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たすため321,遺伝学的検査による早期診断の臨床的意義は大きい322.まれに原因不明の心室細動(特発性心室細動)や心停止蘇生後の患者でも,何らかの病的遺伝子変異を認めることがある. 8.3 検査方法 遺伝学的検査の試料としては血液(全血)が一般的で,血液中の白血球からDNA を抽出する.抗凝固薬としてはethylendiaminetetraacetic acid(EDTA,2Na または2K)入りの採血管を用い,ヘパリンはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を阻害するため使用しない.原則として全血を4 ̊Cで保管する.血液以外には唾液に含まれる細胞成分からのDNA 抽出なども可能である. DNA シーケンス解析(塩基配列決定)のためにもっとも確実な方法はSanger 法で,目的とする遺伝子のDNA 領域をPCR で増幅し,電気泳動法を用いて遺伝子内部の塩基配列を判定する.ただしより多くの連続した塩基対の欠失や重複変異,コピー数多型などの解析にはmultiplex ligation-dependent probe amplification(MLPA)法が有用である 323 NGS を用いた遺伝学的検査としては,特定の疾患群(不 整脈や心筋症など)の原因遺伝子に絞ったパネル解析が有用である.不整脈や関連する疾患原因遺伝子として,数個から数百の遺伝子をまとめて解析できるメリットがある.ただし,本検査結果の解釈には専門的な知識が必要である.検査部門だけで対応できない場合には,遺伝子医療部門のスタッフ,対象疾患の専門医,バイオインフォマティクスの専門家などと連携し,臨床情報と照合して慎重に解釈する.また検査結果を患者に告知する場合には,別の検査手段(Sanger 法など)で確認を行うことが望ましい. 8.4 結果の解釈 遺伝学的検査の結果は,一般の検査以上にわかりやすく患者・家族に説明する必要がある.また,診断は遺伝学的検査の結果のみにとらわれることなく,他の臨床医学的情報を総合的に判断して決定すべきである.なかでも新規変異や,その病的意義が確定されていない(variant of uncertain significance: VUS など)場合,浸透率が100% ではない場合は,バリアントの結果がかならずしも疾患とは関係ないこともあり,検査結果を説明・開示する際には患者・家族を不安に陥れることのないよう細心の注意を払う必要がある. アミノ酸が変化するような塩基置換であっても,機能異 表11 不整脈患者の遺伝学的検査に関する推奨とエビデン スレベル 推奨クラスエビデンス レベル LQTS循環器科医が臨床経過,家族歴,心電図(安静時12 誘導心電図,運動またはアドレナリン負荷試験)で強く先天性LQTSを疑う症例に対して,すべての,またはLQT1~3(KCNQ1,KCNH2,SCN5A)についての先天性LQTS 遺伝子診断を行う. I C QT を延長させる要因(電解質異常,心肥大,脚ブロック,いわゆる特発性以外)がなく,一連の12 誘導心電図でQTc ≧ 480 ms(未成年)または≧500 ms(成人)を呈する無症状のQT 延長症例に対して,すべての,またはLQT1 ~3(KCNQ1, KCNH2,SCN5A)についての先天性LQTS 遺伝子診断を行う. I C先天性LQTS の家族または適切な血縁者に対して,発端者に同定された原因遺伝子変異の遺伝子診断を行う. I C一連の12 誘導心電図で480 >QTc ≧ 460 ms(未成年)または500 >QTc ≧ 480 ms(成人)を呈する無症状のQT 延長症例に対して,すべての,またはLQT1~3(KCNQ1,KCNH2,SCN5A)についての先天性LQTS 遺伝子診断を行うことを考慮してもよい. IIb C心筋症家族性で伝導障害を合併するDCM 患者に対して,ラミンA/C 遺伝子変異の検出を行う(保険適用外). I C CPVT臨床的にCPVT と診断あるいは疑われた患者に対して,遺伝学的検査を行う(保険適用外). I C CPVT 患者の家族に対して,発端者においてみつかった遺伝子異常の検査を考慮する(保険適用外). IIa Cブルガダ症候群タイプ1 心電図を有し,ブルガダ症候群に伴う臨床症状および家族歴を有する症例に対して,網羅的もしくはSCN5A に限定した遺伝学的検査を考慮する(保険適用外). IIa C発端者に確認されたブルガダ症候群の原因遺伝子変異の遺伝学的検査を,家族に対して行うことを考慮する(保険適用外). IIa C