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p.92 抽出テキスト

(TCPC)を導入した.TCPCには一部自己心房壁を用いるlateral tunnel(LT法)と,心房内グラフトを用いるintraatrial graft法がある.さらに,1990年にMarcellettiらは,不整脈基質となる縫合線を回避できる心外導管法を導入し,これが現在のFontan手術の主流となっている.

13.2 病態生理

Fontan循環では肺心室が欠如するため,静脈圧の上昇で肺循環を維持する.そのため,必然的に多臓器がうっ血する.一般にこの肺循環は定常流であり,機能的左心房への還流が減少し,体心室前負荷不良となる.術前の慢性的な低酸素曝露や容量負荷のため体心室機能は低下していることが多く,前負荷障害が加わって心拍出量(CO)は低下し,慢性心不全病態となる.中心静脈圧(CVP)が高く,多臓器の還流圧は健常人よりも低い(図9)

1017).また,肺

心室欠如による拍動流の欠如は肺動脈内皮細胞依存の一酸化窒素(NO)産生を低下させ,肺循環に不利益となる.さらに,ときに体静脈肺静脈側副血行路の発達から右左短絡が増加し,動脈血酸素飽和度が低下する.したがって, Fontan循環の特徴は,1CVP上昇とそれに伴う多臓器うっ血,2CO低下,そして 3軽度低酸素血症である1018).運動耐容能も低下し,良好なFontan循環でも最高酸素摂

取量(peak V

4 O2)は健常人の60~70%である.

13.3 術後合併症の管理と治療

表41 Fontan 手術後病態の管理と治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

栄養肥満,カヘキシア,サルコペニアのある患者に栄養指導と運動指導を考慮する. IIa C心血管

房室弁機能不全(i)閉鎖不全,狭窄の患者に対し抗心不全療法,または外科治療を行う(形成,置換) I C

図9 Fontan 循環と二心室循環の比較(Ohuchi H. 2016 1017)より) Copyright (2016) Published by Elsevier Ltd on behalf of Japanese College of Cardiology, with permission from Elsevier.

灌流圧灌流圧

体心室は体循環を,肺心室は肺循環を維持する.骨格筋ポンプと呼吸ポンプは体静脈還流増加に寄与する.全身灌流圧は良好に維持される.肺心室の欠如したFontan 循環では,体心室は体循環を維持するが,肺循環維持の主な推進力は中心静脈圧の上昇である.骨格筋ポンプと呼吸ポンプは体静脈還流増加に寄与する.中心静脈圧上昇と体血圧低下とにより,全身灌流圧は低下している.

Fontan 循環二心室循環圧

体循環体循環

肺心室肺循環肺循環

上下大静脈上下大静脈

肺静脈肺静脈

前負荷前負荷呼吸ポンプ骨格筋ポンプ呼吸ポンプ骨格筋ポンプ

房室弁房室弁

中心静脈圧

体心室