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p.20 抽出テキスト

で表現するシステムである.心房細動(AF)のような複雑な興奮動態をリアルタイムに映像化することが可能である.

5.3 適応

マッピングシステムの不整脈診断に関する推奨とエビデンスレベルを表7 に示す.患者背景として,小児や妊婦患者には有用である186-190.透視による放射線被曝を低減する点では,いずれの疾患にもマッピングシステムは有効である.

AF の治療の進歩には欠かせないもので,非肺静脈起源のAF 起源の同定,ラインアブレーションやcomplex fractionated atrial electrogram(CFAE)などの付加的焼灼には適している180, 182, 191-196.解剖が複雑な先天性心疾患術後の頻拍197-203 や瘢痕領域を伴う心室頻拍(VT) 204-208 には,局所の異常電位や低電位領域を記録できるだけでなく,複雑なリエントリー回路が視覚化できるため大きな力を発揮する.頻拍中のマッピングや診断が難しいVT の心内膜および心外膜側のマッピング209-211,また致死性心室不整脈を持つ疾患(ブルガダ症候群173, 212-215, 不整脈原性右室心筋症/ 不整脈原性心筋症216)の心外膜側を含む異常電位のマッピングにも有用である.その他,冠動脈,大動脈弁や乳頭筋などの構造物の認識がアブレーションに有用な心室期外収縮またはVT 217, 218,特異的なアブレーション部位が存在するベラパミル感受性特発性左室頻拍219-223 や脚間および脚枝間リエントリー性頻拍224, 225 などにも有用である.

房室結節リエントリー性頻拍やヒス束近傍の副伝導路を有するウォルフ・パーキンソン・ホワイト(WPW)症候群への使用は226-229,アブレーションによる房室ブロックを回避することができ,カテーテルの固定が不安定で再発率の高い右側に副伝導路を有する症例にも役に立つ

230 6. 植込み型心電計の適応と特徴

6.1 概略

植込み型ループレコーダ(ILR)は植込み型心臓モニタともよばれ,通常の心電図や長時間心電図では検出が困難な,発作的な不整脈を検出する目的で皮下に挿入される心電計機器である.わが国では,原因不明の失神と潜因性脳梗塞における心房細動(AF)検出目的の2 つで保険適用となっている.症状出現時に患者自身あるいは他者によりイベント記録を行うことによって,数分前にさかのぼって心

電図が保存される.また,あらかじめ設定された心拍異常(徐脈,心停止,頻脈,AF など)が発生した場合に心電図が自動的に保存される.遠隔モニタリングも可能であり,原因疾患の同定に有用な医療機器である.現在市販されているものは,ILR 本体に2 個の電極がついており,2 極間の電位から皮下心電図が記録される.3 ~5 年の電池寿命があり,体積は2 cm3 以下できわめて小型化されている. MRI 検査が可能で,手動記録も可能である.ILR の不整脈診断に関する推奨とエビデンスレベルを表8 に示す.

6.2 原因不明失神

6.2.1 原因不明失神の頻度

わが国には「失神」という診断名が疾患分類にはないため,正確な患者数の把握は困難である.しかし,東京都内の大学病院への救急搬送患者の主訴を検討した報告では,一過性の意識障害を主訴とする患者は13%,そのうち79% が失神であり231,日常診療で遭遇する頻度は高い.

表7 マッピングシステムの不整脈診断に関する推奨とエビ

デンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

頻脈性不整脈を有する小児または妊婦において,透視による放射線被曝を低減するためにマッピングシステムを使用する. I A先天性心疾患術後の不整脈[心房頻拍(AT),AF,VT ]の診断において,マッピングシステムの使用を考慮する. IIa B AF の非肺静脈起源の同定,低電位領域やCFAE などの異常電位の評価目的でマッピングシステムの使用を考慮する. IIa B器質的疾患に伴うVT において,心内膜および心外膜側のマッピング目的でマッピングシステムの使用を考慮する. IIa B流出路起源,乳頭筋もしくは左主幹部近傍起源のPVC またはVT,ベラパミル感受性特発性VT,脚間もしくは脚枝間リエントリー性VT,VF のトリガーとなる末梢プルキンエ線維起源のPVC において,マッピング目的で使用を考慮する. IIa B房室結節リエントリー性頻拍,ヒス束近傍または中位中隔,右側自由壁に副伝導路を有するWPW 症候群,AT において,診断目的でマッピングシステムの使用を考慮してもよい. IIb C