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p.24 抽出テキスト

しての有用性が検証された.その結果,EPS ガイド下でのICD の適応決定の妥当性,すなわちEPS が予知指標として有用であることが示された.また,この試験のサブ解析で,EPS により心室性不整脈が誘発された患者は,誘発されなかった患者と比べて致死性不整脈イベントの発現率が高いことが示された.

一方で,予知指標としてのEPS の限界を指摘した臨床試験もある.MADIT-II 試験のサブ解析257 では,EPS による心室不整脈の誘発が,その後のICD の適切作動(心室不整脈の自然発症)と関連しなかったことが示された. EPS によるVF 誘発性は,ブルガダ症候群患者の高リスク患者の同定においても活用されているが,その有用性は一貫していない170, 176, 258.誘発試験のプロトコールの違い(早期刺激の刺激数や刺激間隔の設定など)で予知精度が変化するためである259.しかし,典型的な心電図波形(タイプ1)を示し,原因不明の失神の既往がある患者においては, EPS でリスク評価することが多い

258. 7.4

加算平均心電図(SAECG)

SAECG は,通常の体表心電図ではノイズに埋もれてしまうような微小電位を,心電信号を加算平均処理してノイズを除去することにより検出する手法である.SAECG で記録される代表的な微小電位に心室LP があり,QRS 終末部に認められる(図5).心室局所の障害による興奮伝導の遅れや不均一性と関連し,脱分極(伝導)異常を反映する.

SAECG の記録はSimson 法260 に準じ,誘導はX,Y, Z 誘導を2 乗平均したvector magnitude 波形,ノイズレベル0.3μV 以下,R 波同期,加算回数は200 ~250 心拍, 40 ~250 Hz のband pass filter を用いるのが一般的である.

心室LP の判定は,1fQRS(filtered QRS duration), 2RMS40(root mean square voltage of the terminal 40 ms in filtered QRS),3LAS40(duration of the low amplitude signals <40μV in the terminal filtered QRS)の3つの指標が用いられる.fQRS はフィルター処理されたQRS 幅,RMS40 はQRS 終末部40 ms において記録された電位の2 乗平均平方根,LAS40 はQRS 終末部で40μ V 以下の低電位の持続時間である.1fQRS >114 ms, 2RMS40 <20μV,3LAS40 >38 ms の3 つの指標のうち,2 つ以上で陽性基準を満たす場合に心室LP 陽性と診断する261.ただし,この基準は心筋梗塞におけるリスク評価として提唱されたものであり,また機種によっても異なるので注意が必要である.

心室LP は以前,心筋梗塞後のVT や予後との関連性が指摘されていたが262, 263,近年急性心筋梗塞に対する再灌

流療法が積極的に行われるようになってからは,複数の臨床試験でその有用性に限界があることも指摘された264, 265.一方で,ブルガダ症候群における心臓突然死や致死性不整脈の予知については有用とする報告があり266, 267,広く活用されているものの,エビデンスとしては確立されていない.ブルガダ症候群で心室LP が検出されるメカニズムとしては,右室心外膜側の伝導遅延がその成因として指摘されている174, 267.DCM において,心室LP が致死性不整脈の予測に有用であったとの報告はあるが268,その有用性は確立されていない.また,不整脈原性右室心筋症(ARVC)/ 不整脈原性心筋症(ACM)では高率に心室LP を認め,診断基準の小基準にこの項目が含まれている269.しかし,心臓突然死や致死性不整脈の予知における有用性については明らかにされていない.

心筋梗塞などの器質的心疾患患者では,心室LP は単独ではなく,他の非侵襲的心電学指標と組み合わせて活用すると,心臓死や不整脈死の予知精度が高まることが知られ

図5 SAECG の実例QRS 終末部に心室LP(矢印)を認める.

100.0 90.0

80.0 70.0

60.0 50.0

40.0 30.0

20.0 10.0

0.0 μV Vector Magnitude

fQRS 133.0 ms RMS40 3.0μV LAS40 60.0 ms

312.0

125 50 ms 200 275 350 425 500

40μV

179.0