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p.95 抽出テキスト

管拡張に関連することが想定されている.

管理・治療は高CVP低CO型の場合と全く異なる.従来の心不全療法は病態を悪化させることがある.肺血管抵抗は低いので,肺血管拡張薬はむしろ体血圧を低下させる.酸素投与に加え,臓器灌流圧を維持するためα作動薬(ミドドリン,ノルエピネフリンなど)投与により適切に体血管抵抗上昇を図ることで状態が安定することがある(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC) 244).この病態は予後不良であり,緩和医療も考慮する必要がある1023). iii. 破綻の予防

破綻予防のためには無症状の段階からCVPを積極的に低く維持しておく必要がある1024).CVP上昇要因は体液管理,呼吸器障害,房室弁を含めた心室機能障害,APCAsなどの多因子を考慮した薬物または非薬物的な治療法を選択する必要がある.

13.3.2 不整脈

a. 頻脈性

最も多い不整脈は心房頻拍で,APC例の60~80%, TCPC例でも5~33%にみられる.心房切開線,心房拡大,心房圧上昇による心房筋肥大などが原因と想定される.心室不整脈は少ない(2~10%).APC例で多いが,TCPCでの術式別では心外導管法が心内導管法よりも洞機能維持や上室頻拍回避に有利とされる122).

頻拍の要因として高齢,長い術後経過,APC型,血行動態異常がある.心不全治療は不整脈治療と同時かまたは優先して行われる.

薬物治療ではβ 遮断薬,ソタロールやアミオダロンが有効なことがあるが,再発も少なくない.ソタロールではQT延長,アミオダロンでは甲状腺や肺機能障害などの合併症に注意する(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).

非薬物治療ではカテーテルアブレーションが主流である(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).しかし,非Fontan循環患者に比べ治療成功率は低い.特にAPC例でアブレーション後の再発率は50%程度と高いが,複数回の治療で改善される1025).経静脈的なペースメーカ留置は血栓形成予防の観点から困難であるが,ペースメーカ留置された患者ではICD機能に加えて抗頻拍ペーシングも考慮してもよい(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC)

1026).

b. 徐脈性

洞機能不全は比較的多く,特にAPC例に多い.手術による直接の障害や洞結節の支配動脈の損傷などが原因と想定されている.

洞機能不全や完全房室ブロックはペースメーカ治療の適応となる(推奨クラスI,エビデンスレベルB).心室拡張障害の例では拡張早期流入量が低下するため,CO維持に

は徐脈解除が必要である.心室ペーシングは心室同期不全回避を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC) 265).

13.3.3 非心血管合併症

a. 蛋白漏出性胃腸症

蛋白漏出性胃腸症はリンパ流のうっ滞により腸リンパ管から蛋白質が腸管内に漏出する病態である.まれに消化管出血を合併することがある.発症率は5~15%で,発症後の生命予後は,5年生存率が20年前は50%であったが,最近では80%を超える.しかし依然として寛解率は低く,入退院を繰り返し,生命予後は不良である1027).

診断は症状,血清アルブミン値と腸管からの蛋白漏出により行われる.症状は四肢の浮腫,腹部膨満,下痢,腹水などだが,これら症状が乏しいこともある.アルブミン血中濃度は3.5 g/dL未満のことが多い.核医学検査では蛋白漏出シンチグラフィで腸管への漏出を描出する診断法が容易である.

治療法として,発症と病態増悪の主要因がCVP上昇と炎症であることから,食事療法に加えてCVP上昇要因の除去と抗炎症療法を行うが,同時にアルブミンや免疫グロブリンなどの補充療法,リンパ管塞栓術なども考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).また,患者の病態背景も是正する. b. 血栓,出血

血栓形成要因として血液凝固能亢進,血管内皮機能異常,血流性状異常(Virchowの三徴)が重要であるが, Fontan循環はこれら要因を満たす.Virchowの三徴に加え心不全,肝機能異常,耐糖能異常や人種は血栓形成に関わる.心不全,肝硬変や糖尿病では凝固線溶系の異常を伴う1028).欧米人は血栓形成性が高いが,東洋人は出血傾向が高いので1029),欧米の知見を本邦の患者に適用するには注意が必要である.

静脈系,動脈系のいずれにも発症する.出血では喀血が多く1030),APCAsが原因であることが多い.心房間リーク,開窓術,体静脈肺静脈側副血行路などの右左短絡の存在は脳梗塞の原因となる.血栓と出血などの止血系の合併症は不整脈,心不全,蛋白漏出性胃腸症についで多い(6~ 7%).出血では喀血が45%と最も多く,脳出血が10%と続く.血栓形成は術後周術期1年以内の術後早期と術後15年以上の遠隔期に多い1030).喀血などの出血は術後遠隔期に増加する1030).

血栓の局所的診断には経食道心エコー法,CTやMRIが有用である.血栓形成が確認された患者の40%は無症状である1031).喀血の診断ではCTにより出血部位を同定でき