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p.91 抽出テキスト

12.6 予後

12.6.1 心外導管手術の予後

心外導管(Rastelli型)手術により適応疾患の生命予後は著明に改善されたが,再治療介入の必要性は高く,その時期や方法についての検討が必須となる.

遠隔期生存率は対象疾患にもよるが,10年で77%,20年で60% 117),近年になると20年生存率90%以上と報告1011)されている.本邦の報告では,10年で92%,20~ 25年で88% 1004),PTFE導管では15年生存率95%と報告された52).

予後不良因子には不整脈・突然死1004),感染性心内膜炎64),再手術時の合併症117, 1012)がある.心不全が死因となる例は,近年では適切な再手術介入により減少した.肺高血圧は心外導管手術全般よりも,総動脈幹や主要体肺側副動脈合併例など,疾患特異的な死因となることが多い.死亡の危険因子の中には,再手術前の心拡大,右室圧高値,心房不整脈,再手術前のNYHA心機能分類(II度以上)が含まれることから,適切な時期での再介入が望まれる1004).

初回手術が小児期に行われた例では再手術が不可避で,再手術回避率は10年で49%,20年で33%とされる1013).再手術の要否や時期には初回手術で用いられた心外導管の口径が大きく影響する.

12.6.2 遠隔期再手術の予後

再手術(導管交換手術)の成績はおおむね良好で,再手術後生存率は10年で80%,20年で60%と報告されている117).再々手術を要するかどうかは再手術時の年齢,使用される導管サイズに影響され,前述のように18 mm径以上の場合は再々手術が少ない.再手術後の心不全重症度(NYHA心機能分類)も,適切な時期に再手術を行った例では大半がI ~II度で経過する.再手術の際の術式や使用人工物により再々手術を要することがあるため,再手術後も初回手術後と同様の管理を継続する必要がある.

12.7 古典的二心室修復術後の心外導管 機能不全

左室流出路狭窄を伴う修正大血管転位,または肺動脈狭窄・閉鎖を伴う両大血管右室起始・房室錯位では,左室から肺動脈への長い心外導管を用いた修復術のみが選択肢だった時代がある.通常ポリエステル製人工血管(+/ -生体弁)が用いられ,心外導管は左室心尖から胸骨後面あるいは右胸腔内を走行する例が多い.この心外導管の機能不全も再手術の対象となる.通常の右室-肺動脈間心外導管と異なるのは,体心室側房室弁(形態的三尖弁)の逆流増悪を回避する目的で,軽度~中等度の右室流出路狭窄を意図的に遺残させることが,遠隔期予後向上のため有用とされることである89, 930, 1014, 1015).このため再介入の適応は通常の心外導管と異なる.経験のある施設に相談することが望ましい.

12.8 Ross手術後の右室-肺動脈心外導管 機能不全

Ross手術に関連した右室流出路形成後の長期成績は他の術式に比べ良好である.手術時年齢や自己心膜・ホモグラフトの利用が要因と考えられる.自己組織を駆使した術式の後にはカテーテル治療の適応となりにくいという側面があり,再手術を念頭におくことが多い.

13 Fontan手術

Fontan手術は三尖弁閉鎖や単心室など,二心室修復が困難なCHD患者に対する最終的な機能的修復術である.その主要な目的は右左短絡に伴う低酸素血症の解消と,肺循環と体循環を担う心室への容量負荷軽減にある.1968年にFontanらによって三尖弁閉鎖の女児に施行され, 1971年に報告された1016).

13.1 解剖と術式

1973年のGlenn手術や,下大静脈弁が不可欠ではないとの報告から,右房肺動脈吻合(APC)が普及した.これら術式の流体力学的不利益や不整脈・血栓症発症の懸念から,1988年にde Levalらは上下大静脈肺動脈吻合

表40 心外導管手術後再手術の適応基準

a.  右室/左室収縮期圧比>70% b.  右室-肺動脈収縮期圧較差>50 mmHg c.  高度肺動脈弁逆流による右室拡大(拡張末期容積指数>150~ 160 mL/m2,収縮末期容積指数>80 mL/m2),収縮機能低下d.  運動耐容能低下(進行性) e.  重度の三尖弁逆流f.  その他,血行動態の悪化により重症不整脈を生じている場合や

他の合併病変への介入を要する場合