GL検索 v0.1.0
画像は 48 ページを描画したものです
page 48

p.48 抽出テキスト

群で「人工弁術後」を「生体弁,機械弁による人工弁置換術患者,弁膜リング装着」に記述変更,「姑息的吻合術や人工血管使用例を含む未修復チアノーゼ型先天性心疾患」に「(単心室,完全大血管転位, Fallot四徴症など)」を追加,「パッチ,人工材料を用いて修復したが,修復部分に遺残病変を伴う場合」に「(術後期間を問わない)」を追加,中等度リスク群で大動脈二尖弁について,「大動脈二尖弁を含む先天性弁膜症」を追加. (日本循環器学会. 2018 494)より改変)

観血的な医療手技・処置はIE発症の観点から表24 494)のようにリスク分類される.

高度リスク手技時の予防的抗菌薬投与を,高度リスク群には強く推奨,中等度リスク群に対しても弱く推奨し,一方,低リスク群においては推奨しない494).予防的抗菌薬投与について,欧米のガイドラインは高度リスク群のみに推奨499)あるいは原則推奨しない500)など消極的であるのに対し,本ガイドラインは推奨度が強い.これは中等度リスク群であっても,本邦でもIE関連致死率が決して低くないこと487),中等度リスク群と高度リスク群との差は明確でなく変遷もあること496)が根拠となる.ただし,抗菌薬により副作用や耐性菌が生じる負の側面,疾患や手技により発症率に違いがあること,抗菌薬の有用性は科学的根拠に乏しいことなどから,すべての症例,あらゆる観血的手技に対する画一的な予防的抗菌薬投与は推奨されない.予防的に投与する抗菌薬についての詳細は日本循環器学会の「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン」494)を参照されたい.

心臓手術の周術期のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染リスク低減のため,術前の鼻腔内MRSAスクリーニング(推奨クラスI,エビデンスレベルA),ペースメーカなどのデバイス留置前の予防的投薬(推奨クラスI,エビデンスレベルB),外科的およびカテーテルによる人工弁などの人工物留置前の予防的投薬(推奨クラスIIa,エビデンスレベルB)が推奨される1).

1.3 口腔内衛生と生活指導

抗菌薬の予防的投与には未だ議論がある一方,口腔内衛生を保つことの重要性は共通認識である.口腔内衛生環境とIEは関連501)しており,歯磨き,フロスの使用,定期的歯科検診が推奨される.口腔内洗浄液(マウスウォッシュ)はIEの主要原因細菌を減少させる502)が,IE発症予防に有効であるという報告はない.生活指導として,ピアスや刺青をしないこと,アトピー性皮膚炎では皮膚ケアの指導を行う1).成人外来への移行教育と日常診療において,繰り返し患者自身にIEリスクを理解させたうえで,セルフケアを指導することが重要である.

1.2 手技,処置による発症リスクと予防

表23 先天性心疾患術後遠隔期における感染性心内膜炎の

リスクと,高リスク手技に際しての予防的抗菌薬投与の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベルMinds

推奨グレードMinds

エビデンス

分類

高度リスク群(感染しやすく,重症化しやすい患者)の高リスク手技・処置に対し予防的抗菌薬投与を行う.・ 生体弁,機械弁による人工弁置換術患者,弁輪リング装着・ 感染性心内膜炎の既往・ 姑息的吻合術や人工血管使用例を含む未修復チアノーゼ型先天性心疾患(単心室,完全大血管転位, Fallot 四徴症など)・ 手術,カテーテルを問わず人工材料を用いて修復した先天性心疾患で修復後6ヵ月以内・ パッチ,人工材料を用いて修復したが,修復部分に遺残病変を伴う場合(術後期間を問わない)・ 大動脈縮窄I B A II中等度リスク群(必ずしも重篤とならないが,心内膜炎発症の可能性が高い患者)の高リスク手技・処置に対し予防的抗菌薬投与を考慮する.・ 高度リスク群,低リスク群を除く先天性心疾患・ 大動脈二尖弁を含む先天性弁膜症・ 閉塞性肥大型心筋症・ 弁逆流を伴う僧帽弁逸脱IIa C B III感染の危険性が特に高くない群(一般の人と同等の危険率)に対しては予防的抗菌薬投与を行うべきではない.・ 単独の二次孔型心房中隔欠損・ 術後6ヵ月を経過し残存短絡を認めない心室中隔欠損または動脈管開存・ 冠動脈バイパス術後・ 弁逆流を合併しない僧帽弁逸脱・ 生理的,機能性または無害性心雑音・ 弁機能不全を伴わない川

崎病既往III C C2 IVa [感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)からの変更点]表29にMindsの推奨グレードとエビデンス分類を追加.高度リスク