p.77 抽出テキスト
て,疾患群を表す場合と,形態学的解析に際して心室-大血管結合を表す場合の,2つの側面がある.本項では心房位と心房-心室結合がともに正常で心室流出路が異常な疾患単位としてのDORVを扱う.流入・流出路複合構造異常の一部分症としてのDORVについては,「13. Fontan手術」の項などを参照されたい. 7.1 解剖学的特徴 実用的には,「肺動脈(pulmonary artery: PA)と大動脈(aorta: Ao)の全部あるいは大部分(PA・Ao弁周径をそれぞれ100%として100%+100%=200%のうちの150%以上)が右室(RV)から起始すること」をDORVの定義とする784).発生学的見地から,「大血管基部両側に動脈円錐が存在すること(bilateral conus)」をDORVの定義と主張する説もある785).実際には,僧帽弁と半月弁の間に線維性連続があるにもかかわらず150%ルールを満たしたり,bilateral conusなのにDORV以外の心室-大血管結合であることも珍しくない. 大血管の正常位置関係はPAがAoの左前であるのに対し,完全大血管転位(完全TGA)ではAoがPAの右前が典型である.DORVではAo右・PA左のside-by-sideと呼ばれる状態から,Ao右斜め前・PA左斜め後のoblique,そして完全TGAに相当するAo前・PA後の場合もある.さらにAoが相対的にPAの左側に位置すること(いわゆる大血管L-loop)もあり,事実上Ao-PA位置関係は360度のバリエーションが見つかる.冠動脈近位部の走行様式はAo-PA位置関係と関連がある786). side-by-side(Ao右・PA左)に限ってみると,心室間交通孔(interventricular communication)と大血管との関係により4種に分類される(大動脈弁下型subaortic: SA,肺動脈弁下型subpulmonary: SP,両半月弁下型doublycommitted: DC,遠位型non-committed: NC) 784)(図8) 787).心室間交通孔の位置は血行動態に大きく影響する. SA型とDC型では左室(LV)から駆出された血液はAoへ多く流れるのに対し,SP型ではむしろLVからPAへ多く 図8両大血管右室起始の4 つの型(上村秀樹ほか,1996 787)より改変) 大動脈弁下型(subaortic: SA) 肺動脈心室間交通孔 三尖弁 中隔縁柱右室両半月弁下型(doubly-committed: DC) 肺動脈弁下型(subpulmonary: SP) 流出路中隔遠位型(non-committed: NC) 大動脈