p.70 抽出テキスト
以下を有し,バルーン形成術が困難または不成功となった症例に対し外科手術を行う.・ 心不全症状・ 右左短絡によるチアノーゼ・ 運動耐容能低下I B無症状だが以下のいずれかを認め,バルーン形成術が無効な症例に対し外科手術を行う.・ 右室収縮期圧≧80 mmHg・ 右室機能低下・ 三尖弁逆流増悪・ 心房中隔欠損または心室中隔欠損を介 した右左短絡I C無症状で上記に該当しない症例に対しバルーン形成術を考慮する. IIa C中等度肺動脈弁性狭窄以下を有する症例に対しバルーン形成術を行う.・ 心不全症状・ 右左短絡によるチアノーゼ・ 運動耐容能低下I B以下を有し,バルーン形成術が困難または不成功となった症例に対し外科手術を考慮する.・ 心不全症状・ 右左短絡によるチアノーゼ・ 運動耐容能低下IIa C (日本循環器学会ほか. 2020 666),Stout KK, et al. 2019 3),Baumgartner H, et al. 2021 563)より作表)近年,成人症例に対するバルーン弁形成術は,複数のバ ルーンを同時に用いる,あるいはイノウエバルーンを用いる696)ことで,安定した成績が報告されている697).外科的弁形成術は狭窄の遺残は少ないが,遠隔期に高度弁逆流から約20%の症例で再介入を要する694).一方,バルーン弁形成術では再狭窄に対して10年で10%の症例に再度カテーテル治療を要し694),10年で60%の症例に中等度以上の弁逆流が生じる698)ものの,弁置換術を必要とすることは比較的まれである694).これらを勘案して,バルーン弁形成術が可能な肺動脈弁性狭窄では,バルーン弁形成術が治療の第一選択となる1, 3, 563).バルーン弁形成術が弁の性状や狭小弁輪などにより施行困難,または不成功となった患者は,外科手術の適応となる.外科手術では肺動脈弁切開術,弁切除術,弁輪部パッチ拡大術,弁置換術(本邦では主に生体弁)が選択される(図7). 症状を有する中等症・重症肺動脈弁性狭窄に対しバルーン形成術を行い(推奨クラスI),無症候性重症肺動脈弁性狭窄に対しバルーン弁形成術を考慮する(推奨クラスIIa).また,症状を有する重症肺動脈弁性狭窄でバルーン弁形成術が適しないかまたは不成功であった場合に外科的形成術を行い(推奨クラスI),症状を有する中等症肺動脈弁性狭窄でバルーン弁形成術が適しないかまたは不成功であった場合に外科的形成術を考慮する(推奨クラスIIa).なお,無症状であっても,右室収縮期圧≧80 mmHgでは運動時の血行動態異常が報告されており699),バルーン弁形成術 図7肺動脈弁性狭窄に対するバルーン弁形成術,外科手術の適応PAB:バルーン肺動脈弁形成術,Vmax:最大血流速度*肺動脈弁性狭窄が原因の心不全症状,右左短絡によるチアノーゼ,運動耐容能低下 なしいずれかあり 中等度肺動脈弁性狭窄 Vmax 3~4 m/s重度肺動脈弁性狭窄 Vmax>4 m/s 症状なし症状なし PAB不適または不成功PAB可能PAB不適または不成功PAB不適または不成功 PAB可能PAB可能 外科手術推奨クラス IIa PAB 推奨クラス I経過観察PAB 推奨クラス IIa 外科手術推奨クラス I外科手術 推奨クラス I PAB 推奨クラス I経過観察 右室収縮期圧≧80 mmHg,右室機能低下,三尖弁逆流増悪, 心房・心室中隔欠損を 介した右左短絡 症状あり*症状あり*