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p.67 抽出テキスト

手術方法としては弁形成術と人工弁置換術がある.弁置換の方が生命予後不良との報告が多く657, 661),可能なかぎり弁形成を行うことが推奨されるが(推奨クラスI,エビデンスレベルC),11~22%で再々手術を要し,再々手術での弁置換は予後が不良との報告もある663, 664).形成の方法は弁輪縫縮,裂隙の閉鎖,弁尖の延長や拡大,人工腱索などの手技を組み合わせて行う667).可能なかぎり形成を試みるが,十分な機能回復が得られない場合は弁置換が必要となる.成人期に至るまでは耐久性を考慮し,通常は機械弁での置換となる(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).しかし低年齢での弁置換の手術リスクは決して低くなく,patient-prosthesis mismatchに伴うサイズアップを目的とした再弁置換は少なくない668).「17. 僧帽弁狭窄,僧帽弁閉鎖不全」も参照のこと.

2.4.2 遺残短絡

AVSD術後の遺残短絡についてのまとまった報告はないが,再手術の適応は心房中隔欠損や心室中隔欠損の遺残短絡と同様と考えて良いと思われる.ESCの2010年ガイドライン157) とAHA/ACCの2018年ガイドライン3)も参照のこと.

2.4.3 左室流出路狭窄(大動脈弁下狭窄)

表32 房室中隔欠損の術後遠隔期における左室流出路狭窄に対する手術の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

有症状例症状を有し平均圧較差≧50 mmHg の場合,あるいは大動脈弁閉鎖不全が高度の場合には行う. I C平均圧較差<50 mmHg でも心不全症状を認める場合,あるいは中等度から高度の左側房室弁または大動脈弁の閉鎖不全を認める場合に考慮する. IIa C無症状例心拍出量が低下していて平均圧較差< 50 mmHg でも,左室駆出率(LVEF)< 50%の場合は考慮する. IIa C大動脈弁閉鎖不全が高度で,左室収縮末期径(LVESD)≧50 mm(または25 mm/m2 BSA)とLVEF <50 %の両方,またはいずれか一方の場合は考慮する. IIa C平均圧較差≧50 mmHg で著しい左室肥大を認める場合は考慮する. IIa C平均圧較差≧50 mmHg で運動負荷試験で血圧反応に異常を認める場合は考慮する. IIa C

平均圧較差≧50 mmHg,左室機能正常,運動負荷試験で異常なく,手術のリスクが低い場合は考慮してもよい. IIb C大動脈弁閉鎖不全の進行を認め,軽度以上である場合は考慮してもよい. IIb C

房室中隔欠損に対する初回手術後患者の1~3.7%に左室流出路狭窄に対する再手術が行われている652, 656, 669, 670).術後に左室流出路狭窄を生じる要因は複数あり,房室弁のscooped-out(落ち込み)により生じる心尖部-流出部間の延長は疾患特有の要因の一つである.また,流出路におけるanterolateral muscle bundle(前外側筋束)や流出路を横切る共通前尖の異常腱索の存在も,疾患特有の要因である671).

手術方法は個々の症例に合わせて行う.再発を防ぐためには,房室弁や大動脈弁に付着するものも含めたfibromuscular membrane(線維筋性膜)とanomalous fibrous tissue(異常線維性組織)の完全な切除,anterolateral muscle bundleを含めた積極的な中隔筋切除,および異常腱索の切除が重要である.流出路全体のトンネル状狭窄を呈する場合には修正Konno手術の適応となる.再手術後の左室流出路狭窄再発は15~29%と少なくなく,通常の大動脈弁経由での解除では不十分な場合のオプションとして修正Konno手術は最適である669, 671).

再手術の時期に関しては明確な基準はないが,ESCの2010年ガイドライン157)やAHA/ACCの2018年ガイドライン3)を参考にして,平均圧較差が50 mmHg以上または大動脈弁閉鎖不全が高度で症状を有する場合は手術を行う(推奨クラスI,エビデンスレベルC).無症状でも左室の拡大や肥大,駆出率が低下した場合は手術を考慮する(推奨クラスIIa,エビデンスレベルC).「16. 大動脈弁狭窄,左室流出路狭窄,大動脈弁閉鎖不全」も参照のこと.

2.4.4 徐脈

初回手術後の高度徐脈として房室ブロックと洞機能不全が報告されており,特に遅発性の房室ブロックに対するフォローが必要である.初回心内修復術後患者の3.6~7%が遠隔期にペースメーカ植込みを必要としている658–660).再手術後に房室ブロックを合併することもある.