p.41 抽出テキスト
性がある一方で,その臨床的な効果は十分検討されていない 421 2.1.5 植込み式心臓デバイスで記録されたAF 心房リード付きのペースメーカや植込み型除細動器は,心房のリズムをモニタすることができる.ペースメーカ植込み患者の10 ~15% にAHRE が記録される. ASSERT 試験では,AHRE は臨床的に記録されるAF の発症(ハザード比5.56,P =0.001)や脳梗塞・全身性塞栓症の発症(ハザード比2.49,P <0.007)と関連していた422.デバイスで検出される潜在的なAF のメタ解析の結果では,平均CHADS2 スコア2.1 ± 0.1 点の患者の脳卒中発症率は年間2.76% であり,潜在的なAF は臨床的なAF や脳卒中の発症に強く相関するが,脳卒中発症リスクは臨床的なAF よりも少なかった423.ASSERT 試験のサブ解析では潜在的なAF の持続時間を6 分以上6 時間未満,6 ~24 時間,24 時間以上に分けて解析したが,24 時間以上持続した群においてのみ脳梗塞/全身性塞栓症のリスクが有意に高かった(ハザード比3.24,P=0.003) 424.デバイス植込み患 者ではAHRE を定期的にチェックすべきであり396, 425,記録された場合には心電図のスクリーニング検査や脳梗塞のリスク評価を行うべきである 426 なお心電図でAF の確定診断ができない場合,どの程度 AHRE が記録されたら抗凝固療法を行うべきかなどは,これからの課題として残されている 427 2.1.6 脳梗塞後のAF 検出 脳梗塞後の患者に心電図モニタを行うと,11.5 ~23.7%にAF が指摘された428, 429.患者選択,観察期間,モニタの方法によりAF の検出率は変わるが,ILR による数週間のモニタがもっとも検出力が高い430.脳梗塞発症後でAFの診断が確定していない患者に対しては,長時間の心電図モニタを行う必要がある(第2 章6 参照). 2.1.7 AF の診断と評価法 AF は心血管疾患に合併することがあり,心血管疾患の包括的な診断をすることが重要である. AF のパターンや持続期間,合併心疾患,脳梗塞発症リスク,塞栓症や左室機能不全などを評価するための現病歴,既往歴などを聴取する.12 誘導心電図はAF の確定診断,心拍数評価,基礎心疾患の評価のために行う.採血は甲状腺機能,腎機能,電解質,貧血の評価などを行う.B 型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は心不全のマーカーとして知られるが,AF でも上昇する.ただし,現時点ではAF 診断のカットオフ値の推奨はない431.心エコー検査はすべてのAF 患者に対して推奨される.TTE は弁膜疾患,心筋症, 虚血性心疾患など基礎心疾患の有無,左室機能,左房機能,右室機能の評価を行う 432 外来でのホルター心電図や非ループ式イベントレコーダ などはレートコントロールの効果,発作性AF の症状と不整脈との一致,治療後の再発の有無を評価できる. 経食道心エコー図検査(TEE)は弁膜症や左心耳血栓の評価,特にAF 除細動前に十分な抗凝固期間が取れない場合の心内血栓の評価に有用である.虚血性心疾患が疑われる場合には,心臓CT や負荷試験を行う.脳梗塞が疑われる場合には,頭部CT や頭部MRI で評価する. 2.2 心房粗動(AFL) AFL の有病率はAF の1/ 10 であるが433,AF とAFLはしばしば相互に移行する434.また抗不整脈薬,特にIc群抗不整脈薬によってAF がAFL 化することは臨床的によくみられる435.AFL は三尖弁下大静脈間を解剖学的峡部とし,三尖弁を反時計方向に興奮が250 ~350 /分で旋回することによって生じる436.心電図では下壁の肢誘導(II,III,aVF 誘導)で陰性の鋸歯状波(F 波)を呈する 437 (図12).V1 は陽性,V6 は陰性波を呈する.心室には4:1あるいは2:1 で伝導することが多いが,特に抗不整脈薬内服下では1:1 房室伝導を認めることもある438.安定した2:1 伝導のAFL は鋸歯状波がみにくいことがあるが,房室伝導を抑制することで明らかとなる. 頻度は少ないが,三尖弁周囲を時計方向に旋回するAFL も知られている.心電図上は反時計方向のAFL とは異なり,II,III,aVF 誘導では陽性,V1 で陰性,V6 で陽性波を呈する 439 三尖弁周囲を旋回するリエントリーを通常型AFL,それ 以外の心房内リエントリーを非通常型AFL とよぶことがあるが,後者はマクロリエントリー性の心房頻拍(AT)と同義である. 図12 AFL の心電図の実例