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が悪い症例が認められるため,上行大動脈径による術式の選択は行われなくなってきている. Norwood手術後の生存例は,Sanoら1053)の報告ではBTシャントで53%,RV-PA導管で89%であり,その他Pizarro 1054)やMair 1055)の報告でもRV-PA導管のほうが良い成績である. 次の段階として,6ヵ月以降にGlenn手術を行い,1歳以降にFontan手術を完成させる(レベルC).現在のHLHSの5年生存率(Fontan手術到達例も含む)は50~69%といわれており,今後はさらに向上することが考えられる1056). 14.3 術後遠隔期の合併症の治療 HLHSでは上行大動脈低形成に伴う冠動脈血流減少による心室機能不全に注意する必要がある.特に両側肺動脈絞扼術後の右肺動脈拡大や,もともとの拡大した主肺動脈による上行大動脈の伸展により,冠動脈血流が減少して心室機能不全に陥る症例が認められる.このような症例にはできるだけ早期にNorwood手術を行うことにより,冠動脈血流の減少を予防する必要がある. Norwood手術後の大動脈狭窄や上行大動脈と気管による左肺動脈狭窄も重要な合併症であり,注意深い観察が必要である.狭窄を認めた場合にはバルーンによる狭窄解除や外科的形成術も考慮してもよい(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).ステント留置も考慮されるが,上行大動脈や気管支を圧迫する可能性があるので,CTなどで確認しておく必要がある.Norwood手術後でも,冠血流障害に伴う心室機能不全や三尖弁閉鎖不全にも注意深い観察が必要である.また,左室低形成に伴う刺激伝導系の異常も認められ,房室ブロックなどの徐脈性不整脈や,成人期には頻脈性不整脈も合併することがある1057). HLHS患者の遠隔期の問題として,軽度の認知障害と社会的相互作用の障害など,神経発達や行動機能の障害などがあり,学齢期には理学療法,作業療法,言語療法などの特別なサポートを必要とすることがある1058, 1059).その他のFontan術後の合併症に関しては,「13. Fontan手術」を参照されたい. 15 未修復,チアノーゼ 本疾患群では長期間にわたる低酸素血症が全身臓器に慢性的な影響を与え,広範囲の障害が生じる.血行動態はそれぞれの疾患で違うため,管理や治療は一様ではないが,低酸素血症に対する臓器障害や出血,凝固異常への対応 が重要である(表42). 15.1 赤血球増加症 チアノーゼ性心疾患が未修復またはBlalock-Taussig (BT)シャントなどの姑息術のみで成人期に至ると,長期の低酸素血症のためにエリスロポエチンの分泌が過剰となり,多血症を発症する1060).これは,赤血球の増加と酸素解離曲線の右方偏位により組織への酸素運搬を維持しようとする,合目的的な反応といえる.しかし,赤血球増加が著しくなると,頭痛,めまい,視力障害などの症状が出現する.こういった症状を伴う状態を過粘稠度症候群といい1061),ヘマトクリットが65%を超えると現れる可能性が高まる.ただし,症状の出現には個人差があり,鉄欠乏性貧血や脱水などの体液の状態によっても左右される. 過粘稠度症候群や脳血栓の予防の観点から瀉血療法が行われることがある1062, 1063).しかし,効果は一過性で,短期間で元に復する.逆に鉄欠乏となり,より強い過粘稠の症状が現れることがあるため,瀉血には慎重であるべきである1060).鉄欠乏がある場合には鉄剤の静注で補給すること,また脱水がある場合は適切な補液を行うことが優先される(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC) 1064, 1065). 15.2 出血,凝固異常 チアノーゼ性心疾患では血小板減少や凝固因子減少など出血・凝固系の異常が起こりやすい1066–1068).一酸化窒素 表42 慢性チアノーゼによる全身合併症 1. 血球増加症赤血球増加過粘稠度症候群2. 出血,凝固異常血小板減少von Willebrand因子異常喀血,肺内出血脳血栓,肺動脈内血栓3. 腎合併症,尿酸代謝異常蛋白尿,糸球体硬化症慢性腎不全高尿酸血症4. 冠動脈異常,心筋障害冠動脈拡張,冠動脈蛇行心筋線維化 5 骨の異常ばち指,肥厚性骨関節炎 6 脳膿瘍