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その他,周辺臓器の機能の評価として血液検査,腹部画像検査(腹部エコー,CT,肝アシアロシンチグラフィなど)も有用である.心外導管使用例は感染性心内膜炎の高リスク群であるため,歯科処置時などには厳重な予防を行い,発熱時には必ず鑑別診断を心がける.ウシ頚静脈導管は他に比べ,導管感染の発生率が高いとされる62, 63).

12.4 心外導管機能不全と病態生理

心外導管内包弁の狭窄による右室圧負荷,逆流による容量負荷に加え,三尖弁逆流の併存があるといっそうの右室負荷増大をきたす.三尖弁逆流は右房負荷も増大させる.これらは手術切開部の瘢痕形成と相まって術後遠隔期の不整脈発生・増悪の要因となる.圧・容量負荷の加わった右室は左室を圧排し,左室機能にも影響する.導管機能不全が進行すると体静脈のうっ血による周辺臓器障害も進行する.

12.5 心外導管機能不全への対応

12.5.1 内科的管理

内科的管理としては,心機能低下が明らかな段階に至れば利尿薬を投与するが,一般的には右室流出路狭窄が徐々に進行して再手術適応となることが多いので,心機能低下が出現するまで手術適応としないことはまれである.導管機能不全が高度になれば内科的管理の効果は限定的であるため,時期を逸することなくカテーテル治療・再手術を計画する.

不整脈については通常に準じて抗不整脈薬による治療を念頭に置くが,器質的な原因のため薬物治療に抵抗性のことも多い.電気生理学的検査により不整脈のメカニズムを詳らかにし,再手術前後のカテーテル治療や術中の外科的凝固などを計画する.

併せて,右心系への負荷を再手術・カテーテル治療により軽減することが肝要である.心外導管手術後の不整脈に関する本邦の多施設研究の報告1004)では,突然死を含めた遠隔期死亡を9%,心室不整脈を2%に認め,道管狭窄に対する再手術を適正なタイミングで行う必要があることが示唆された.

12.5.2 カテーテル治療

カテーテル治療ではバルーン拡張,ステント留置,経カテーテル的肺動脈弁挿入(本邦でも導入予定であるが,現時点ではPTFE人工血管例は適応外とされている)が行われる.高度石灰化を示す例では通常は効果不十分で,再

手術までの期間をやや延長するに留まるので,より早期の介入が妥当とされる1005, 1006).過剰な拡張では導管の破裂や導管後方を走行する冠動脈への圧迫から急性冠虚血を生じることがある1007, 1008).バルーンの破裂やステントの破断が生じることもまれでない.

末梢肺動脈の病変には好適とされる.

12.5.3 再手術

術後経過期間が長くなると狭窄部位の石灰化や仮性内膜形成が著明になり,カテーテル治療の効果は限定的である.再手術にてサイズの大きな導管に交換し,吻合部や右室内に生じた狭窄病変の拡張や切除を併せて行う.本邦では再手術時にも前述のePTFE三尖付き導管(bulging sinus付き) 52)が多く用いられる.成人例ではePTFE人工血管に生体弁(ステントなし弁など)を縫着する方法も用いられ,肺動脈ホモグラフトと同等の成績が報告されている998, 999).その際も,将来の再手術を回避すべく,あるいは今後導入される肺動脈弁位へのカテーテル治療を考慮して,適切なサイズの人工血管・生体弁を用いる.

導管摘除後,癒着組織を後壁として,前壁のみに心膜パッチなどを追加して流出路形成を行う方法(peel operation,古くはDanielson法)

1009)は,最近では少数派である.この方

法でも,当初の原法ではなく,生体弁を設置することが多い.石灰化や癒着が高度な場合や冠動脈と近接している場合は,心外導管の全摘除が安全でないことがある.その際には前壁を切開後,石灰化組織や仮性内膜を可能なかぎり摘除し,後壁側には既存の人工物を残して人工弁を設置し,前壁をパッチで補填拡大する方法も行われる1010).

肺動脈圧が低い症例では肺動脈弁なしの心外導管で再手術を行うこともある117)が,積極的には推奨されない.肺高血圧例,末梢肺動脈発育不良例では肺動脈弁による逆流の制御が重要である.末梢肺動脈に狭窄が残存する例では術前後にカテーテル治療を組み合わせる.不整脈例については前述した.その他,心臓再同期療法やペーシング治療も考慮する.

12.5.4 再手術の適応

心外導管機能不全を生じた場合の再手術の適応については一般的な右室流出路狭窄に準じる.有症状例(推奨クラスI,エビデンスレベルC)だけでなく,無症状例でも表40の所見がある場合(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC)は再手術の適応とする.