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p.12 抽出テキスト

回避できていない可能性が危惧される.Nippon Storm Study 17 では,2010 年からの2 年間で48 施設からデバイス患者1,570 人[ICD 68%,両心室ペーシング機能付植込み型除細動器(CRT-D)32%]が登録され(図2B),2 年間のフォローアップが行われた.年齢は62 ± 14 歳,男性78%,基礎心疾患は虚血性心疾患31%,心筋症36%,遺伝性不整脈13% であった.虚血性心疾患では二次予防が一次予防の3 倍にも及び,これに対して心筋症,ブルガダ症候群などは一次予防と二次予防がほぼ同等であった.

諸外国との比較では,米国における心臓突然死は年間20 ~45 万人18,欧州では30 万人19 に及ぶ.欧米における原疾患は冠動脈疾患が80% と大多数を占めるが,これらの傾向は年齢別で解析を行うと大きく異なる15.新生児~乳児では原因不明のものが多く,小児~未成年においては心筋症,遺伝性不整脈が上位を占める.一方,35 歳までの成人においては虚血性心疾患の割合が増加し,35 歳を超えると大半は心筋梗塞に起因する20, 21.45 歳以上の14,628 人を対象とした前向きコホートRotterdam Study では,1990 ~2000 年における1,000 人年あたりの心臓突然死発症率は4.7 人であったが,2001 ~2010 年には2.1 人と減少した22.これは,冠動脈疾患の治療の進歩21 や植込み型除細動器(ICD,CRT-D)の効果によると推測される.心臓突然死のさらなる減少のためには,心筋症や遺伝性不整脈疾患に対する一次予防を目的としたリスク層別化,ならびに親族間での予防対策が重要と考えられる23-25.

2.1.3 心臓突然死の危険因子

もっとも重要な危険因子は,VT/VF および心停止の既往,そして突然死の家族歴26, 27 である.家族性リスクの関与は遺伝性不整脈疾患のみならず,急性冠症候群発症時の突然死に対する遺伝的脆弱性についても報告がある

28 遺伝的機序は多因性であり,環境的相互作用が生理学的・

病理学的メカニズムをより複雑なものとしている.

突然死との関連がある冠動脈危険因子として,高血圧29,糖尿病26,脂質異常症30,喫煙31 がある.突然死と関連する病態には心房細動(AF)

32,腎機能障害33, 34 が知

られる.これらは突然死に関連する独立した因子であり,心筋虚血との因果関係を否定し得る大規模なシステマティックレビューがある35, 36.薬物治療中の高血圧患者を対象とした15 試験(39,908 人,追跡期間4.2 年)のレビューにおいて,降圧薬は致死性心筋梗塞の発生率を低下させたものの,突然死を減少させなかった35.この事実は,突然死の主因が急性心筋梗塞ではない可能性を意味しており,再分極異常および自律神経修飾の変調がVT/VF をきたし,心臓突然死の原因になると推察される.たとえば高血圧患者では,T 波頂点から終末までの間隔

(Tpeak-Tend 間隔)の延長はVT/VF と死亡の予測因子となり得ることが明らかにされている37.糖尿病患者について30件の前向き試験(304,323 人)を用いた検討では,複数の交絡因子[肥満指数(BMI),ウエスト対ヒップ比,喫煙,身体活動,アルコール,安静時心拍数など],および潜在的な中間危険因子(冠動脈疾患,心不全,AF,高コレステロール血症,高血圧など)を調整してリスク評価を行い,糖尿病はそれ自体で心臓突然死の相対リスクが高いことが報告された36.その理由として,糖尿病性自律神経障害に起因したQT 延長や心拍変動の低下がVT/VF をきたすと推測されている.

なお近年では,閉塞性睡眠呼吸障害38, 39,てんかん発作40, 41,薬物乱用42 における突然死の機序についても着目され,それぞれの病態は突然死において独立した役割を担うことが明らかとされている.

3 心電図検査の種類と特徴

心電図検査は,病歴,身体所見などとならびもっとも重要な検査と認識されており,不整脈の検出のみならず,リスク評価にも活用されている(表3).

3.1 12 誘導心電図

12 誘導心電図は心臓全般のもっとも基本的な検査である.四肢の4 ヵ所と胸部の6 ヵ所の計10 個の体表面電極から12 の誘導を描出する.四肢誘導(I,II,III,aVR, aVL,aVF)は上下左右の矢状断,胸部誘導(V1 ~V6)は前後左右の水平断を描出する.時にV3R,V4R といった右前胸部誘導や,4 肋間よりも高い上位肋間前胸部誘導を追加することもある.12 誘導心電図は心疾患の存在を探る以外に,突然死との関連があるとされる左室肥大,脚ブロック,ST-T 変化,T 波異常,QT 間隔とそのばらつき程度(QT dispersion)などの所見を検出するのに有用である43, 44.

3.1.1 QRS 波異常

QRS の延長は,古くから不整脈発現の予測因子として知られている.QRS 終末部の断片化した波形(fragmentation)は,不整脈原性右室心筋症(ARVC)/ 不整脈原性心筋症(ACM)やブルガダ症候群のリスク評価に活用されている45.