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p.97 抽出テキスト

耐容能低下は死亡を含めた予後不良の強力な危険因子である1041).同時に,運動不足は肥満や生活習慣病につながる.したがって,生活習慣病予防を目指した食生活改善や運動習慣の確立などの生活指導は,Fontan術後遠隔期のQOL向上を含めた予後改善につながると考えられる(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC) 524).

14 左心低形成症候群

左心低形成症候群(HLHS)とは左心房から大動脈に至る左心系構造物が低形成を呈する疾患である.多くの教科書で,HLHSは大動脈弁閉鎖・狭窄と僧帽弁閉鎖・狭窄の組み合わせから4つの病型に分類される.しかし,高度な大動脈弁狭窄を伴ったアンバランスな共通房室弁口や,小さな左室の両大血管右室起始なども,この範疇に含まれる1042).

HLHSはCHD全体の1.4~3.8%を占め,エコー法による胎児スクリーニングが行われる前の出生時有病率は, 0.16~0.36/1000 1043)と報告されていた.生後1 週間以内の心臓死の23%,1ヵ月以内の心臓死の15%をHLHSが占めている1043–1048).本ガイドラインではNorwood手術が必要な左室低形成のHLHS異型症例も含めている.

14.1 解剖学的特徴

HLHSの定義は明確ではなく,左心系構造物の低形成があり,従来の治療法では左心機能不全を救済できない先天性の心血管構築異常を呈する症例の生理学的・臨床的診断名である.「左心」とは左心系の構造物を含んだ用語で,左房・僧帽弁・左室・大動脈弁・大動脈を指す.「左心低形成」は,左心系構造物のどれか1 つ以上に低形成がある形態的異常を指しているようであるが,実際には形態上の定義ではなく血行動態上の定義であり,左心系構造物の1 つ以上の低形成のために左心機能不全をきたしている状態を指す.HLHSは,左心低形成に対し従来の外科的または内科的介入ではその左心機能不全を救済できない病態と解釈される.重症大動脈弁狭窄も左心低形成に含まれるが,従来の外科治療やバルーン弁形成術で左心機能不全を救済できるため,HLHSには含めない.

病因は明らかではないが,卵円孔の早期閉鎖による左心系への血流の減少,大動脈弁や僧帽弁の閉鎖または高度の狭窄による左室への血流減少,胎児期における原始心室を形成する心筋の発育不全などが考えられている. 14.2 心内修復術

右室および主肺動脈に左心機能を代替させる姑息Norwood手術を経てFontan循環を目指すか,心臓移植かの2とおりの治療法しかない病態といえる.

14.2.1 Norwood手術前の管理

心房間短絡が認められない場合は出生直後に心房間交通を確保する必要がある.緊急でバルーンによる心房中隔切開術,または外科的に心房中隔欠損作製術を行う.胎児期に心房間交通がないか,または小さいことが疑われる場合には,生直後に対応可能な施設での出産を考慮してもよい(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).可能であれば出生前に胎児MRI検査を行い,nutmeg lung pattern 1049)などを検索し,出生後に耐えうる肺であるかどうかの検討も必要である.左室–冠動脈間交通のある症例では,心房中隔切開術により冠血流低下をきたし,心室機能不全や房室ブロックを呈することがあるので,循環サポートを使用できる状況で行う必要がある.

動脈管の開存にはプロスタグランジンE1を持続投与する必要がある.チアノーゼを認めるが,動脈管開存のためには酸素投与は禁忌である.

高肺血流に対しては肺血管抵抗を上げる目的で,高PaCO2の維持や低酸素管理(窒素ガスでFiO2を0.16~0.19に調整)といった高度な呼吸循環管理も必要である1050).

外科的には両側肺動脈絞扼術を行うことがある(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).

14.2.2 Norwood手術周術期の管理

Norwood手術は新生児期に行うには侵襲が大きいため,肺動脈絞扼術を行った後にNorwood手術を行うこともある.動脈管を開存させておくためには,プロスタグランジンE1の持続投与,または動脈管へのステント留置を行うこともある.また,4ヵ月以上待機した症例では,Norwood手術に加え,Glenn手術も同時に行うことがある(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).長期間待機した症例では肺動脈の発育不良という問題もあり1051, 1052),症例ごとに治療方針の検討が必要である.

Norwood手術にも種々の改良が加えられている.肺動脈への血流には,Blalock-Taussig(BT)シャントまたは右室–肺動脈(RV-PA)導管を用いている.上行大動脈径が大きい症例では肺動脈の発育を考えてBTシャントを,上行大動脈径が小さい症例では心筋虚血を避けるため導管法を用いることが多い.しかし,導管法では肺動脈の発育