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ることもある. 血栓の予防法は確立されていない.術後早期のアスピリンとワルファリンのランダム化比較試験でも差はないが1032),この試験の結果は遠隔期の抗血栓療法には適用できない.欧米では血栓予防法としての抗血小板療法と抗凝固療法に差がないが,未治療例では血栓形成が有意に多い1033).本邦では,抗凝固療法を受けている患者での出血事象が多い1030).不整脈の既往,血行動態不良(心室機能低下,高CVP,下大静脈や肺動脈への静脈血流路の狭窄),肺動脈盲端などの血流死腔の存在,右左短絡,血栓症の既往などがある場合は抗凝固薬の予防的投与が推奨される(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).また,心不全悪化,感染,不整脈発生,外傷や手術の際は血栓形成性が高まるので,抗凝固療法を考慮する(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC). 血行動態が不安定な例では致死率が高い.大きな血栓は外科的な除去を含め早急に治療を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).喀血が多量の場合は輸血が必要となる.出血に関連したAPCAsなどを経皮的カテーテル的塞栓を考慮してもよい(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).一時的に抗凝固療法の中止と止血薬投与を考慮する. c. Fontan循環関連肝臓病 Fontan循環関連肝臓病はうっ血肝,肝内結節,肝硬変,門脈圧亢進や肝臓癌などを含む病態である1034).肝線維化にはうっ血による類洞の拡大(星細胞活性化)および微小血栓形成との関連が推定されている1035).肝硬変や門脈圧亢進を伴い,体内血管拡張物質(NOなど)が増加して体血管抵抗が低下し,心機能が維持されている場合には,高CVP高CO型の心不全を呈する179, 1018). 肝硬変の合併率はFontan術後10年,20年および30年後にそれぞれ1%,6%,43%とされ,診断後の1年および5年生存率はそれぞれ57%,35%と不良である1036).肝癌の合併率は術後20年,30年で1.6%と5.7%であり,特に術後30年以降に急増する1037). 診断は結節形成などの画像での異常所見によって行われる.しかし,現時点で明確な診断基準はないため,画像診断に加え肝機能なども考慮して総合的に判断されている.したがって,その発症率は検査手段に依存し,術後経過に伴い潜在的に上昇する.肝エコー法で高輝度スポットや腫瘤などが観察されるが,腫瘤はCTやMRIでの検出率が高い.肝臓うっ血を反映してビリルビンやGGTが上昇することが多いが,肝酵素値の上昇は少ない.終末期にはアルブミンなどの合成能の指標が低下する.肝線維化の最終診断法は肝生検であるが,一般化していない.また,線維化の非侵襲的な評価法も未確立のため,重症度評価に はChild-PuphスコアやMELD-XIスコアが便宜的に適用される.終末期に肝性脳症を発症することがある244). 進行を防ぐにはCVP低下が重要である(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).高CO高CVP型の心不全の場合は従来の心不全治療ではなく,肝腎症候群の場合と同様に末梢血管抵抗を上昇させる治療法も考慮する244)(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC). d. 肺動静脈瘻 Fontan術後において肝静脈血流の極端な低下は肺動静脈瘻の形成に関連する.び漫型,限局型,そして両者の混在型がある.Glenn手術後やtotal cavopulmonary shunt手術後に高率に発症する.Glenn手術で発症した場合は小児期のFontan術後に改善されることがある.肝硬変でも発症することがある.術後経過に伴い増加する.発症率は左相同心で高く,肝静脈血流が減少した肺に生じる1038). 診断法では肺動脈へのマイクロバブル注入によるコントラストエコー法の感度が高いが,胸部CTでも診断できることがある. 治療法として,小児期では肝静脈血流を両肺動脈へ均等に分布させるFontan再手術が有効なことがある(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB) 1039).低酸素血症に対し,酸 素投与に加えてNO吸入が有効なことがある.限局型ではカテーテルによる塞栓術を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB). e. 鋳型気管支炎 鋳型(プラスチック)気管支炎は高CVPとの関連が示唆される.鋳型(cast)が気管支内を占拠して致死的となることもある.合併率は1~2%とまれで,小児期の発症が多い.湿性咳漱や呼吸困難で発症し,蟹肉様castの喀出で診断される. 自力でcastを喀出できない場合は気管支鏡などで取り除く.血行動態の改善に加え,ステロイド薬投与やエアロゾル組織型プラスミノゲン活性化因子(tPA)が有効なことがある(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).また,肺リンパ管の塞栓で改善されることがある1040). 13.4 生活習慣の管理,運動 Fontan循環確立後遠隔期におけるこの循環の維持と破綻予防法は確立されていない.肥満,高血圧や糖代謝異常などの生活習慣病予防による心血管機能維持は,良好なFontan循環維持に欠かせない.本邦のFontan術後患者における肥満の割合は低いが,耐糖能異常は約40%と高く,約10%が糖尿病を罹患し,高い死亡率と関連する21).運動