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p.89 抽出テキスト

17%認められており,遠隔期でも注意が必要である992). c. 総動脈幹基部

総動脈幹は基部を含めて拡大していることが多いが,破裂や解離の報告はまれである478, 993).しかし,他のconotruncal anomalies(円錐動脈幹の異常)と同様に,基部拡大とそれに伴う大動脈stiffnessの増大が総動脈幹弁閉鎖不全の発症に関与している可能性は否定できないため,総動脈幹基部の評価は重要である994).

12 心外導管を用いた手術

心外導管を用いる手術は1968年の総動脈幹995),あるいは1969年の完全大血管転位(III型)修復996)の報告(いわゆるRastelli手術)に始まる.肺動脈閉鎖や肺動脈狭窄を示す疾患において,体静脈血流を肺心室から肺動脈へ誘導する術式である.手術の適応を表39に示す.

12.1 心外導管の材質

導管の材料として,自己心膜や異種心膜を用いた自家製導管(ロール),同種大動脈基部または肺動脈幹(ホモグラフト),ポリエステル(Dacron)人工血管,延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE,GoreTex ®)人工血管などが用いられてきた.内包する弁としては,自己心膜,異種心膜, PTFE膜などを用いた手製(弁構造三尖,二尖,単尖など各施設で工夫),あるいは商品化された異種生体弁,ホモグラフトに備わった弁が用いられる.まれに機械弁を用いた報告もみられた.弁なし導管は肺動脈弁逆流のリスクがあるため適応は限定される52, 117).

近年,本邦ではbulging sinus付きePTFE心外導管に0.1mm厚ePTFE膜の三尖を装着した弁付き導管が多く用

いられる56, 65, 66).欧米では凍結処理ホモグラフト(一部では免疫反応性軽減目的の脱細胞化処理あり)が頻用される.年長児や成人ではステントなし生体弁も用いられる997–999).異種弁付き導管(ウシ頚静脈) (Contegra ®) 62, 1000)も国内で使用可能となった.

12.2 術後経過

弁付き導管により重症疾患においても二心室修復が可能となり,当面の良好な血行動態と生命予後の改善が得られるが,術後遠隔期には心外導管に関連する問題が起こる.

導管機能不全としては,発育による相対的狭窄に加えて,仮性内膜の増生や弁尖の石灰化による絶対的狭窄,胸骨による圧迫も起こる.身体発育に伴い,右室や肺動脈との吻合部が屈曲する事例もある.特に内包された生体弁のほとんどは石灰化あるいは退縮し,狭窄兼逆流を呈する.自己心膜弁では退縮が目立つ.0.1 mm厚ePTFE膜による弁尖は石灰化を生じにくく,長期にわたり弁機能が維持される傾向が報告されている56, 65, 1001).

再治療,すなわち機能不全の心外導管に対してカテーテル治療や外科的交換が必要となるまでの期間は,初回手術時の年齢や使用された心外導管の管径の影響を受ける.新生児期や乳児期の手術では径10~12 mmの導管使用を余儀なくされることが多く,2~3年で再手術を要する例が多い,一方,径18 mm以上では成人期まで再手術なく到達する例も少なくない65, 66, 963, 1002).こうした遠隔期の導管狭窄の問題を軽減するために,肺動脈を直接右室切開部に縫着し,前壁を一弁付きパッチで補填するなどの新たな術式(Lecompte法など)

118, 1003)も採用されるが,肺動脈弁逆

流と将来の肺動脈弁置換の手技には注意を要する.

12.3 遠隔期管理

心外導管機能と心室機能を中心に,静脈うっ血,不整脈,導管感染に留意する.

心雑音や肝腫大,不整脈などの臨床所見は重要である.胸部X線写真,心電図(ホルター心電図を含む),心エコー法による評価を6ヵ月~1年の間隔で行う.成人期に心エコー法による描出が不十分な場合は造影CT,心臓MRIが優れる.運動負荷試験も潜在的な不整脈や心機能低下,そして導管機能不全の検索において有用である.症状や機能障害の発現,進行がみられた場合には観察の頻度を適宜増やし,侵襲的治療を前提とした方針立案,冠動脈造影や大動脈造影を含む心カテーテル・造影検査を考慮する.

表39 心外導管を用いる手術の適応疾患

a.  心室中隔欠損+肺動脈閉鎖(Fallot四徴極型)(+/-主要体肺側副動脈) b.  右室流出路前面を横走する異常冠動脈のため右室流出路切開が困難なFallot四徴,両大血管右室起始c.  大血管転位+心室中隔欠損+左室流出路(肺動脈弁)狭窄d.  総動脈幹e.  両大血管右室起始+肺動脈狭窄・閉鎖f.  修正大血管転位(房室錯位)+肺動脈狭窄・閉鎖に対する解剖学的修復g.  大動脈弁疾患に対する自己肺動脈弁を用いたRoss手術・Ross-Konno手術時の右室流出路再建h.  修正大血管転位あるいは房室錯位+両大血管右室起始に対する

機能的修復の肺血流路再建(形態的左室から肺動脈へ)に心外導管を間置する場合(LV-PA導管)