p.18 抽出テキスト
40%]をきたしている症例では,ICD による予後改善効果が示されている153, 154.MADIT 試験では,非持続性VTがあり,EPS でVT が誘発されプロカインアミドが無効であることが条件として加えられていた.しかしMADIT II試験のサブ解析では,EPS による心室不整脈の誘発が,その後のICD の適切作動と関連しなかったことが示され,左心機能低下だけで層別化することの妥当性が示されている.一方,MUSTT 試験では,冠動脈疾患で左心機能低下(LVEF ≦40%)を認め,かつ非持続性VT が確認された症例のうち,EPS でVT/VF が誘発される対象において, ICD による予後改善が示された.また,EPS による層別化 の有用性も示唆されている 155 特発性の拡張型心筋症では,心室期外収縮(PVC)や非 持続性VT が認められる率は高いが,EPS でVT/VF が誘発される率は低く,有用性は低い156-158.SCD-HeFT 試験では,左心機能低下(LVEF ≦35%)でニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類II ~III 度の症候を示した例において,ICD 治療がプラセボ,アミオダロンに対し予後改善で優越性を示した159.このことから左心機能低下例の突然死へのVT/VF の関与が推測されるが,EPS で誘発を行うことの意義は低い.肥大型心筋症では,錯綜した異常心筋組織を背景としたVT/VF 発生が突然死の原因になることが知られているが160,EPS では非特異的VT/VF誘発の可能性も高く,誘発性を試験することの意義については意見が分かれる156-158.不整脈原性右室心筋症(ARVC)/ 不整脈原性心筋症(ACM)では,EPS における VT/VF 誘発性の評価が症例の層別化に有用とする報告もある161, 162. 4.2.3 WPW 症候群および心室早期興奮症候群 ウォルフ・パーキンソン・ホワイト(WPW)症候群では,心房細動(AF)が発生した際に頻回の心室応答を示す頻拍,いわゆる偽性VT を介してVF に至り,突然死をきたす危険性がある.VF をきたしやすい要因として,ケント束の順行有効不応期が短い(<250 ~270 ms)ないしAF 中の最小RR 間隔が短い(<250 ms),複数副伝導路の存在などが知られており,EPS で評価できるが,アブレーションが一般的に行われる現在において,検査のみを独立して行う意義は低い163-166. 4.2.4 遺伝性不整脈 QT 延長症候群(LQTS)では,アドレナリン負荷などで心腔内電位の単相性活動電位が異常延長することなどが報告されているが,プログラム刺激でTdP が誘発されることは少なく,予後予測のための評価としての有用性は低い167.連結期の短い心室早期刺激で多形性VT が誘発されやすいとされるが,予後とは関連しない168. カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)においても,プログラム刺激による頻拍誘発は再現性に乏しく,EPS による評価は推奨されない 8 ブルガダ症候群では,左室や右室流出路の心室期外刺激 でVT/VF が誘発されやすく169,VT/VF 既往やSCN5A 遺伝子変異を認める症例で誘発率が高いとする報告や170-172,右室心外膜側で遅延した分裂電位,多棘性電位,低電位などの異常を認めるという報告はあるが173, 174,EPS にお 表5 EPS の不整脈診断とリスク評価に関する推奨とエビ デンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 徐脈性不整脈失神症状を有し,心電図において脚ブロックやQRS 幅の延長を認め,原因として徐脈性不整脈が疑われるが,異常心電図を確認できない症例ではEPS を考慮してもよい. IIb C失神に先行する動悸症状を有するが,非観血的検査で異常を認めない症例で,洞機能を評価するためEPS を考慮してもよい. IIb C洞機能不全または房室ブロックの症例で,洞結節機能や房室伝導障害の評価にEPSを考慮してもよい. IIb C症状のないモビッツII 型2 度房室ブロック,3 度房室ブロックおよび2 枝または3 枝ブロックの症例で,ブロック部位を同定するためにEPS を考慮してもよい. IIb C頻脈性不整脈原因不明の失神発作,またはLVEF 40%以下の器質的心疾患を有する症例で非持続性VT(NSVT)がある場合,頻拍の誘発性の評価にEPS を考慮する. IIa B心停止蘇生例で不整脈を原因として否定できない場合,頻拍の誘発性の評価にEPS を考慮する. IIa B持続性単形性VT を有する症例で,抗不整脈薬による催不整脈作用を評価することにEPS を考慮してもよい. IIb A心機能低下を伴わない器質的心疾患を有する症例で,NSVT がある場合,頻拍の誘発性の評価にEPS を考慮してもよい. IIb B PVC 頻発あるいはNSVT があり,加算平均心電図(SAECG)にて心室レイトポテンシャルが陽性の症例で,頻拍の誘発性の評価にEPS を考慮してもよい. IIb B