状腺機能低下症,神経性食欲不振症,女性ホルモン*:QT 延長に関与する薬剤の情報はCredibleMeds のウェブサイト(https://www.crediblemeds.org/)を参照図21 LQTS の心電図の実例 QTc 530 ms QT 520 ms RR 960 ms V3 V4 V5 LQT1 LQT2 LQT3 QTc 650 ms QT 720 ms RR 1240 ms QTc 530 ms QT 650 ms RR 1500 ms