p.38 抽出テキスト
2.1.1 診断 AF の診断には心電図が必須であり,RR 間隔の絶対不整と不規則に上下に変動し細かく揺れる基線(fibrillation波;F 波)が記録される(図10A).永続性のAF になると, F 波が小さくなり,はっきり認識できずに心房静止との鑑別が困難なことがある(図10B).完全房室ブロックになり補充調律になると,規則正しい徐脈となる.通常30 秒以上持続するエピソードを臨床的なAF と診断する 385 2.1.2 分類 以下の分類は,アブレーションの適応を含めた治療方針の決定に関わる. a. 病期による分類 AF は臨床的病期,持続時間,自然停止の有無などにより,以下の5 種類に分類される384, 386. i. はじめて診断されたAF 心電図上はじめてAF が確認されたもので,AF の持続時間や真の初発であるかどうかは問わない.診断後の経過により以下に分類される. ii. 発作性AF 発生後7 日以内に洞調律に復すもの.発生後7 日以内に除細動された場合も発作性AF に分類する. iii. 持続性AF 発生後7 日を超えてAF が持続するもの.7 日以後に薬物または直流除細動によって除細動された場合も含む. iv. 長期持続性AF 1 年を超えて持続するAF. v. 永続性AF AF であることが患者および医師により受容されている場合.洞調律への復帰および維持を考慮する場合には「永続性」とは分類せず,「持続性」あるいは「長期持続性」に分類する. b. 症状による分類i. 症候性AF AF による動悸,息切れ,易疲労感,胸部不快感などの症状があるもの.約半数が症候性といわれている.KICS- AF レジストリーでは2,464 人のAF 患者の中で,症状として動悸41.3%,息切れ16.4%,易疲労感4.4%,胸部不快感3%,運動耐容能の低下4.1%,失神1.7% を認めた387.一般に,持続性AF よりも発作性AF で症状が強い. ii. 無症候性AF AF による症状がないもの.Fushimi AF レジストリーのサブ解析では388,AF(発作性+持続性)患者3,749 人中, 1,971 人(52.6%)が,またKICS-AF レジストリーでは2,464 人中41.8% が無症候性であった387.無症候性AF は,健康診断や他の疾患によりたまたま医療機関を受診して診断されることが多い.発作性かつ無症候性AF は診断が困 図10 AF の心電図の実例A:発症早期のAF,B:永続性AF A B 表15 AF の診断に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 65 歳以上の高齢者に検脈を推奨する.脈が不規則な場合には心電図検査を行う. I A AF の診断には心電図による記録が必要である.12 誘導心電図もしくは1 誘導以上の心電図で,30 秒以上明らかなP 波を認めず,RR 間隔の絶対不整を認めれば,臨床的にAF と診断する. I B脳梗塞もしくは一過性脳虚血発作の既往がある患者に,短時間心電図記録とその後の長期間心電図モニタ(72 時間以上,体外式)を行う. I Bホルター心電図を含む長時間心電図検査でも原因が同定されない潜因性脳梗塞患者に対して,ILR の植込み術を行う. I Bデバイス植込み患者では定期的な高頻度心房興奮(AHRE)を確認する.AHRE が検出された場合は心電図でAF の有無を確認し,AF と診断された場合,脳卒中リスクに応じて治療を開始する. I B AF の診断のために,不整脈発作時の心電図を記録する. I C AF の患者に対し,心血管系の全般的な評価(病歴,臨床検査,併存疾患)を行う. I C AF の管理・治療方針決定のために経胸壁心エコー図検査(TTE)を行う. I C 75 歳以上の高齢者および脳梗塞高リスク患者に,心電図スクリーニングを考慮する. IIa B心拍数調節の正確な評価を目的に,長時間心電図モニタを考慮する. IIa C