GL検索 v0.1.0
画像は 87 ページを描画したものです
page 87

p.87 抽出テキスト

侵襲的治療上肢高血圧と圧較差 > 20 mmHg の有意な大動脈縮窄がある例には,外科的修復,または技術的に可能であればカテーテル治療を行う. I B有意な大動脈瘤がある例には外科的修復術またはカテーテル治療を行う. I B上肢高血圧と圧較差≦20 mmHg で内腔≧50%の狭窄がある大動脈縮窄例にはカテーテル治療を考慮する. IIa C治療が必要な大動脈縮窄がある成人で,ステント留置が実現困難で外科的治療も選択肢にならない例には,バルーン血管形成術を考慮してもよい. IIb B (Stout KK, et al. 2019 3) を参考に作表)

10.4.1 適応

再縮窄や動脈瘤に対する治療適応の判断のゴールドスタンダードは,心臓カテーテル検査により計測した圧較差と大動脈造影である.判断基準として,再縮窄では20 mmHg以上の収縮期圧較差または平均20 mmHg以上の収縮期ドプラ平均圧較差を認める場合,また20 mmHg未満であっても,明らかな左室機能低下や大動脈弁逆流を認めるか有意な側副血管を認める場合(推奨クラスI,エビデンスレベルB)

415, 945–947),動脈瘤では径50 mm以上の紡錘状動脈瘤, 50 mm未満であっても拡大傾向のある嚢状動脈瘤や仮性動脈瘤に対し,侵襲的治療を検討すべきである(推奨クラスI,エビデンスレベルB)

948, 949).

近年,再縮窄の形態診断にMRIやCTが広く用いられるようになり,病変部前後径<50%,大動脈の縮窄部径/横隔膜位径比≦0.5で再縮窄を判断するとの報告もある.

10.4.2 治療法

再縮窄や動脈瘤などに対する治療の方法には外科治療947, 950, 951)とカテーテル治療935, 937, 946, 952–955)があり,詳細を以下に記す.循環器内科医,心臓血管外科医,麻酔科医,その他各領域のエキスパートを含むハートチームで,それぞれの効果やリスクなどの比較検討を行い,治療方針を決定する.人工物を用いた侵襲的治療後6ヵ月間はアスピリンなどの抗血小板薬を投与する. a. 外科治療

動脈瘤に対しては,瘤切除+人工血管置換術または端々吻合,再縮窄に対しては再縮窄部切除+人工血管置換術または端々吻合,パッチ形成術,extra-anatomical bypassなどが行われる(推奨クラスI,エビデンスレベルB). b. カテーテル治療

限局性で大動脈峡部低形成を伴わない再縮窄では,年齢にかかわらずバルーン血管形成術を施行する(推奨クラスI,エビデンスレベルC).

成人の大動脈径(通常20 mm以上)まで安全に拡張可能なステントを留置できる場合にはステント留置を施行する(推奨クラスI,エビデンスレベルB).

後拡張により成人の大動脈径まで拡張可能なステントを安全に留置できる場合,またはバルーン血管形成術が無効で成人の大動脈径まで拡張可能なステントを留置できる場合には,ステント留置を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).

動脈瘤に対して,瘤の近位および遠位に分枝閉塞をきたさない十分なlanding zoneがある場合にカバードステントが選択されることがある.ただし,本邦では成長期の症例に使用できるサイズが限られているので,血管内治療の適応は限定的である.

11 総動脈幹

総動脈幹(症)はまれな疾患で,全CHD中に占める割合は1~4%とされる.生後早期の肺血管抵抗の変化に伴い病態が急変する危険性があるため,形態や病態生理の理解にもとづく適切な対応が重要である.

11.1 解剖と分類

総動脈幹は胎生期の大動脈-肺動脈中隔の形成不全による総動脈幹の分割不全により生じる.残存する総動脈幹から大動脈・肺動脈・冠動脈が派生する.10~15%に大動脈弓離断の合併がみられる.流出路中隔の形成不全による心室中隔欠損,両半月弁への分化不全による総動脈幹弁の異常を伴う.総動脈幹弁は左右心室にほぼ均等に騎乗起始するが,右室優位の接合を示すこともある.総動脈幹弁はしばしば異形成を呈し,弁尖数は三尖または四尖が多いが,一尖から六尖まで多様で,逆流または狭窄を呈する例が多い.冠動脈起始開口部の位置的分布はさまざまで,交連に近接している例,冠動脈が壁内走行を示す例もある956, 957).

肺動脈の分岐形態に基づいたCollett-Edwards分類や,大動脈弓離断を合併する群も含むvan Praagh分類が用いられる958).大動脈弓離断を合併する例はしばしば22番染色体(22q11.2)微小欠失症候群に合併し,DiGeorge症候