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下狭窄,僧帽弁疾患などがあり,その他にもさまざまな先天性複雑心疾患の合併がある.また,大動脈壁の中膜嚢胞状壊死の合併も多い463). 10.2 初回修復術 大動脈弓の手術再建は1950年前後から始まり,端々吻合法(縮窄部と動脈管組織をともに切除して断端同士を吻合),パッチ形成術,人工血管置換術,subclavian flap法(鎖骨下動脈から作製したフラップにより縮窄部を拡大する)などが行われてきた.1990年頃からは新生児,乳児例に対する治療が進み,拡大大動脈弓形成術(端々吻合部の大動脈弓小弯側に切開を加え,やや斜めに切断した下行大動脈を縫着する),上下大動脈端側吻合法(上行大動脈-大動脈弓起始部に切開を加え,ここに下行大動脈切断端を縫着する)が始まり,適応が拡大している. 合併心内疾患のある場合はこれらを含めて一期的に修復する様式が多くなっている.低体重例,術前状態不良例,複雑な合併心内疾患を伴う例などでは,初回手術として大動脈弓再建術+肺動脈絞扼術を実施し,乳児期後期以降に二期的に修復術を完了させることもある. 先天性大動脈縮窄に対する初回修復術としてバルーンによる狭窄部拡張も試みられたが,術後大動脈瘤の発生率が高かったため,現在は外科治療が第一選択である935). 10.3 術後の管理 術後遠隔期に問題となる合併症は,再縮窄,大動脈瘤(真性あるいは仮性)の形成,大動脈解離や破裂,大動脈二尖弁を合併している場合はそれに伴う大動脈弁狭窄や閉鎖不全の進行,高血圧の残存と動脈硬化性病変(脳血管障害や冠動脈疾患)の早期発症,感染性心内膜炎などである. 再縮窄の診断は上肢高血圧と上下肢の血圧差とで行い,下肢血圧波の位相の遅れや波高,脈圧の低下は有力な所見である.安静時に上下肢の血圧差を認めない場合でも,運動負荷により著明な上肢血圧上昇や血圧差の出現を認めることがあるので,可能なら運動負荷試験を検討すべきである.しかし,運動時高血圧は必ずしも再縮窄の存在を示唆する所見ではない535). 縮窄の修復後であっても,平均余命は正常化せず,平均16歳で外科治療を受けた患者の10年,20年,30年の生存率はそれぞれ91%,84%,72%と報告されている.また,早期外科治療により遠隔期予後は改善されるといわれるが,平均5歳で外科治療を行った場合でも20年,40~50年生存率はそれぞれ91%,80%で,乳児期手術例でも高血圧が残存することがある.侵襲的治療後も約1/3は高血 圧が遺残し,左室肥大,心筋梗塞,心不全につながる.遠隔期死亡の70%は心血管合併症によるとの報告がある415, 934, 936). 胸部X線写真での大動脈弓部陰影の拡大は動脈瘤形成の重要な所見である.心電図では左室圧上昇に伴う左室肥大の所見やST・Tの変化に注意する.心エコー法では大動脈弁・弁下狭窄や僧帽弁病変など心内病変の有無と左室機能や壁厚の評価,上行大動脈・大動脈弓・胸部下行大動脈など可能なかぎり大動脈各部位の血管径測定,大動脈弓部における血流速度測定,下行大動脈における血流パターンの評価が推奨される.造影MRIまたは造影CTは再縮窄や動脈瘤の合併が疑われる場合の形態評価,ステントの破損や移動のスクリーニングに有用とされる415, 932, 937–940).また,大動脈縮窄がある症例の10%程度に頭蓋内動脈瘤があり,小児よりも年長児,成人でその比率が高いという報告がある932, 940, 941). 収縮期血圧と左室心筋量に相関があるとの報告があり942),大動脈縮窄の遠隔期合併症の多くが上半身の高血圧と関連があることから,安静時はもちろん,24時間血圧モニタリングや運動時血圧の所見をもとにした適切なタイミングでの診断と,内服薬による管理を含めた,一般の高血圧治療ガイドラインに沿った内科的管理を行うべきである943, 944). 10.4 術後の再侵襲的治療 表38 大動脈縮窄,大動脈弓離断の術後遠隔期における診断,管理,治療の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 診断,管理若年で上肢高血圧と運動時の下肢の疲れがある例では大動脈縮窄を疑う. I B外科手術やカテーテル治療後を含め,大動脈縮窄がある成人の初期診断と経過観察は,造影MRI または造影CT を用いて行う. I B安静時における上下肢の収縮期血圧差により狭窄を診断する場合,血圧差20 mmHg 以上を有意とすることを考慮する. IIa C大動脈縮窄があり運動をしている成人の運動誘発性高血圧の評価に,運動試験を考慮してもよい. IIb C