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p.94 抽出テキスト

試みる.すなわち,適正な体液管理の下,ACE阻害薬,β遮断薬やミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)を考慮する1018, 1019)(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC). ii. 拡張障害

拡張末期圧上昇から肺循環障害となる.治療法は確立されていない.一方,心筋肥大を避けるため,大動脈縮窄遺残や左室流出路狭窄は解除する(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC). iii. 心臓同期不全

房室ブロック合併患者での心室ペーシングは予後不良因子であり1020),QRS幅増大は運動耐容能を低下させる140).非同期性があれば心臓再同期療法を試みる.長いI 度房室ブロックに対しては心臓ドプラ法を併用し,A波とE波を適切に分離するように房室伝導時間を調節する262).心室内の非同期性には標準的な再同期療法はないが,心カテーテル検査でのシミュレーションが役立つ.一般に右室型単心室では長軸方向の電極配置,二心室が存在する場合は両心室を挟む電極配置が好ましい265)(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC). b. 房室弁異常

房室弁が三尖弁や共通房室弁形態の場合,閉鎖不全は術後経過とともに進行しやすい1021).重度でも無症状であることは少なくないので,至適介入時期は総合的に判断する必要がある.

薬物治療として,中等度以上の房室弁閉鎖不全ではACE阻害薬などを考慮する(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).手術は房室弁閉鎖不全が重度であれば考慮する.僧帽弁以外の房室弁形成は困難なことも多いので,人工弁置換術を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).また,手術侵襲により房室ブロックを惹起することがあるので,注意を要する. c. 血管障害i. 大血管

上行大動脈は拡張し,伸展性は低下している.動脈壁中膜の壊死などの内因性異常に加え,遠隔期では耐糖能異常や高血圧などの生活習慣病が血管の弾性を低下させる461). aortopathyは運動耐容能低下や予後悪化の要因となる.大動脈縮窄合併では圧較差がない場合でも運動時高血圧から心室圧負荷増大となることがある.大動脈縮窄遺残にはカテーテル治療や外科的介入を考慮する.aortopathyに対する薬物治療の効果は不明である. ii. 末梢動脈

末梢動脈では血管内皮機能低下が運動耐容能低下に関連する.また,内皮機能低下は止血凝固線溶系の機能異常と関連する.高血圧や体血管抵抗が極端に高い場合は血管拡張薬を考慮する.耐糖能異常は内皮機能低下と関連

するため食事,運動などの生活習慣の指導が重要である(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC). iii. 体動脈肺動脈側副血行路

鎖骨下動脈や肋間動脈から体動脈肺動脈側副血行路(aorto-pulmonary collateral arteries: APCAs)が発達していることがあり,心室容量負荷増大や喀血の原因となる.喀血や有意な心室容量負荷と判断される場合はカテーテル治療による塞栓を試みる(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC). iv. 体静脈肺静脈側副血行路

Fontan手術後に静脈圧上昇に伴い,上下大静脈,無名静脈や肝静脈から肺静脈に体静脈肺静脈側副血行路が発達し,低酸素血症の原因となる.重度の低酸素血症や血栓の既往がある場合はカテーテル塞栓術または外科的閉鎖術を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB).しかし,CVPが高い場合には閉鎖により静脈圧上昇をきたしてFontan循環が悪化することがあるので,注意を要する1022). d. 心不全

Fontan手術後患者の心不全の特徴は肺心室の欠如に由来し,術後早期から心不全病態である1018).この特有の心不全の分類は確立されておらず,NYHA心機能分類が便宜的に適用されている.一方,破綻様式は,術後早期にこの循環に順応できない早期破綻と,いったん順応したものの術後遠隔期に合併症などにより破綻する後期破綻とに分類することがある179, 1018).早期破綻では高CVPでCOは減少,後期破綻では高CVPでCOは増加する場合が多い179). i. 高CVP低CO型

高CVP低CO型の多くは術後早期の心肺機能障害が主因である.有意な房室弁閉鎖不全を含めた心機能低下,体血管抵抗上昇や肺血管抵抗上昇などの特色を有する.

心室収縮不全にはACE阻害薬,ARB,β 遮断薬やMRAなどによる抗心不全療法を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC)

1018, 1019).心室非同期には再同期療法を,房

室弁閉鎖不全には人工弁置換術などを考慮する.肺血管抵抗上昇に対しては肺血管拡張薬投与を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB).また,治療・管理が困難と判断される場合には心臓移植も考慮する(第3章「6. 移植」を参照). ii. 高CVP高CO型

高CVP高CO型は通常は術後遠隔期にみられ,心室の収縮性は維持されていることが多い.肺血管抵抗の上昇はなく,体血管抵抗は不相応に低下(血管拡張)し,したがってCOは維持か不相応に高い.さらに肺動静脈瘻の合併などのため低酸素血症を呈することがある.肝機能障害が血