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p.16 抽出テキスト

示し,受診を促す「管理医療機器」として認可された.添付文書初版は2020 年8 月に作成され,2021 年1 月の国内承認と同時に販売が開始された.なお,添付文書は前者が2023 年5 月,後者が2022 年11 月に第2 版として改訂されている.注意すべき点として,AF 患者がこれらを用いて発作頻度を測定し,それによって服用中の薬剤を自己判断で変えることなどは行ってはならない点があげられる.スマートウォッチを使用してI 誘導以外の記録を行い,AFや心筋虚血の検出を意図した研究報告がなされているが,まだ実用段階にはない100, 101.今後,スマートウォッチによる「不整脈の兆候」を主訴に医療機関を受診する患者が増えることが予想される.

医師はこれらによる「不整脈の疑い」所見の精度や限界を理解しておくとともに,疾病の確定診断は医師が適切な医療機器をもって行い,その結果に基づいて治療を行うことを患者に説明する必要がある102.同時に,政府や製販企業は,ネット上に根拠のない情報がアップされないか監視を行うとともに,クラウドにアップした心電図に含まれる個人情報の漏洩などを防ぐため,情報セキュリティ対策を講じる必要がある.これらはまだ十分な使用実績がなく,「家庭用心拍数モニタプログラム」と「家庭用心電計プログラム」がどのようなリスクやベネフィットを有するかは不明である.今後使用状況などの情報収集を通し,アプリの使用に関して追加の情報提供や市販後安全対策が計画されている.

3.7 人工知能による自動診断

人工知能(AI)による診断手法は,大量の情報をコンピュータ処理して保存することが可能となり,急速に進化を遂げている.AI 診断の中枢は機械学習(ML)であり,中でも人間の脳神経系のニューロンを数理モデル化した多層構造ニューラルネットワーク(DNN)が使用されることが多い.DNN を使用したML では,多くの患者情報から特徴量を抽出した後に,各パラメータ(重みとバイアス)を調整して診断精度を高める103, 104.実際にAI を心電図の画像解析に用いた場合,人の眼ではわからない複雑なパターンまで認証可能である.心電図領域でのAI 自動診断の多くは研究段階であるが,イベント予測にまで大きく広がる傾向にある.

3.7.1 年齢・予後

AI 診断では12 誘導心電図から患者年齢が推定できる105.推定年齢が実年齢より著しく高い場合,心血管機能の低下や虚血性心疾患が疑われる105, 106.1 年後の予後を推定可能との報告もある

107 3.7.2 心機能・心肥大・虚血性心疾患など

12 誘導心電図のAI 診断では,左室機能108-110,HCM 111,大動脈弁狭窄症112, 113,急性冠症候群114-116,高カリウム血症117 が推定可能とされている.他にも希少な遺伝性心筋症118, 119 に関する研究報告がある.LQTS では主要なタイプの判別にAI 診断が有効である120.一方,AI によって単一誘導心電図から補正QT 間隔を推定でき,LQTS のスクリーニングが容易となる可能性がある

121 3.7.3 不整脈診断

AI の診断アルゴリズムは,着用型心拍計や着用型心電計などによる単一誘導心電図からのAF 検出に利用されている98, 122-127.同様に,30 秒間の単一誘導心電図を用いて12 種類の調律診断を行った試験でも,ROC 曲線下面積(AUC)0.97,F1 スコア(適合率と再現率の調和平均)0.837と良好な成績を得ている128.12 誘導心電図から同時に複数の不整脈と伝導異常を検出する試験では,AI は熟練した循環器専門医よりも優れていた

129 3.7.4 心房細動の発生予測

洞調律12 誘導心電図からAF の発生を予測することが可能である130.最新の43 万人のデータを解析した研究では,洞調律12 誘導心電図からの1 年以内のAF の新規発生予測はAUC 0.85 と報告された131.さらに,3 年以内に脳梗塞を起こす新規AF 発生患者の62% を検出できており,洞調律時,発作性AF の発見前からの心原性脳梗塞予防への応用が期待されている.

4 心臓電気生理学的検査の 方法と適応

心臓電気生理学的検査(EPS)は,心臓カテーテル手技に基づき,経血管的に心腔内に挿入したカテーテルなどの電極の局所電位情報や位置情報を解析して行われる検査の総称である.心筋各所のプログラム刺激,自律神経作動薬や抗不整脈薬静注負荷を含めた,不整脈誘発や心内伝導パターンの解析を特徴とする2.不整脈の機序解明を含む診断,カテーテルアブレーション(以下,アブレーション)を目的とした焼灼至適部位の同定,治療効果の判定,心臓突然死を含めたリスクの判定に用いられる2, 132.ホルター心電図や植込み型ループレコーダ(ILR)などは長時間観察による静的な診断法であるのに対し,EPS は運動負荷