p.49 抽出テキスト
表18 心停止をきたしうる疾患 心原性I. 器質的心疾患あり虚血性疾患 • 急性冠症候群• 冠攣縮性狭心症• 陳旧性心筋梗塞構造学的疾患 • HCM • DCM • 二次性心筋症(心サルコイドーシス,アミロイドーシスなど) • 不整脈原性心筋症• 心筋炎• 不整脈原性僧帽弁逸脱症候群• 先天性心疾患術後その他 II. 器質的心疾患なし• LQTS • SQTS • ブルガダ症候群• ERS • CPVT • IVF • SCIVF • WPW 症候群を伴うAF • 1:1 房室伝導を呈するAFL • 徐脈性不整脈(SSS, 房室ブロック,進行性心臓伝導障害) • その他非心原性I. 内因性• 急性肺血栓塞栓症• 急性大動脈解離• 急性大動脈瘤破裂• 気管支喘息• クモ膜下出血• てんかん• 乳幼児突然死症候群(解剖にて確定診断) • その他II. 外因性• 外傷(鋭的外傷,鈍的外傷),心臓振盪を含む• 電撃症• 熱傷• 偶発性低体温• 溺水• 窒息• 中毒(カフェイン,トリカブト・スイセンなどのアルカロイド) • その他 LQTS,SQTS,ブルガダ症候群,早期再分極症候群(ERS), CPVT については,第2 章4.1 ~4.5 を参照されたい. 3.4.1 狭義の特発性心室細動(IVF) CASPER 試験では初回評価で明らかな心疾患のない原因不明の心停止200 人が精査され,確定診断に至った81人のうち28 人(35%)は器質的心疾患(ARVC/ACM,冠 攣縮,DCM,心筋炎など)を伴い,53 人(65%)は器質的心疾患を伴わない遺伝性不整脈などの疾患と報告された534.器質的心疾患を伴わない疾患の内訳は,LQTS 22%, ERS 16%,CPVT 12%,ブルガダ症候群8%,SCIVF 6%であった. 心停止に至るすべての要因が除外されてもなお原因不明の場合は,狭義の特発性VF(IVF)と定義される9.心肺蘇生により心拍再開を得られた患者では,包括的なアルゴリズムにもとづいて診断に至るまでの戦略的なアプローチを要する71, 178, 535-538.しかし,世界的にも明確なガイドラインが存在しないため,IVF の診断基準がときに恣意的となることもある535.チャネル病のメカニズム解明により診断確定率が上昇しため,IVF の診断頻度は低下しつつある.一方で,IVF の定義も年々変化している534.近年の報告では, 予期せぬ心停止後の蘇生例におけるIVFの診断頻度は5 ~10% とされているが539, 540,Paris- SDEC レジストリーでは冠血管攣縮誘発試験やブルガダ症候群鑑別のためのアジマリン(Na チャネル遮断薬)負荷試験の実施率はわずか20% 未満であった540.不整脈疾患の鑑別には心電図モニタリング,高度な画像診断(冠動脈造影,冠動脈CT,心臓MRI,心臓核医学),負荷試験,遺伝学的検査など一連の包括的な臨床評価が必要に応じて実施されなければならない71, 178, 535-538, 541. また,蘇生後フォローアップ中の経時的な構造学的変化,病態の進行も留意すべきである535, 539.不整脈疾患における遺伝子異常を背景とした診断名の変更は最大20% にのぼり,表現型の重複や変容および多様性が推測される541.心停止に対する診断アルゴリズムを図20 に示す. 4 遺伝性不整脈の診断 4.1 QT 延長症候群(LQTS) 4.1.1 概論 先天性LQTS は,QT 間隔が延長することに起因してトルサードドポアント(TdP)という特徴的な多形性心室頻拍(VT)を発生し,失神ならびに心室細動(VF)から心臓突然死を生じうる疾患群である.本項では,診断と突然死予知に重点をおき,臨床像や治療の詳細は,遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017 年改訂版) 8 ならびに