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p.50 抽出テキスト

はおおむね対正常50~60%とする報告が多い.術後にNYHA心機能分類での改善はみられるが,peak V

4 O2の改

善は限定的であり,多くは正常までは回復しない521).同じ右室容量負荷疾患でもASD術後では正常に回復することと対照的である522).無症候性のEbstein病の小児でも,運動耐容能の低下は大部分の症例にみられ,酸素飽和度と左室容積に関連している523).

Fontan手術後患者の運動耐容能の低下には多くの要素が複雑に関与している217, 524).低心拍出量と心拍増加不足がその根底にあるが,背景には心交感神経活性の異常や血管機能異常,神経体液因子,心室拡張能,圧受容体,化学受容体などの要素が多様な影響をもたらしている.多くの報告で患者のpeak V

4 O2 は対正常60%前後である.

peak V

4 O2は予後予測の指標としても多くの研究がなされている.心拍数については,安静時にはむしろ正常より10%程度高値だが,最大心拍数は正常より低い.

2.3 運動と不整脈

一般的に心疾患のない小児や若年成人の上室・心室期外収縮の出現頻度は,運動強度の増大に伴い減少するか消失することが多い.しかし,CHD患者,特に術後患者では運動中にこれらの不整脈が増加,またはその重症度が増悪することがあるので,注意を要する.したがって,手術後の患者が運動競技やレクリエーション活動に参加する場合には,運動負荷試験またはホルター心電図検査で不整脈出現とその重症度を確認することが推奨される.特に,成人期に達した複雑CHD術後患者では不整脈は比較的多く観察されることから,これらの患者では運動・活動参加の際には事前に運動負荷試験を施行することが望ましい(推奨クラスIIb,エビデンスレベルC).

運動能と不整脈の重症度は必ずしも関連しない.また,これらの評価法では必ずしも日常活動を正確に反映しているとはいえず,心イベントを予測できないこともありうる339).したがって,各患者の状態を十分考慮したうえで無理のない運動活動への参加を考えるべきである.また,学校においては自動体外式除細動器の設置と学校スタッフへの心肺蘇生トレーニングが推奨される509).

2.4 運動心肺指標とその臨床的意義

2.4.1 心拍数

運動中の心拍応答を規定する主要な因子は,体温,洞機能,心臓自律神経活動である.運動中の心拍増加不良に

小児循環器科医,循環器内科医やACHD専門医の大きな役割の一つである.しかし,運動関連の心イベントも多いことを考慮すれば507–510),適切な運動種目や運動量などを具体的に考慮して日常診療を進めなければならない.

2.1 運動能力の評価法

運動能力の評価はトレッドミルやエルゴメータを用い,呼気ガス分析を併用した心肺運動負荷試験で運動時間と最高酸素摂取量(peak V

4 O2)を測定することができれば理想的

である.しかし,費用や人員の理由から容易に運動負荷試験を施行できない施設もある.このような場合,重症度の比較的高い患者においては6分間歩行試験が有用である511, 512).6分間歩行試験による評価は,肺高血圧や心不全などが高度で最大負荷をかけることの危険が大きい場合に,特に有用である.また,Health-Behavior Scale-Congenital Heart Diseaseのように,日常生活の活動度などをスコア化し,定量的に評価する方法も報告されている513).

健常小児では運動負荷試験は5,6歳から施行可能であり,就学時の生活指導,管理に有用な情報となりうる.運動能にはいわゆる体力としての有酸素運動能と,比較的体力を必要としない運動技量とがある.日常生活では体力に加えて運動技量も重要であるが514),現時点ではその客観的な評価法は普及していない.

2.2 先天性心疾患患者の運動能力

心室中隔欠損や心房中隔欠損(ASD)などの単純なCHD術後患者の運動耐容能は健常人と差がない.成人の未治療ASD患者の運動耐容能は対正常60%前後との報告が多く,年齢,肺体血流比(Qp/Qs),右室圧がその規定因子となる.術後,運動耐容能は徐々に改善され,遠隔期でほぼ正常域に回復する515–517).手術適応外や自然閉鎖して手術を施行しなかった心室中隔欠損患者のpeak V

4 O2は正

常と同等であり,閉鎖術を行った心室中隔欠損患者も,術後は正常とほぼ変わりない運動耐容能を有する518).

Fallot四徴の術後患者は多くは日常生活上の制限を自覚していないが,運動耐容能を測定すると対正常70%前後と低い.こういった差異がみられることは,何らかの治療的介入を行うときに,自覚症状を指標にしても必ずしも適切でない可能性があることを示している519).運動耐容能低下の規定因子として多くのものが指摘されているが,主なものは加齢,手術時年齢,心拍変時能,呼吸機能,肺動脈逆流,両心室機能などである520).

Ebstein病では,手術適応となる症例の場合,peak V

4 O2